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仕事を毎日がんばっている自分がいる。昇進の話があるけど、踏みきれない。人前で実は緊張がすごくあがる。トラウマが解消すると、前に進みます。
職場での勤務の評価は、上司や同僚からも認められ、勤続年数も上がる中で、次のポストの打診を受けるとします。
もちろん、お給料もあがるわけです。
でも、一歩、踏みきれない。
こんな風にお感じになる方は、意外と多いのではないでしょうか?
理由はいろいろとあると思いますが、昇進するということは、お給料も上がりますが、責任も上がるわけです。部下の数も多くなり、人前でお話しする必要も出てきます。
自分にはとても勤まらないはずだ。人前で話をするなんてすごく緊張して無理だ。自分が上の立場に立って人を指導するなんて、とてもじゃないけどできない。
そう思い、昇進を見送ることになるのでしょう。
もちろん、仕事におけるスキルをもっと身につけてからチャレンジしようといこともあります。
けれども、背景にトラウマが隠れていることも多いのです。
架空のケースで考えてみる
それでは、「仮に」このようなケースが相談にいらした場合、EMDRを活用したセッションがどのように進むか、概要をご案内します。
まず、今の主訴(何に困っているか、ということ)を伺います。この方の場合は、
状況(引き金):社内で自分へ昇進の打診が来たこと
考え(イメージ):自分には到底むり…
感情:緊張、怖い
身体:すこし眠りが浅いかも…
行動:昇進を断ろう
このように、状況、考え、感情、身体、行動面、それぞれでどのようなつながりになっているかを整理します。その他にも、、、
状況(引き金):人がたくさんいるところでプレゼンをしないといけない
考え(イメージ):見られている...
感情:緊張
行動:なるべくこういうプレゼンをしないように立ち回ろう
こういう主訴もありそうです。この方の場合(架空)は、この二つの主訴は、似通ったテーマですが、場合によっては、クライアントさんと一緒にお話ししながら、主訴の優先順位をつけることも大切です。(例えば、恋愛についての困り感、職場での困り感、家庭での困り感、複数の主訴があって、どれを優先したらいいかなど)
では、この方は、最初の、昇進に関わる主訴でまずは相談の流れを作ることにしましょう。
状況(引き金):社内で自分へ昇進の打診が来たこと
考え(イメージ):自分には到底むり…
感情:緊張、怖い
身体:すこし眠りが浅いかも… 緊張感はむねがすこしモヤモヤする、ドキドキする
行動:昇進を断ろう
ここで、クライアントさんと一歩、深めて考えるのが、「考え」のところです。ここでは、自分には到底むり、、、という考えの根っこに何があるのかをもう少し深めます。EMDRでは、自分についての否定的な信念(Negative Cognition)というものですが、大きく、3つのパターンを想定しています。
① 責任・価値のテーマ (自分はダメな存在だ。どうせ自分なんて意味がない存在なんだ...等)
② 安全・安心のテーマ (安全でない。自分の周りは、敵だらけだ。周囲の人は信頼できない人ばかりだ、等。)
③ 対処・コントロールのテーマ (自分は対処していけない人だ。自分は言いたいことが言えない人だ、等。)
どのテーマが近いか、自分の根っこについての考えにはどんなものがあるのかを一緒に見つけていきます。
この方の場合は、「自分はダメな存在だ」が近いとして進めてみましょう。
この、「自分はダメな存在だ」という考え、主訴にある「緊張、怖い」という感情、その感情が「むねにある」という身体感覚、これを手掛かりに、過去の出来事で、その考え、感情、身体感覚と、近いものがあるかを、一緒に探していきます。
(場合によっては、このように、過去へ触れていくだけで、気持ちの乱れが出てくることもあります。その場合は、気持ちの乱れが日常的におきて支障がでていることもあります。こういうときは、現在の気持ちの乱れを調整するスキルを一緒に見つけていきます。)
過去の出来事のうちで、その時は苦痛だったけど、心で処理がされてしまった出来事というのは、思い出しても、遠いなあ、そんなこともあったなあ、ぐらいで浮かんできます。
しかし、トラウマとして残っている過去の出来事というのは、主訴と共通した、考え、感情、身体感覚と重なりながら、思い出すと、すごく近い感じがする、絵が目前に迫る感じがする、体がきつくなる、などなど苦痛が生じます。
この、思い出すと、苦痛が生じてくるというのが、トラウマとして残っているサインの一つです。
この方の場合は、特に家庭で何か大きなことがあったわけではないが、小学校低学年の頃に、いじめがあったとしましょう。
なんとなく、その時のことを浮かべると、自分はダメだなあ、怖いという感じ、胸で感じるなあ、というのも重なりそう、そして、これを浮かべると苦痛として残っている感じがする。
こういう感じが、トラウマとして残っていることのサインです。
この無意識の中で、トラウマの苦痛が残っていて、そこから、今の職場の緊張へ負のエネルギーを送っているのです。
このトラウマが処理をされてしまうと、思い出しても、前は、きついなあ、というのがあったとしても、苦痛がない状態になります。
そうすると、今の昇進に関わる緊張や職場での緊張も軽減していくのです。
このように、過去の出来事と、今の困難が結びついている可能性の、具体例についてご案内しました。
このように、今、自分ができないことがあったとしても、それは、自分が悪いということではなく、過去のつらい出来事の影響なんだ。
こんな視点をご参考に、今の自分、過去の自分へ、優しい気持ちをよせるための、一助とされてください。