ハンターハンター考察407話 - (私の理解の)終わりの始まり
超能力バトル漫画を読んでいたはずでした。ページを開くとカードゲームが始まろうとしています。
カイジかな?スタンド攻撃かな?
冨樫さんが本気でパズルを作ると、私の処理能力を超えていきます (クロロvsヒソカ戦の能力の移りが、何回読んでもよく分からん…)。
まだルール説明の段階ですが、「ハッキリ言ってこの戦いにはついていけない」by 天津飯 from ドラゴンボール状態になりそうです。
来週の私の感想は、ドラゴンボールミームを連発するだけになってそうですが、ひとまず今を楽しみます。
今回、次のトピックから深掘りしていきます。
プレイヤー2人の思惑を振り返る
ゲームのルールを振り返る
モレナの「怒り」。そして再び、モレナの目的。
1. プレイヤー2人の思惑を振り返る
「行動の先を読みたければ、そいつの『目的(何のために)』を理解しろ」。
それがノブナガ先生の教えでした。
まずは今回のプレイヤーであるボークセン、モレナの最終ゴールを振り返り、それぞれの戦略を想像してみます。
ボークセンの目的
王立軍学校4期生。ツェードリニヒ第4王子の同期であるボークセンは、王子の傍若無人な性格に疑問を持っています。
同じ軍学校4期生の仲良し5人組とは、その思いが一致してあるようです。
「ツェードリニヒリ王子の暴走を、友達として止めに入る」。
それがボークセンたち同期グループの、秘めたる思いとしてありそうです。
モレナは敵対する第4王子の動向を探りたがっています。彼らが王子の近くへ派遣されることは、両者にとって願ったり叶ったりであるかもしれません。
とはいえ、ボークセンは王子の同級生である前に軍人です。祖国の平和を守ることが第一の使命です。ツェリ王子に近づくことは、モレナという得体の知れないマフィアと協力してまで成し遂げたいことなのか?
当然そうではないでしょう。
王子の残虐さは今に始まったことではありません。マフィアの暗躍という国家緊急事態を脇においてまで、優先して解決しようとは思わないはず。
私は、ボークセンの第一目的は、カキン国を守るだと思っています。
エイ=イ組マフィアと協働する気は、毛頭も無いでしょう。
一時的に仲間になったと思わせておいて、相手組織の内情を探る。
当面のボークセンの狙いは、そんなところではないでしょうか。
モレナの目的
対するモレナの目的はどうか?
彼女の最終目的は「すべてを壊す」。ドッグマンによる誘拐はその「終わりの始まり」でした。
先の回では、「ツェードリニヒ王子の動向を探る」ため、モレナは王子私設兵の誘拐を指令しています。
しかし「終わりの始まり」と言うからには、どうも動向確認だけでは終わらなそうです。
ボークセンには、より重要なミッションを担わせるものと思います。
ボークセンにはエイ=イ組の「器官」の一端を担わせるようですが、未だ多くが謎に包まれています。
ボークセンが「器官」に適合するとして、それは「王子に近い聡明な人間」であるようです。「器官」を通して国の中枢(王子)を操りたいのでしょうか…?
しっかりとした予測を出すには、まだまだ情報が足りなさそうです。
より気になるのは、モレナがどのようにボークセンを仲間に引き込むか。
先述の通り、「カキン国を守りたいボークセン」と「カキン国を壊したいモレナ」は全く対立しています。
モレナが嘘をつかずにボークセンを引き入れるには、二人の一致点を作る必要がありそうです。
例えば、「今のカキン国を転覆させることが、本来のカキン国のあるべき姿を作ることだ」と思わせるとか。「このままだとツェードリニヒ王子が間違った方向へと進んでしまうので、彼を一緒に止めましょう」だとか。
ボークセンが持つキーワードは「第4王子」。そのワードが「国を守る」と一致する場合。それは、「第4王子がカキン国を破壊しかねないことを企んでいる」です。
これなら、ボークセンはやむを得ず協力することもあるのでは?
もしそうである場合、第4王子の考える"破壊"と、モレナの考える"破壊"は種類が異なってあるはずです。
じゃなきゃ両者が対立している意味がわからん。
複数の大物がカキン国を潰したがっているなら、それは相当なカオスです。相当なカオスですが、そんな混乱を歓迎するおっさんが、すでに物語に登場しています。
第4王子とモレナのどちらかに、彼の力添えがあるのではないでしょうか?
2. ゲームのルールを振り返る
モレナの提案する交渉ゲームのルールを振り返ってみましょう。
最初に親が「お願い」を行う。それに対して、子がどう答えるかを決めるゲーム
親に表で7枚、子に裏で5枚のカードが配られる
子から順に相手のカードを1枚選ぶ。選んだカードは効果を発揮して墓地に送られる
最後に残った子のカードが、親の「お願い」に対する答えになる
子のカード:Yes、No、J: Yes or No、R: 墓地カードを戻す、X: 無回答
Rが最後の1枚である場合、墓地の好きなカードを戻して、親への提案の答えにできる。
Xが最後の1枚である場合、やり取りは無かったことになり、永劫やり直しも行われない。
Xが最後の1枚でない場合、子は答えのカードに対する責任を負う。
親のカード:目的、能力、Yes?、No?、質問A、質問B、D: 取引
質問Aは、(目的と能力関連外の)好きな質問を幾らでも行える。回答は、「Yes/No/YesかつNo」から行われる。
質問Bは、「質問Aの最後の回答」に対する詳細な回答となる。
Dは、親の「小さなお願い」を叶えて、(おそらくどちらでもの)墓地カードを1枚場に戻す。子は「小さなお願い」を拒否してもいいが、その場合Dカードが墓地に送られて親のターンになる。
うん!わけわからん!
この交渉ゲームがどう展開するか全く予想できませんが、親子関係というゲームの構図は、このアークで繰り返し現れていました。
つまり、王位継承戦を取り仕切る王と王子。生まれながらに国から追放された王と二線者。生まれながらにカキン国転覆の道具とされたビヨンドと詛贄者。
交渉ゲームは一見すると、子どもの様々な要求に、親が答えていく構図です。しかし最終的なゲームの決定権は、親:モレナが握っている。
それは強烈な定めを背負って生を受けた、王子たちの人生を写すようです。
キメラアント編では、軍儀の流れがその後の展開をなぞっていました。
交渉ゲームもあるいは、章全体の人間関係を予見するものかもしれません(ヤボな予測ですが…)。
交渉ゲームを通して「親」になったモレナ。
彼女は理想の親を演じるのか?はたまた、自身の醜い親の振る舞いを再演するのか?
そしてボークセンは、モレナの期待する「理想の子」なのか?
そんなところが気になります。
3. モレナの「怒り」。そして再び、モレナの目的。
ゲームの説明を通じて、ボークセンが感じ取ったモレナの底知れぬ「怒り」。
これはなんでしょう?
モレナはニ線者として産み落とされ、国家の敵と退けられ、恐れられた。
素直に考えるなら、モレナの「怒り」は、その原因を作った彼女の両親に向けられたものです。
しかし、本当にそうか?
ノブナガ先生の見立てでは、エイ=イ組は「全部壊すため」に動いています。
ならばモレナの「怒り」は、ニ線者として自分を産んだ両親のみならず、その様な残酷な制度を続けてきたカキン国自体に向けられているのでは。
いや、さらに根本に目を向けるなら、モレナの怒りは人類すべてにだって向けられます。
私たちの生まれた世界は、偶然が運命を重く支配しています。
貧困な親の下で生まれれば、奪い合いの人生になるかもしれない。富豪の家に生まれれば、それだけで一生を遊んで過ごせるかもしれない。
残酷なまでの差です。
そしてその残酷さは、根本的には誰が悪いというものでもない。只の運命の悪戯。そう考えることもできる。
モレナの生まれは不幸でした。生まれてすぐに、親からの拒絶が始まっていた。
でもモレナの横を眺めれば、尚のこと不幸な生まれの子だっているはずです。
自らの不遇な運命さえ、偶然の役回りに過ぎない。
この星では、抗いがたい偶然の残酷さで満ちています。
自分の不幸も、そんな"巡り合わせの悪さ"のひとつ。
そう考えたとき、彼女の「怒り」は両親や国に留まらず、人類という種に向けられた絶望として、深められていきます。
モレナの念能力は”恋のエチュード(練習曲)”。自らの「子」に能力を与え、同胞を殺していくごとに力を増し、やがて「親」になっていく凶悪な能力です。
この能力の何が「練習」なのか、よく分かっていませんでした。しかし、「世界に対する復讐」という文脈を読み込めば、モレナの狙いに一つ予測を作れます。
モレナは、世界すべての「子(人類)」に対し、等しく「力(能力)」を与え、世界の不平等と世界それ自体の破壊を目指している。それが、モレナたちエイ=イ組の真の目的であり、彼女の全人類に向けての復讐の最終段階なのではないか?
”恋のエチュード”は、「子」に力を撒いていく最初のステップ。お試し期間。だから練習です。
モレナの怒りが、「不幸な人類の運命」に向けられているとした場合、モレナの交渉ゲームの狙い、ボークセンへの働きかけは、継承戦やカキン国の命運どうのこうのではなく、人類の運命に対してのスタンスを問うものになり得ます。
勿論、それはかなりの論理の飛躍。
いきなりそんなこと言われましても…。となるのが普通です。
なので、この自分の想定は行き過ぎているとは思います。
とはいえ、モレナの怒りが深いものであればあるほど、彼女の提案はどこまでも魅惑的な「悪魔の囁き」になっていくのではないでしょうか。
なぜなら、私たちの生きる世界は事実残酷であり、不幸がありふれているからです。
もしそれを打ち破れると提案されたとき、ボークセンは、そして私たちは、「それまでの常識や倫理」と「魅惑の提案」と、どちらに手を挙げようとするでしょうか?
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最後までご覧いただきありがとうございました!
キメラアント編は、種族の差、生きる意味と、極太のテーマで貫かれていました。王位継承戦編もまた、宿命、親と子というぶっといテーマが見え始めているように感じます。
どのように話が発展していくかは未知数ですが、こうした話の広がりと深みを感じられるのは、この作家の凄みだなと改めて感じる次第です。
ワクワクがすごい。
今後どのように話が展開していくか、次回も見逃せません!
(むずかしくしすぎないで…!)
(クラピカ追憶編ってデジタル版で出てるのね…)
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