僕の好きなアジア映画42: 冬の小鳥
『冬の小鳥』
2009年/韓国・フランス/原題:여행자 (英:A BRAND NEW LIFE)/92分
監督:ウニー・ルコント
出演:キム・セロン(김새론)、パク・ドヨン(박도연)、コ・アソン(고아성)、パク・ミョンシン(박명신)、ソル・ギョング(설경구)、ムン・ソングン(문성근)
この映画、随分前に観たものだけど、韓国ドラマ『誰も知らない』に、主役を演じたキム・セロンが出演していて、美しく成長した姿に驚きつつこの映画を思い出しました。
『冬の小鳥』はそのキム・セロンが8−9歳の頃の映画だと思われます。父に捨てられて孤児となり施設に暮らす女の子が、最初は現実を受け入れることが出来ず、徐々に事実を受け入れて絶望し、孤独に苛まれるのですが、この苦境を脱出するために養子となってフランスへ旅立つという、簡単にいうとそういう物語。孤児たちにとっては里親に気に入られ、養子になることが生きる術なのです。養子に選ばれることを巡って孤児同士の確執なんかも描かれています。そんなとても切ない物語です。僕は子供が主役の映画がどうも苦手なのですが、キム・セロンの演技はいたいけで、抑制も効いていて過剰にならず、素晴らしいものでした。
日本の現状は正直わかりませんが、韓国では孤児がフランスなどの海外に養子として連れられていくということがしばしばあるようです。そして驚くべきことにこの映画の内容は、本作の監督ウニー・ルコント本人の実体験に基づくものなのだそうです。
ウニー・ルコント監督はとても寡作で、長編映画としてはもうひとつ『めぐりあう日』という、フランスでダンケルクを舞台に撮られた作品があります。この映画も孤児や、親子の関係に関わる映画で、彼女の生い立ち故に映画としてこういう主題にベクトルが向くのでしょうね。ちなみに本作のサウンドトラックはイブラヒム・マーロフで、これが素晴らしかったので挙げておきます。
日本と違って韓国の子役さんは順調に成長を続け、大人になっても良い役者に成長していく方が多い様に思います。この日韓の差はどこから来るのでしょうか。さて残念ながらキム・セロンは先日飲酒運転で検挙されたとの報道があり、キャスティングされていたいくつかの作品から降板したようです。役者としては順調だったキム・セロンですが、プライベートでは問題を起こしてしまったようで、ちょっと残念なニュースですね。
第62回カンヌ国際映画祭特別招待、2009年東京国際映画祭アジアの風部門:最優秀アジア映画賞
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