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【日々を綴る】終焉へ向かう喜び(Sigur Rós World Tour 2022 東京公演)
なんだかすごいタイトルをつけてしまった。
しかし何度考えても、この言葉しか見つからない。
シガーロスのワールドツアー、東京公演に行ってきました。急遽。当日券で。
随分前から、いつか生で観てみたいなぁと思っていて。
5年ぶりの来日ということで、次はいつになるかな、そして次の時果たして行けるのか?と思ったら、自分の中で「今でしょ」が発動した。笑。
もちろん、そんな急に思い立って身軽に動ける身でもありません。
明日が日本での最終公演と知って、たっぷり一晩悩んで。
おや、たまたま主人が休みで家にいるな。おや、当日券が出るんだな。おや、今から支度して出ればギリギリ間に合うな。おや、家族からもお許しが出たな。。
とりあえず本当に観られるかは行ってみないと分からないけれど、高速カッ飛ばして有明へ向かって。
開演ギリギリの時間だったけれど、渋滞にもつかまらず、無事に車も駐められて、チケットも買えて。
座席も、視線の合わないステージ正面斜め30°と言った感じで、落ち着いて楽しめる良い席だった。
幸運に幸運がかさなって辿り着き、席についてすぐ開演。
最高でした。
一曲目はVakaで、生演奏でのピアノの音は想像していたよりももっと電気的な、波形を感じさせる響きだった。それもとても良かった。
脳裏にずっと残るあのフレーズに合わせて、アイスランドのマグマや、宇宙や、人間の真髄を思わせるような、真っ赤な光の演出が続く。
そうそうコレだよコレ、という感じ。感無量。
その後はずっと、ただひたすら静かに席に座って、声ひとつ発さず、爆音とノイズと光の大洪水を浴び続ける。
ガーデンシアターは本当に音が良くて(と言っても、私あまり音の良し悪しは分からない方なのですが)とにかく音が割れそうで、割れない。
ずっと爆音に曝されているのに、耳障りも悪くない。疲れない。すごい。
それから何より、ヨンシーの声が何とも言えない、不思議で美しい音で。
やっぱり人間ってすごいなって思いました。(すごいしか言えない!笑)
とにかく、アーティストの感性、表現力、音響技術、映像演出、何もかもに職人技を感じる圧巻のステージで、最後はスタンディングオベーション。
大満足の3時間でした。
私がアイスランドのアーティストに興味を持ったのは、確か10代の終わり頃だったような気がする。
最初はやっぱりBjork。
それから、Sigur Rosやmúmを知って、どのアーティストにも(うまく言えないけれど)「生」や「死」や「精神世界」のようなものを感じた。
一体どんな環境に暮らしたら、こんなガラスのような、叫びのような、独特の感性が育つのだ?と思って、そこからアイスランドという国に興味を持ちました。
(実は主人と結婚を意識し始めた時、もしフラれたら、その時は単身アイスランドにでも飛んでみようと思っていました。余談。)
アイスランドは日本と同じ島国で、温泉が有名。
火山活動が活発で、マグマツアーや巨大な間欠泉があったり、地球上で新しい大地が生まれてくる割れ目(ギャウ)があったり、とにかく「地球の鼓動」が聴ける場所らしい。
それから、オーロラが見られる地域としては比較的暖かく、なんと温泉に浸かりながらオーロラが見られることもあるんだとか。
いつか行ってみたいと思うけど、果たして。
今、敢えて人生のこのタイミングで、そんな念願のシガーロス来日公演に在りつけることができたのは、何か理由があるような気もして仕方ない。
いや、別にないのかも知れないけど。笑
「終焉へ向かう喜び」
こんな誤解を招きかねない言葉を思いついたのは、シガーロスのライブを観て何より「今生きている喜び」を感じたからに他ならない。
シガーロスの曲の中では"Glosoli"が一番好きなのだけれど、キラキラと光に溢れ、渦の中をもがいて泳ぎ、終盤でドラマチックに空へ駆け上がっていく様子が、もう人生そのものだな、と思ったりする。
生きることは、終焉へ向かうこと。
これは逃れようのない事実だ。
しかし、その道のりは、最後まで光溢れるものであって欲しい。