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M&Aの基本的な流れ|M&Aアドバイザー超初心者向け基礎知識!①

こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。M&Aの仕事はめちゃくちゃ面白いです!なので、これからは女性M&Aアドバイザーを育てたいと考えており、「超初心者」向けにノウハウを発信しようと思います。

将来M&Aアドバイザーのお仕事をやってみたいという方、参考にしてみてくださいね。また、会社の売却や買収を検討されている方も、M&Aのイメージを持っていただくために参考になるかと思います。

今回は第1回なので、「M&Aの流れ」全体を説明します。(ここでは、売主は中小企業のオーナー社長を想定しています。)

1. 事前ヒアリング

売却を検討している売主に、会社の状況、M&A検討の拝見、M&Aで継承先に期待することなど、お考えを詳しく聞かせてもらいます。M&Aの買手探しに着手する前に、ここで売主にしっかりと意向を固めてもらうことが大切です。
M&Aが常に正解というわけではありません。しっかり家族で話し合って、ご子息に継承したほうが良いケースもあれば(親族内承継)、社長の右腕を長年務めていた従業員に継承したほうが良いケースもあります(社内承継)。
ときには、廃業したほうが良いケースもあり得ます。
「社長の人生」のための話ですから、親身に社長の心の声を聴いて、とってベストな選択ができるように一緒に考えてあげる姿勢が重要です。

2. 売却案件化の準備

M&Aの意向が固まったら、買手探しのための準備に取り掛かります。
顧客情報、財務状況、人事組織など、あらゆる情報を精査します。買手候補向けの案件概要書(Information Memorandum=通称IM)を作成し、妥当な希望譲渡価格を設定します。
このIMというのは、ざっくり下記のような内容が網羅されています。

・案件概要(売却理由・希望対価・買手への要件)
・事業概要(ビジネスモデル、業界動向、企業の強み/課題や伸びしろ、顧客、仕入れ先)
・人事・組織(株主構成、人事関連規定、組織図、キーマンとその役割、各従業員の給与水準や在籍期間など)
・財務(3期分の決算書、事業譲渡のケースは分割財務諸表)
・希望譲渡対価の考え方
・本案件のスケジュール

ちなみにこのIMは、きちんと作り込んでおくことを強くお勧めします。理想は、買手候補から質問がこないレベルを目指せると良いです。
買手探しに動くと、通常検討を進めるためにたくさんの質問が寄せられます。結局、M&Aは1社としか成立しないのに、それらをさばくのはアドバイザーの仕事です。

なので、「必要なことは全部これに載ってるのでよく読んで!」と言い放てるくらい充実した内容で作成できると理想的です。

3. 買手候補企業へアプローチ

いよいよ、買手候補探しに動きます。候補となり得る買手企業をリストアップしてオフラインでコンタクトしたり、有力なマッチングサイトへ匿名で案件を公開したりすることで買手候補から手を挙げてもらうこともあります。
具体的な売却企業名を開示してIM(案件概要書)開示する前には、必ず売主様の許可を得てから進めます(このことを、ネームクリアと言います)。

オフラインでコンタクトする際に、売主からの許諾を待たずに匿名で超ラフな情報しか記載していない案件概要書を提示することがあります。これをNon-Name-Sheetと言います。ノンネームシートは、通常下記のような情報を乗せます。例として情報の鮮明度をお伝えするべく、内容も記載してみますね。

・業種:食品製造
・地域:東北
・従業員:50名以下
・財務:売上5億円以下、純資産2億円以下 
・会社の特徴:
 →HACCPに対応した衛生管理体制
 →地域のスーパーマーケットとの長年の取引実績あり
 →自社EC通販で全国に消費者顧客あり
 →20XX年「働き甲斐のある会社」受賞  etc.
・譲渡対価:1.5億円
・譲渡理由:後継者不足
・その他条件:譲渡後社長は引退予定。一部不動産を個人にて買取希望

4. Q&A対応

IM(案件概要書)をいかに作り込んだとしても、買手から質問がくることがほとんどです。基本的なQ&A対応はアドバイザーを務める当社が窓口となって行います。時には売主様に追加での資料を求めることもあります。
このやりとりには、Q&Aシートというのを使うことが多いです。文字で残しておくことで、建設的にやりとりを進めることができます。

Q&Aシートのイメージはこんな感じです。

Excelでやりとりすることが多いです


5. トップ面談

優良候補となる買手候補企業に出会ったら、社長もしくは上層部の経営陣とのトップ面談を行います。

ここは初顔合わせですので、あまり細かい質疑応答をしたりネガティブなトピックスには触れないのが通常です。

それよりも大事なのは、「お互いに経営者として相性がよさそうか」、「売却したらうまく事業継承し、さらなる事業拡大をしてくれそうな買手かどうか」など、さまざまな会話を通してビジネスシナジーがあるかどうか見定めてもらう機会となります。

事前に双方の質問事項を準備いただいて、トップ面談の場で回答を準備いただくこともあります。

M&Aに慣れていないと、緊張しすぎて会話が弾まないことがあります。そんなときはアドバイザーが当事者同士の共通の話題など、雑談を含めて話題提供してあげることも大切です。あまりに緊張感のある面談にならないようにサポートしてあげましょう。

6. 意向表明書

買手候補企業が、トップ面談を経て具体的に買収検討を進めたいということになったら、その買収意向を明確に示してもらうために、意向表明書(Letter of Intention=通称LOI)を提示いただきます。

LOIには、買収検討理由やDDに入る前段階の買収希望金額、その他要件の概要が記載されていることが多いです。(意向表明書は⑤のトップ面談前に提示いただくこともあります)

7. 基本合意

意向表明書が提示され、買手候補企業からの買収意向を受入れることを売主が決断したら、買収監査(Due Diligence=通称DD)に入る前に、基本合意を締結します。基本合意書には、独占交渉期間の設定やその時点での想定買収価格などが記載されます。基本合意を締結した時点で、買手企業と1対1の交渉期間が開始されます。

8. DD(買収監査)

買手候補企業が本格的に買収可否を判断するための監査を行います。
法務・財務・税務・労務・ビジネスシナジー面、様々な観点で監査をしていきます。買手企業が自ら監査を行う場合もありますが、多くが弁護士や会計士などの専門家を起用します。

期間は短くとも1か月はかかるケースが多いです。この監査を経て、金額の交渉が入ったり、細かい買収条件が精査されていきます。

9. 最終契約締結

DDを経て、最終的に買手候補企業の希望条件を受入れる意向が売主に固まったら、最終契約書の締結をします。株式譲渡であれば株式譲渡契約書(SPA=Stock Purchase Agreement)、事業譲渡であれば事業譲渡契約書を締結します。

10. クロージング

最終契約締結後、譲渡対価の支払をもってクロージングです。
ケースによりますが、双方の押印と譲渡対価の入金をその場で執り行う「調印式」を実施するケースが多いです。

調印式の大まかな流れは下記の通り。

・最終契約書の内容確認
・双方の捺印
・重要物の確認(重要書類、法人代表印の印鑑、通帳、印鑑証明書など)
・入金(銀行とやりとりしてその場で決済します)
・重要物の引き渡し
・売主よりご挨拶
・買主よりご挨拶
・写真撮影

以上でM&Aプロセスとしては終了です。

調印式で撮影する写真は、買手のプレスリリースに活用されたり、業界新聞に掲載されるケースがありますので、アドバイザーが撮影するとしたら丁寧に、慎重に撮りましょう。買手の広報部の方が撮影することもありますので、事前に確認すると良いでしょう。

クロージング後

クロージング後、Post Merger Integration(=統合後のプロセス。通称「PMI」)と呼ばれる譲渡後の引継ぎ支援が発生します。買手企業によって継承する経営体制はさまざまなため、買手企業とよく摺合せをしながら計画を立て、事業を継承していきます。

本日はここまでです。

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ではまた♪Adiós❤

🏋️‍♀️「女性M&Aアドバイザーが増えてほしい!」ということでごく最近発信活動を始めました。M&A以外でも、私がこれまでチャレンジしてきたことや、人生に対するマインドなんかもたくさん発信していきます♪
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