SaaS企業のT2D3を支える組織の仕組みとは #SaaSLovers Day10
こんにちは!welldayの加藤(@mk_mitarashi)です🐈
#SaaSLovers というブログ投稿企画で投稿します。
過去の記事はこちらから見られます。どの記事も勉強になるものばかりなので、ぜひご覧になってください!
今回は、自分がHRtechの中の人としてT2D3期の企業様をご支援する中で感じた成功企業の組織の仕組みづくりについて紹介します。
T2D3期は組織も一気に大きくなる
シリーズA以降のSaaS企業の組織は大体これくらいのスピードで成長すると言われています。一気に組織の人数が増えることがわかります。
この中で、組織ではこんな変化が起こります。
・組織の構造が変わって中間管理職ができる
・解く課題が変わるので異なった性質のメンバーのマネジメントを求められる
プロダクトチームに求められる役割の変化についてはALL STAR SAAS FUNDさんのブログがものすごくわかりやすいのでぜひご覧ください。
それによって、中間管理職層に負担が集中します。
具体的に、こんなことが起こります。
・組織が急拡大してマネジメント層の補強が追いつかない:(例) マネージャーが足りずに一人で20人を見ている
・結果としてチーム全体に目を配れなくなる:(例)一人一人のコンディションに気を配りきれず、気づいたらしんどくなっている人が発生してしまう
マネジメント層に集まる負担をどう解消するか
これらの課題は、これまでの支援の実績から見ると
①マネージャーが見られるチームの範囲を超えている(※)
②マネージャーがプレイング業務も担っているのでピープルマネジメントに割く時間やマインドシェアの余裕がない
ことが要因です。とにかくマネージャーは忙しいんです。
この状況に対しては次のような施策で解決するケースが多いです。
1) 権限委譲してチームを分割する
2) ピープルマネジメントに割く時間効率を高める
マネージャーを採用することももちろん解決策としてはありますが、カオスとともにあるのがスタートアップ。ここではあえて「今いる人員でいかに乗り切るか?」の問いにスコープインします。
1) 権限委譲でチームを分割する
これは、メンバーの中からリーダーとしてマネジメントを任せる方法です。
権限委譲するメンバーを特定する
権限を明確にする
モニタリングする
フィードバックする
というサイクルを回します。
■権限委譲するメンバーを特定する時の考え方
ベンチャーマネージャーにとっての必読書・EVeMの長村さんのnoteが非常に勉強になるので参照します。
メンバーのタイプに応じて、「誰が適任か」を意識して今のメンバーから選抜することが大事です。特にマネージャーを支えるサポートメンバーである「パートナー」が誰か?を常に意識できると、いざ権限委譲するとなった時に「任せられる人がいない…」と困らずに済みます。
■権限を明確にする時に使えるツール
いざ任せたとしてもついついマネージャーが口を出してしまって、任せているはずのメンバーのモチベーションが下がってしまったり、動きが重複して生産性が下がってしまったりします。
その時にめちゃくちゃおすすめなのが、「デリゲーションポーカー」です。
権限委譲したいメンバーとマネージャーの間でメンバーに任せる役割を定義した上で、こんな会話をすることで「委譲」のレベルをすり合わせることができます。
マネージャー「Aという役割は十分推進できると思っています。でも最後には報告が欲しいので6で進めましょう」
メンバー「まだ不安なので、自分としては5でやりたいです」
マネージャー「Bという役割は、まだ能力と経験値から足りない部分もあるので4で進めたいです」
メンバー「自信があるので、5で進めても良いですか」
デリゲーションポーカーの取り組み方はこちらの記事が大変勉強になるのでぜひご覧ください。
■モニタリングの役割と方法
権限委譲した後にチームが健全に動けているか?をモニタリングできると、ハレーションの予兆に対処しながら委譲を進めることができます。
ここでは、いわゆるアンケートからチーム状況を把握するサーベイツールを使うのがおすすめです。ここで、メンバー・リーダー・マネージャーの階層構造の中で、メンバー・リーダー間に起こる小さなモヤモヤの種を発見し、対処します。
ここでは、
・結果はマネージャーまでしか見えない前提でアンケートを実施することで回答するメンバーの本音を拾う
・匿名ではなく実名形式でヒアリングすることで手を打てるようにする
ことがポイントです。
welldayでも、HRSaaSを提供するROXX様でパルスサーベイを権限委譲の際にお使いいただいた事例がありました。
2) ピープルマネジメントに割く時間効率を高める
SaaSスタートアップでよく聞くピープルマネジメントの手法はやはり1on1です。(飲みニケーション、社内イベントの場でもコミュニケーションは取れますが、このご時世であまり聞かなくなりました)
特にマネージャーとしてのマネジメントの範囲が広いと、毎週8人と1on1している…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。一人30分だとしてもそれだけで4時間かかります😨
ただでさえ忙しいT2D3スタートアップをご支援してきた身としては、
コンディションチェックはパルスサーベイに任せてしまう
1on1の場の質を高める
のがとてもおすすめです。
■パルスサーベイってなに?
直訳するとパルス=脈拍ですが、チームの調子を測るためのアンケートの形式を指します。毎月〜隔週〜毎週の頻度で、チームの中で誰がどんな調子なのか、を測るために使われるサーベイです。
1on1に比べてわかる情報の量は下がりますが、パルスサーベイの良いところは優先度がつけられることです。サーベイを挟むことで、アラートが上がっている人を発見して「この人には話しかけておこうかな」というメンバーを絞ることができます。
例えばサーベイを使うことで8人全員との毎週の1on1を月に一度・隔週に変更し、週次で気になる1人との面談に絞れれば、1on1全体の時間を短縮しつつもクリティカルなアラートに対処できる状態が作れます。
■1on1の場の質を高めるには?
T2D3期のスタートアップにとって、1on1の場はマネージャーとメンバーの貴重な対話の機会です。
「ヤフーの1on1」では経験学習を促進させる場と定義されていますが、スタートアップにおいては特に
・メンバーの目標達成の障害を把握する
・障害を乗り越える手助けをし、達成のモチベートをする
という役割になるのではないでしょうか。
そんな1on1の場を最大限活用するには、事前準備と対話のスキルが重要だと考えています。ここでは、明日からも使える2つのtipsを紹介します!
①アンケートや定型アジェンダを使って話すトピックとサポートのスタンスを明確にする
プレイドの宮本さんが投稿されていたアンケートの項目もバズっていましたが、wellday社内でも試した結果1on1の濃度が上がったのでおすすめです。
また、207株式会社さんの科学された1on1のフォーマットも体調のチェックからプライベートの変化の吸い上げまでできるので、特にフルリモートの会社さんにはおすすめです。
②SL理論で状態に合わせて対話のスタイルを変える
SL理論とは、メンバーの状況に合わせたリーダーシップの種類を定義した理論です。
メンバーのタイプをモチベーションのあるなし・スキルのあるなしで分け、フィットする4種類のリーダーシップの取り方を定義しています。これに合わせて対話のスタイルを変えることで、より有意義な1on1の場になります。
まとめ
つらつらと書いてしまいましたが、T2D3のSaaSスタートアップにおいてはマネージャーの負担がとても大きくなります。今いるメンバーでいかに事業を進めるか?という視点からだと、権限委譲と対話の機会の濃度を高くしていくことが大事だと感じています。
組織づくりでお困りの方に少しでもお力になれれば嬉しいです!
#SaaSLovers 次の投稿はcommmuneの杉山さんの「PLGのススメ。セールスにどっぷり使った男の、非セールスSaaS成長日記」です。PLGをどう実現しているのか、めちゃくちゃ気になります!
それでは、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました!