シェア型書店にて、一箱だけの小さな本屋さんをはじめました。
本を読むのが好きなのはもちろんだけど、小さな街の書店に立ち寄り、背表紙をゆっくり眺めながら本を選ぶ時間も同じくらい好き。ハッと惹かれる一冊との出会いは、その本屋さんに足を運んだからこそ得られるもの。その時の気分や読みたい本によって選び取る本が変わるのも、好きなポイントの一つだ。
いつか、小さな街の本屋さんを開いてみたいな、と密かに思っている。この世の中に数えきれないほどある本でも、なぜか分からないけれど私にとって惹かれる一冊。その一冊ずつの積み重ねを経て、いまの私の思考が作られているんじゃないか、と時々思う。そして、そういった本との出会いは決まって偶然だったりするものだ。いつだって、本との出会いを楽しんでいたい。
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前置きが長くなりましたが、京都・丸太町駅から徒歩3分ほどの場所にある「こもれび書店」さんにてシェア型書店の棚主として棚をお借りして、小さな本屋さんをはじめました。
「こもれび書店」は、貸棚を中心としたシェア型書店。新刊やギャラリーが並ぶコーナーもあるけれど、中心となるのはそれぞれの本棚に本を並べて販売する「棚主」さんがセレクトした本たち。その一つの棚をお借りして本を並べています。
まずは、「ささやかな日々を豊かに暮らす」をテーマにして、私の部屋の本棚からお気に入りの本を選んでみました。小説からエッセイ、新書までジャンルはさまざまですが、「日常への視点」が描かれたお話を集めています。
それから、文学フリマで販売したZINE「海の街について」と「春夏秋冬、京都暮らし」も置いています。本棚にある本は、週一の頻度で入れ替えたり補充したりしようかと思っているので、時々移り変わる本棚の様子を観察するのも楽しみです。
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一つひとつの本棚には棚主さんの好きや個性が詰まっていて、本棚を眺めているだけでも面白い。一般の書店のように本のコーナーごとに分けられているわけでもなく、ゆるやかに本棚ごとに棚主さんの想いが詰められた本が並んでいるので、思わぬ1冊に出会える。本を読むのはもちろん、「本を選ぶ時間」や「本との偶然の出会い」を楽しみたい方にはぴったりの空間です。
いまの時代、ネットでだって本は買えるし、SNSでおすすめの本を簡単に見つけることができるけれど。書店に足を運んでじっくりと本棚を眺めながら、「これだ」と思う一冊に出会う時間すら、大好きで大切な時間だと私は信じている。そんな本との出会いが欲しくて、私も本屋さんというものに興味を持ったのだと思う。
欲しい本があるわけではないのに、ついつい本屋さんに足を運んでしまう。辛いことがあって少しでも気持ちを晴らしたい時に選ぶ本もあれば、いつもとは違うジャンルの本を読んでみようと意気込んで選ぶ本もある。何も買わずに本屋さんならではのゆっくりとした時間と空間を味わうためだけに立ち寄ることもある。
どなたかにとって「この本と出会えてよかった」と思える一冊のきっかけになれますように。