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2022年暮らした街の回顧録:福岡・大濠公園
1年間家を持たずに旅するように暮らしてきた私が、2022年に暮らした街を振り返る回顧録エッセイです。当時書いた日記やnoteを読み直し、さらに「今感じること」を付け加えたようなもの。多拠点生活の中で、奇跡のように出会った街に感謝の想いを込めて。じっくりと丁寧に書いていきます。
2021年の暮らした街を振り返ったnoteはこちら。
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3月の後半半分は、福岡へ。去年の11月に初めて福岡を訪れてから、すっかり大好きになった街。きれいに整備されてる都会で、だけど大濠公園みたいな自然がどかんと真ん中にあって、おいしいお酒も食べ物も無限にある。なんて魅惑の街なんだろうか。
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とりわけ、私は大濠公園を取り巻く街の空気感の虜になった。大濠公園の目の前にあるホステル「UNPLAN FUKUOKA」に滞在をして、仕事も散策も楽しんだ。
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大濠公園の虜になった理由は、おおらかな自由な雰囲気を纏っていると感じたから。それはもしかすると京都の鴨川を歩いてるときの感情に近いかもしれない。都会のど真ん中にだだっ広い自然があって、それを上手くそこに暮らす人たちが活用しきっている感じ。
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犬を連れて散歩をする人も、ランニングをする人も、ベンチに腰かけてぼーっとしてる人も、みーんな平等。この場所にいるときだけは、それぞれが纏ってる社会的な何かを取り外してしまえるような空気、というのかな。そんな自由で平等な空気感が、私がこの場所を気に入った一番の理由かもしれない。
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そして、何よりもみんながみんなのびのびとしている。ひとりで歩いているはずなのに、なんだかこの「天気が良くてきもちいい!」という嬉しい気持ちを、そこにいる全員と共有しているかのような。そんな気持ちにさせてくれる空気感。
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3月のポカポカ陽気のなか、私もそこで暮らす人たちに近づこうと、毎日のように大濠公園へと散歩に出かけた。(そう、旅先に行くとついつい「そこに暮らす人」として、その土地を楽しみたくなってしまうのだ。)「散歩に出かけたいから」が早起きをする理由になるのは、健やかな日々を暮らしているようでとても嬉しい。
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あるときはミスドで一つだけドーナツを買って、あるときは近くのパン屋さんでパンを選んで。目の前に広がる景色を、いつまでも覚えていられるように、という念を込めながらじっくりと眺める。
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ある日、いつものように歩いていると、ベンチに腰掛けた夫婦らしい2人が目に付いた。程よい距離感で、何をするわけでもなく、ぼーっと「そのとき」を過ごしていた。なんだかよく分からなかったけれど、すごく胸に響いた。この2人が夫婦だったのか、たまたま公園で出会っただけだったのかは決して分からないけど、こんなふうに歳を重ねて、こんなふうに時間を重ねていきたい、と心から感じた瞬間であった。
ほらね、何気ない瞬間瞬間のささやかな日常の景色でさえ、こうやって私に大切なことを教えてくれるんだ。
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当時の日記を掘り起こすと、そんな景色の中レミオロメンの「花鳥風月」という曲を繰り返し聴いていたよう。木陰にそよそよと木の影が揺らめく景色を見て、そんなささいな日常をも愛したいと、いつものように願っていた。
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私自身が何よりも惹かれる景色がたくさん詰まっている福岡。特別なことは何もしなくてもいい。何気ない日々の暮らしに、さりげないあたたかくなるような出来事がたくさんたくさんあるんだよ、と大濠公園で見て感じた景色が教えてくれた。
春の陽気な空気の中で、私はまたあたかかな気持ちで満たされながら、ゆっくりと次の旅先へと向かう。
福岡に滞在していたときのことを書いたnoteです。
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2022年、暮らした街の回顧録エッセイをまとめたマガジンです。出会ったすべての街と人に愛をこめて。
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