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京都の夏を楽しむ │ 下鴨神社 みたらし祭

祇園祭の前祭が終わって、すっかり空気が梅雨から夏へと変わった。京都の夏は暑い。本当にうんざりするほど暑い。

けれど、そんな夏の京都にはたくさんの神事がある。神社やお寺が多いからか、いたるところでお祭りが行われているように思う。そのひとつが、下鴨神社のみたらし祭、通称足つけ神事だ。

うだるような暑さが少し和らいできた夕方に、糺の森を抜け下鴨神社へ向かう。少しずつ夕方から夜へと移りゆく空気を感じて、この移り変わりは「夏だなぁ」と思わせてくれる。

「足つけ神事」ともいわれているように、みたらし祭は、御手洗社にある御手洗池に足をつけ、無病息災を祈ってお祓いをうけるというもの。

2年前の昼間に行ったとき、この水の冷たさに救われた。

ゆっくりと水に足をつけ、少しずつ進んで。想像の何倍もキンと冷えてる水の冷たさは、夏にはちょうどいい。身体全体に涼しさが行き渡っていくようで、まるでサウナ後に水風呂に入ったときの気持ちよさだ。

さて、冷たい水に足をつけて、入り口で受け取ったろうそくに火をつけて献灯。

なんだか最近30代も近づいてきて、検査にひっかかったりすることもあって、本当に健康って大切だよなぁと身にしみている。昔は「日々楽しくありますように」「~ができるように頑張ります」などと祈っていた気もする。けれど、最近もっぱら「穏やかで健やかでいられるように日々を噛みしめながら生きたいです」というようなことを祈っていて。

定期的に自分がいま一番大切にしたいことを再認識できる気がして、お祈りする時間が好きになった。神様に叶えてもらおうだなんて、思わない。ただ祈るだけで「あぁ、いま私はこんなことを考えていたんだ」と再認識させられる。神社やお寺が無数にある京都で、”お参りをする”機会をたくさん与えられる生活がとても好きだ。

そんな風にゆっくりと祭の雰囲気を味わっていたらすっかり夜になっていた。以前、ひとり暮らしをしていたときには早朝の下鴨神社へよく散歩にでかけていたけれど、夜に訪れるのは初めて。真っ暗な森の静けさに浮かぶオレンジのちょうちんが綺麗で、夏ってこんな感じの記憶がたくさんあるよなぁと思う。花火大会に行った帰り道とか、人込みをオレンジの灯りを目印に進んだこととか。なんだか懐かしい気持ちになる。

暑い夏の夜、足だけすっきりと冷たい。心まで軽やかになったような気分だ。夏はまだまだ始まったばかり。暑さに負けそうなときもあるけれど、京都の街を歩いていれば、どこかしらでお祭りが行われている。夏をあえて感じて楽しむのもいいのかもしれないね。

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