[ 地域おこし協力隊 × 図書室 ] ボードゲームでまちづくり
公共サービスが豊かな時代
“ボードゲームカフェ“が流行ったのはいつだったでしょう?しかし今またボドゲがアツい気がしています。それか、実は局所的に流行り続けているんだと私は思います。
図書館界隈では、数年前からボードゲームを活用するところが出始めたようです。じわじわと増えているようで、今では図書館の備品販売会社が、ボードゲームまで販売しています。
「図書館=調べもの・静かな場所」の一般的なイメージから考えると、すごいことだなぁと思います。
現代の図書館はただ本を読む場所というよりも、地域のコミュニティの場として活用しようと動いている自治体が多く見られます。先日、研修として都会の図書館を巡りましたが、「ただ本が置いてあるだけの図書館」は絶滅危惧種になるかもしれない、と実感。地域に根ざした展示が大きく賑やかにされていたり、市民がサークルやコミュニティを作って活動できるようになっていたり、イベントが毎週のように開かれて賑わっていたり……。
公共サービス=最低限の文化の確保ではなくなっている、豊かな時代だなと思います。(個人的にはもっと最低限度を底上げして担保するところがあるのでは、など、ちょっと引っかかってしまう部分もあるのですが。)
そういうわけで、私も地域おこし協力隊として図書室に来てからは、イベントを開いたり、地域の人たちと関わる仕組みを作ったり、図書室が繋がりを生む場所となるように仕掛けてきました。
イベント人気の低い田舎町
……仕掛けてきました、とは言っても、最初からつまずいていました。移住して段々とわかってきたのは、元々出歩かない人が多い、人と出会う場があまり好きではない、非日常的に盛り上がるところに行くのは子どもだけ、という出不精とも言える町民性・気質。町にもよると思いますが、小さい町だとあるあるなのかもしれません。交流の場も新しいものも求められない、都会とは全く違う小さな町。(もちろん好きな人、求めてる方もいらっしゃいますが割合にすると極少数。)
ここで集う場をつくっても人は来にくいな……と考えながらも、繋がりが生まれる・広がることで住みやすい社会になるという持論を引っ提げて、細々と試行錯誤を続けてきました。
とりあえず一つやってみたのはトークショーと座談会。
リピーター・ファンとなってくれる人ができること、テーマによって参加者がガラッと変わるだろうことが想定できるので良いなと思いました。
次にやってみたのが、ここでやっと話が戻ってきます。
ボードゲーム会!
ボドゲの日をつくってみよう
月に一度、ボードゲームの日を設けることに。
大人だけの場も設けたかったので、
「ミンナの日」主に子供向け(放課後の時間)
「オトナの日」20歳以上(夜・飲食持ち込みOK)
の2部制。
これは普段顔を合わせない幅広い世代の人に盛況となり、開催継続を決めました。4千人に満たない人口の町で、振り幅ありますが平均して10名程度集まっています。
【ボードゲームの良いところは】
◎ 初めましての人でも、お話するのが苦手でも、
話すことなくテーブルを囲んでゲームをすれば
不思議と打ち解けられる。
その後、なぜか親近感がわき話しやすくなる。
◎ 世代ごちゃまぜで楽しめる。
◎ 単純に面白い。ハマる。→リピート
◎ 頭をつかうゲームからバカにならなきゃ楽しめないゲームまで
様々な種類があるため、どれかはハマるはず。
◎ いろいろな力がつく!(俯瞰力・チームワーク・先見力・思考力・などなど)
【ボードゲーム"会"の良いところは】
◎ 自分じゃ選ばないようなゲームをやってみることができて、
やってみるとハマったりする。面白さがわかる。
(家でやるだけなら自分が選んだゲームばかりしますから)
◎ 普段、顔を合わせることはあるけど全く話さないような人と話せる。
◎ 異業種交流みたいになる、同職場の人たちの場合も職場よりもう一歩打ち解けられる。
ただゲームで遊ぶだけ?と思っていた方、どうでしょうか。なかなか良いツールだと思いませんか?
繋がりを生み孤立を減らすサークル活動
ボドゲ会を始めて半年経ちました。毎回固定のメンバーもできたものの、日によって集まり具合は変わるので新規の人が入りにくい感じではなく、誘われたり引っ越してきたりと初めましての人も毎回のようにいます。
ボドゲ会では、普通に生活していたら繋がらなかった近所の人たちが繋がったことが何よりの成果でした。参加者同士が『別のイベントで会った時に「ボードゲーム会にいましたよね〜」と気軽に会話ができた』、とお伝えいただいたこともありました。職場が同じでもそんなに話したことがなかった人と打ち解けられたり。町で顔を合わせてはいたけど知り合いじゃなかった人たちと、挨拶を交わせるようになったり。確実に繋がりが生まれていました。
繋がりづくり=減災
都会から田舎に移住してみると、想像通りにご近所付き合いが増えました。何か困った時には、ご近所さんに助けてもらってばかりです。
これは災害時にもとても大切なことだと感じます。
いざという時、助け合えるのは近くの人。
遠くの親戚より近くの他人です。
このような軽めの地域のイベントが、自然と顔見知りを増やす機会となって、住みよいまちづくりとなって、さらには減災にも繋げられる。ただゲームで遊ぶだけの会だって、開催価値大です。
はじめは出不精の町で無理にイベントを開かなくてもいいかな……と思いましたが、開いてみるとまた見えていなかった繋がりが生まれました。
人の興味はそれぞれで、町の人全員にとって心地よいものを作ることは(きっと)不可能。全員にヒットする企画などありえないのだと踏まえると楽に企画できるようにました。幅広い層にリーチできるような色んな種類の施策をすれば良いのだと思います。世代も層もバラバラの"ごちゃまぜ"を生み出すようなイベントを作ることも大切ですが、サークル活動のように狭くても定期的に会って深められるイベントもまた住みよい社会をつくるには必須だと思っています。
孤立は心身の健康に直結、死亡リスクも高めるそうです。人・社会と繋がる場をつくっていくことはとても有意義な公共サービスではないでしょうか。
ちなみに、私はこのような活動が全て"町民発信"のサークル活動になっていくのがベストだと思っていますが、サークル活動になった途端、新規が入りにくくなるところが難しい点です。なので、はじめは自治体発信で、そのうち自走するようになったらいいなと考えています。
自治体の皆さん、是非!
ボードゲームをまちづくりに取り入れてみてはいかがでしょうか?
今日の1冊は
遊んでるだけと思われないための参考図書、こちら!
『ボードゲーム教育』
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