たまには別の場所から #夕陽海彩の呟き
久しぶりに、
実店舗の書店を散策するということをした。
時間のないときにはなかなかできない、
「探している本を買う」のではなく、
「新しい本と出会いに行く」というアクション。
でも、それをしている今、
夕陽海彩は暇に飽き飽きしているのかといえば、
全くもってそうではない。
文化祭公演の脚本家としての仕事
目下の練習中の曲
小説賞に応募するべくブラッシュアップさせたい小説のプロット
やることはむしろ多すぎて、
時間が足りないくらいだ。
そんな時になぜ、新しい本との出会いの旅をしようと思ったのか。
それは
別の場所からものごとを見つめるため。
色々な出来事が重なり、
脚本の仕事にも、音楽的な研鑽にも、
気持ちの上で行き詰まっていた。
そんな時、気分転換に小説を手にすることはよくあるものだけれど
ここのところ、
家の本棚を眺めても、並んだ背表紙の上を指先が滑っていくことばかりが続いていた。
何を読みたいのか、自分が何を求めているのか
自分のことがよく分からなくなっていた。
内にいて分からないならば、外に見つけに行くしかない。
そんな考えから、たまには別の場所に答えを求めにいこうと思い立った。
そこで手にした本を見て
私は自分が何を求めているのか、
何を探しているのか
少しだけ、見えてきた。そう思う。
その場にばかりいては、わからないことがある。
焦る時こそ、思い切って外に出て、
たまには別の場所から、自分や目の前のものごとを眺めてみるのも悪くない。
そこから新しい何かに出会えたり、気づきを得ることがある。
すぐには実感がわかなくても
すくなくとも
それらのものと出会う前の私とは違った何かになれているのだと
それまでと全く同じところに留まってはいないのだと
手にした本の表紙を見つめながら
私は新たな出会いに思いを馳せる。