焼きものの町、波佐見へ
長崎を含む九州北部地方の梅雨は、異例の17日間という短さで6月のうちに明けました。いきなりやって来た真夏の猛暑のなか街を歩けば、橙色のノウゼンカズラがあちらこちらで目を引きます。開花時期とはいえ、この暑さの中、次々に花を咲かせるなんて、すごい。そのたくましさと明るい色合いが元気をくれます。
さて、梅雨明け直後の週末、焼きものの町、波佐見へ行ってきました。長崎市街地から波佐見へは、公共の交通機関を利用すると2時間ほどかかります(JR長崎駅〜川棚駅下車、川棚駅前で路線バスに乗り換え、「やきもの公園前」バス停下車)。電車では波静かな大村湾の眺め、路線バスでは田園風景を楽しめるので、時間がある方にはおすすめのアクセスです。
近年、波佐見焼は、さまざまな暮らしのシーンに寄り添う多彩でお洒落なデザインの器として注目を浴びています。聞くところによると、お気に入りの器を求めて、関東方面から若い人がよく訪れるのだとか。江戸時代、丈夫で手頃な価格の器として流通し「くらわんか碗」と呼ばれていた波佐見焼。その後も、まちをあげての分業制で、変化する時代に応じた暮らしの器を作り続けてきました。そうしたものづくりに対する柔軟さが、波佐見焼の魅力のひとつになっているようです。波佐見めぐりのスタートは、「やきもの公園前」バス停そばにある「くらわん館」(観光交流センター内)から。1階のショップには波佐見焼の窯元・商社の商品が揃っています。2階は資料館で、400年余りの歴史がある波佐見焼について詳しく知ることができます。また、隣接する「やきもの公園」には、世界の代表的な窯が12基も再現されていて、圧巻です。
観光交流センターで貸し出されていたレンタサイクルで、陶郷・中尾山へ向かいました。のどかな田園風景のなかをいく車道は走りやすく、電動自転車なのでゆるやかな上り坂も楽々。のんびり走って10数分で到着です。
波佐見のなかでも古くから窯業が盛んに行われてきた中尾山。山の谷間の斜面地に立ち並ぶ木造家屋やレンガ造りの煙突が、どこか懐かしい風情を漂わせていました。坂を登りきったところにある「中尾山交流館」は、観光案内所も兼ねたギャラリー&ショップ。窯元めぐりをする前に寄るのがおすすめです。
中尾山では、手彫りの白磁の器で知られる「一真窯」を訪ねました。民家を利用したギャラリー&ショップは、親戚の家に気軽におじゃまする感じです。生地に彫りを入れるオリジナルのカンナは30種類以上。熟練の職人技で模様を施しながら極限まで彫り込み、薄く透けるような白磁の美しさを実現しています。食卓をさりげなく彩る洗練されたデザインで、手に取ると思いのほか軽く、手作りの温もりも感じられました。
山の斜面を利用して築かれた世界第2位の規模を誇る巨大な登り窯「中尾上登窯跡(なかおうわのぼりかまあと)」(国史跡)にも行ってみました。長さ約160メートル、窯室33室。操業開始は17世紀中頃。大量の「くらわんか碗」をはじめ海外輸出用のコンプラ瓶などが焼かれた窯です。現場では、窯の規模の大きさを実感。江戸時代の焼きものの大量生産の様子が想像できました。
まだまだ見どころ満載の波佐見。秋にふたたび行ってみたいと思います。
◎「一真窯」の「ウェーブ鉢盛」「丸カップセット」は、みろくやの通販でも購入できます。
株式会社みろく屋
みろくやは長崎のソウルフードであるちゃんぽん・皿うどんを代表商品として、長崎の「おいしい」を全国に向けて発信している企業です。
「おいしい笑顔」は「幸せな笑顔」。私たちはお客様の「おいしい笑顔」のために日々努力し、前進し続けてまいります。
株式会社みろく屋ウェブサイト https://www.mirokuya.co.jp
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?