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【20ヶ国108社】フェムテック②生理に関する課題に取り組む9ヶ国17社のスタートアップ
ピルのオンライン診療サービス「スマルナ」の調査によると生涯で生理のためにかかる費用は約40万円と言われています。さらに、「日本のユース女性の生理をめぐる意識調査結果」によると、何らかの理由で生理用品の購入や入手をためらったり、購入できなかったりしたことがあると答えた人が717人(35.9%)。その8割は、「収入が少ない」「生理用品が高額」「お小遣いが少ない」など、収入や価格を理由に挙げています。
特に日本では、「生理について、公に語りたくない、恥ずかしい」という声が多くあります。日本は海外と比べて生理に対する不浄感、タブー意識が
強いと示されており、初めて紙ナプキンが発売されたのは、欧米よりも40年ほど遅い1961年のことです。
このように生理に関する問題は山積しており、これらの課題を解決しようとするスタートアップが世界で注目を集めています。
このnoteでは生理に関する課題に取り組む日本、アメリカ、イギリス、スペイン、ドイツ、フランス、オーストラリア、カナダの9ヶ国17社のスタートアップをご紹介します。
1 株式会社Be-A Japan (日本)
【創業】2020年
【調達】Seedで1.8億円 (2021年6月)
超吸収型サニタリーショーツ「ベア シグネチャー ショーツ」を展開しています。使い捨ての生理用ナプキンを1日5枚使用すると仮定すると、生涯で約12,000枚もの生理用ナプキンを使用することになります。プラスチック製品である生理用ナプキンやタンポンは、未だに土に還っていないと言われています。環境汚染やプラスチックフリーが叫ばれる昨今、1人が1万枚以上のプラスチックごみを廃棄している事実を多くの女性は知りません。超吸収型生理ショーツ「ベア シグネチャー ショーツ」は洗って何度も使用できるため地球にも優しい選択肢です。
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2 株式会社Neith (日本)
【創業】2020年
【調達】Seedで約5,000万円 (2021年6月)
授乳期用の母乳漏れを吸水してくれるブラレットと、生理中の女性のためのナプキン11枚分の吸水量を誇るショーツを販売しています。Rinēの吸水ショーツや吸水ブラレットは、洗って繰り返し使うことで今まで排出していたナプキンやタンポン、母乳パッドのプラスチックごみを削減できる選択肢です。製品の素材や発送時のパッケージも地球に優しい素材を使っています。
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3 株式会社BLAST (日本)
【創業】2018年
吸水ショーツNagiと、女性にむけたエンパワーメントメディアBLASTを運営しています。経済的な理由で生理用品が購入できない「生理の貧困」の課題を鑑み、22歳以下のすべての人を対象に学割サービスも展開しています。
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4 株式会社Entale (日本)
【創業】2019年10月
生理予測・共有アプリ「ペアケア」の運営と、ノンカフェインサプリメント「Awake」の販売をしています。ペアケアは、LINEを利用した生理日予測・パートナー共有サービスです。独自のAIで生理日・排卵日を予測し、恋人や家族・友人などのパートナー共有もできるようになっています。
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5 PMS Bites (アメリカ)
【創業】2015年2月
Boston, Massachusettsを拠点とし、月経前症候群(PMS)に関する課題の解決に取り組んでいます。PMSとは生理前に起こる心やからだの不調を指します。PMSの症状は人によってさまざまで、150以上も存在すると言われていますが、中でも多くの女性が苦しんでいるのが、食欲の増加です。特に、PMSの症状の中で、女性は糖分を欲するようになると報告されていますが、糖分の摂取はPMSの症状を悪化させ、さらに気分が悪くなることもあります。PMS Bitesは、美味しくてヘルシーなスナックで、PMSの症状を抱える女性のために特別にデザインされています。ビーガン、グルテンフリーの天然素材を使用しており、女性が抱える腹部の膨満感や痙攣、イライラなどの症状によく効くハーブをブレンドしています。
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6 Thinx (アメリカ)
【創業】2013年
【調達】Series Aで$25M (2019年9月) 合計$26.5M (約30億1200万円)
New Yorkを拠点とし、17種類の吸水ショーツ「Thinx」と、生理が始まったばかりのティーン世代の体にフィットするようにデザインされたショーツ「Thinx (BTWN) 」や尿失禁をサポートする「speax by thinx」を展開しています。世界の吸水ショーツブームの先駆けになりました。
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7 CORA (アメリカ)
【創業】2015年
【調達】合計$26.6M (約30億2300万円)
San Francisco, Californiaを拠点として、オーガニックタンポンやナプキンを販売しています。CORAは、すべての女性が安全で効果的な生理用品にアクセスできるようにすることを使命として掲げており、自社製品が1箱売れるごとに生理用品を必要としている国内の女の子や発展途上国の女性に生理用品を提供しています。
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8 Ruby Love (アメリカ)
【創業】2015年12月
【調達】合計$15M (約17億400万円)
New Yorkを拠点として、生理用の吸水ショーツと吸水水着、生理用パジャマを販売しています。初めて生理が来た女の子に贈るFirst Period Kitsも販売しており、生理についてオープンに話すことがタブーになっている文化を変えようとしています。
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9 De Lune (アメリカ)
【創業】2017年8月
【調達】Seed
Dover, Delawareを拠点とし、生理痛を和らげるカプセルや、気分の落ち込み、膨満感、ホルモン性のニキビ、睡眠障害などのPMS症状を和らげる商品を販売しています。
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10 Flo Health (イギリス)
【創業】2016年
【調達】Series Bで$50M (2021年9月) 合計$75.5M (約85億8100万円)
London, Englandを拠点とし、正確な生理周期の予測、パーソナライズされた日々の健康に関するアドバイスが受けられる安全なコミュニティ、AIを搭載した女性の健康プラットフォームを提供しています。Floは、生理から更年期、妊婦から若い母親まで、あらゆる年齢や目的の女性のニーズを満たし、まさに生殖周期全体における女性のためのワンストップヘルスソリューションです。同業他社と異なる点は、人工知能を使って最も正確な生理周期を予測した最初の製品であることです。米国のApp Storeの「ヘルス&フィットネス」カテゴリでは1位を獲得しており、2017年には「Red Herring Top 100 North America」を受賞しました。
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11 Moonai (スペイン)
【創業】2020年
【調達】Pre-Seedで€100K (2021年7月)
Barcelona, Cataloniaを拠点とし、科学的根拠に基づいてカスタマイズされた音と、痛みを追跡する技術を用いて、生理関連の痛みを軽減するモバイルアプリを開発しています。
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12 Gazella (スペイン)
【創業】2018年
【調達】合計 £114.3K (約1700万円)
Madridを拠点とし、月経周期に応じて自動的に調整されるトレーニングプランをアプリを通じて提供しています。月経周期の各段階に合わせたエクササイズや健康的で簡単なレシピを提案することで女性の生理と健康に寄り添っています。
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13 Clue (ドイツ)
【創業】2012年
【調達】Series Bで$20M (2016年11月) 合計$29.7M (約33億7400万円)
Berlinを拠点とし、生理追跡アプリを開発しています。このアプリでは、女性が生理、痛み、気分、体液、性行為、個人的なメモなどのデータを入力することで、毎月の周期を正確に追跡することを可能にします。
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14 Smoon (フランス)
【創業】2018年
Parisを拠点とし、生理用の吸水ショーツを展開しています。さまざまな経血パターンの女性によって念入りにテストされており、経血量が少ない場合、中程度の場合、さらには多い場合でも、昼夜を問わず一枚で着用できるようにデザインされています。
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15 Korui (ブラジル)
【創業】2015年
【調達】Series B
Florianópolisを拠点とし、月経カップ、布ナプキン、月経用下着を販売しています。Instagramでは21.7万人のフォロワーを獲得しており(2021年12月時点)、自社製品の宣伝だけでなく生理用品の使い方や生理痛緩和の方法など、女性に寄り添う情報の発信を積極的にしています。
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16 Ovira (オーストラリア)
【創業】2018年1月
【調達】Seedで$1.5M (2020年5月)
Bentleigh, Victoriaを拠点とし、薬剤を使わずに生理痛を緩和するソリューションを提供しています。生理痛の治療のために、女性は毎年$740億を医薬品に費やしていますが、92%の女性は医薬品を使わずに痛みを緩和させたいと考えています。Oviraは、生理痛を瞬時に止める小さなウェアラブル製品です。身体的な痛みを解決するだけでなく、生理に関して女性が経験する精神的な孤独や苦しみを解決するために、オンラインコミュニティを構築しています。
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17 Calendher Technologies Corp (カナダ)
【創業】2015年1月
Vancouver, British Columbiaを拠点とし、生理、睡眠、栄養摂取量、マインドフルネスのトラッキングやライフスタイルのコーチングが受けられるアプリ「FLÖKA Smart Wellness Coaching」を提供しています。
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フェムテックシリーズ紹介
フェムテックシリーズでは、世界20ヶ国のフェムテックスタートアップ108社を解決に取り組んでいる問題別に11のカテゴリーに分類し、ご紹介しています。
①不妊治療に関する課題に取り組む6ヶ国18社のスタートアップ
②生理に関する課題に取り組む9ヶ国17社のスタートアップ
③女性用eコマースに関する6ヶ国10社のスタートアップ
④女性特有の病気や症状の検査・治療後のサポートを行う6ヶ国13社のスタートアップ
⑤更年期に関する課題の解決に取り組む3ヶ国8社のスタートアップ
⑥妊娠中の女性をサポートする4ヶ国6社のスタートアップ
⑦女性の栄養管理を助ける3ヶ国6社のスタートアップ
⑧オンライン診療のニーズに応える5ヶ国11社のスタートアップ
⑨産後・子育て期の女性を支える5ヶ国10社のスタートアップ
⑩避妊を助ける5ヶ国5社のスタートアップ
⑪失禁に関するお悩みを解決する4ヶ国4社のスタートアップ
気になるテーマのnoteを引き続きお楽しみください!