【多様性を考える絵本】わたしはあかねこ
私はどちらかというとネコより犬派なのですが、絵本だと犬よりもネコがでてくる作品を多く読んでいるなと、ふと思いました。
ちょっと思い浮かべるだけでも、「100万回生きたねこ」、「ねこのシジミ」、「なまえのないねこ」などの名作や、「11ぴきのねこ」シリーズ、「のらねこぐんだん」シリーズ、少し前にnoteで紹介した「ねこガム」、最近読んだ「ねこはるすばん」などなど。
絵本の中だと、犬は健気だったり、賢かったり、ちょっといたずら好きだったり、かわいくてとってもいい子として描かれることが多く、主役ではなくペットとして登場することも多い気がします。
一方、ネコはかわいらしいというより、自分は自分!と堂々と我が道を生きているキャラクターで描かれていることが多い気がします。ちょっと気取っていたりツンとしてたりもするんですが、「こんな生き方かっこいいなぁ」と思うネコちゃんがよく出てきます。
「わたしはあかねこ」のあかねこも、とてもかっこいいです。
家族の中で一人だけ赤く生まれたことで可哀想と思われているのですが、当の本人は自分の色がとても気に入っています。ただ、みんなにはわかってもらえず、白くなるようにミルクをたくさん飲まされそうになったり、黒くなるように泥の中に入れられそうになったりします。白くも黒くもなりたくないのに。
まわりのみんなも悪気はないのですが、少数派はちょっと変で可哀相という考えなんですよね。人間社会でもついそういう考え方をしがちで、みんなと違うところがあると、おかしいと思われないように隠してしまうことって誰しもあるのではないでしょうか。ただ、子どものときに親や周りがそういう考えだと、他人と違う部分を個性として認めてもらえないことで、だんだんと自己肯定感もなくなってしまいますよね。自分では変だと思っていなくて、気に入っている部分だとしても、おかしいから直しなさい!と言われるのは悲しいこと。本当はその個性を伸ばすことですごい才能を発揮できたかもしれないのに…。
と考えながらも、いざ自分が親になってみると、子どもの個性を伸ばすことより、「他の子と同じようにできてほしい」と苦手なことをなくすことに意識を向けてしまっていることが多々あるので、この文章を書きながら反省しています。
ただ、あかねこはまわりに何を言われようとも、やっぱり自分の色が気に入っていて気持ちは折れません。結果的に自分の個性をみんなに認めてもらえないのが悲しくて、家出をするのですが…。
自分らしく生きられるように家を出て、自分の幸せをつかみに行くあかねこ、凛としていて素敵です。
実際、こんなに堂々と生きたいと思っても、なかなか難しいし、自己肯定感が低く、人と違うことは恥ずかしいと思っているお子さんも多いと思います。そんなお子さんもこの本を読めば少し自分に自信が持てるかも。難しい本ではないので、今度低学年・中学年のクラスの読み聞かせのときに読んでみようかな。
このレビューを書きながら、あれ?これと似ている絵本を昔読んだような…と、ある絵本を思い出しました。だいぶ前に読んだのでストーリーは思い出せるのにタイトルが分からずモヤモヤしていたのですが、”絵本 動物 家出 多様性”など、色々とキーワードを入れてネット検索していたら、先ほど、やっとタイトルが判明。その絵本もおすすめなので、次回紹介します。
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