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読書メモ|オンライン脳 |川島 隆太

 より小さいスクリーンでゲームをするときの方が、脳への抑制効果が高く、脳の活動が抑えられる(略)安静にするときよりも活動量が低下する前頭前野の強い「抑制現象」が生じたのです。(略)テレビ番組視聴中にも同じ抑制現象が生じました。

第2章 人間の本能に反している「オンライン脳」

 ① スマホ使用による子供達の成績の低下は、自宅での「学習時間」の長さとは直接に関係してません。
②成績低下は「睡眠時間」とも直接に関連してません。
③明らかにスマホが原因で、結果的に学力が低下していました。
スマホを始めると成績が下がり、手放すと成績が上がることもわかっています。
 ウイキペディアで調べるのと紙の辞書で調べるのでは、前頭葉の働きが全く違うのです。調べ終わってしばらくして、「意味を思い出して」とテストしたら紙で調べた場合は半分ほど思い出せたのにウィキペディアで調べた場合は1つも思い出せませんでした。(略)脳がさまざまな感覚(質感、動作、においなど)を総動員して理解を深めているのではないかということです。
 インターネット習慣がない、または少ない子供達(5-18歳)は、3年間で大脳灰白質の体積が増加していました。ほぼ毎日インターネットを使う子供たちは、増加の平均値が0にちかく、恐ろしいことにほとんど発達が止まっていたのです。(略)スマホを高頻度でつかえば、3年間で大脳全体の発達がほぼ止まってしまう。ならば、勉強しようがしまいが、睡眠を十分とろうがとるまいが、学力が上がらなかったのは当然というわけです。
 スマホに依存的な人たちの脳をMRIなどでみたとき、大学生であるにも関わらず、なんとすでに脳の老化のサインが出ていました。彼らにはさまざまな精神的、心理的な異常が生じており、自尊心が低かったり、不安や抑うつ傾向が高かったり、共感性や情動抑制能力が下がったりという状態が観察されます。
 「スマホ依存」「ゲーム依存」などと呼ばれるような人の脳の反応は「物質使用障害」(アルコール・カフェイン・覚醒剤・シンナー・モルヒネ・鎮痛剤・睡眠薬・抗不安薬・コカイン・タバコなどのいわゆる依存症や中毒)と診断されたひとの脳の反応に似ている。

第3章 「オンライン」と「スマホ」で脳への複合的リスクがいっそう高まる!

・ICTの教育への活用は、読解、数学、理科では成績向上に影響がない
・ICTをあまりつかわない国では、使う国より読解力が劇的に向上
・学校にPCの数が多い国ほど数学の成績が下がる
・PCを閲覧する時間が長いほど読解力の成績が下がる
 「団塊世代」「バブル世代」「ゆとり世代」などのように、将来「コロナ世代」と呼ばれ、彼らはコミュニケーションが不得手で、学力や理解力も高くないというように否定的に語られるようになってしまうことを危惧しているのです。

第4章 オンラインへの「対応力」で格差がますます広がっていく

 子供をデジタル機器から強制的に引き離す4週間プログラムが、すでにアメリカでおこなわれています。(略)基本的には薬物依存の治療と同じと考えてよいでしょう。
① 米&おかずの朝ごはんをたべる
② 朝食は一緒にとる
③ スマホは1日1時間以内を厳守
④ 脳を硬直させるテレビとゲームを遠ざける
⑤ 親子で脳トレ、料理をする
⑥ 読み聞かせ、音読
⑦ モノのご褒美NG
⑧ 脳は寝て育てる
⑨ 外遊びで育てる
 楽な環境に身を置くことに慣れると、人の超えられるハードルはどんどん低くなっていきます。脳は使わなければ使わないほど、その能力を急速に失っていきます。

第5章 「オンライン脳」とどう付き合えばよいのか?

 なんだか似たような本ばっかり読んでる気がします。スマホを控えたら?とうちの大学生と予備校生に言ったらガミガミぎゃーぎゃー怒られました。変えられないこと憂えても仕方ないので、せめてもと、朝ごはんは炊き立てご飯(新米の季節です)と味噌汁とおかず(野菜とタンパク質)を用意して出かけるようにしています。
 自分自身については画面が大きい方がよいと知れたのがよかった。(スマホよりPC派、フリックよりタイピング)最近、同世代のママたちで集まると、スマホみるのにメガネ探したり、遠くに離したりするんだけど、その様子が愛おしくて仕方がない。老眼のおかげでスマホ依存の心配はなさそう。

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