泉鏡花作『高野聖』のあらすじと感想📖

泉鏡花の小説『高野聖』は、1915年に発表された作品で、信仰と人間の善悪、愛と死を描いた作品です。この小説は日本の現代文学においても高い評価を受ける作品の一つです。以下、そのあらすじと感想を詳しく紹介します。

**あらすじ**

『高野聖』は、京都の高野山という山中に住む庄屋・久松重兵衛とその従姉妹であるお初を中心に描かれる物語です。重兵衛は苦労して財を成した人物であり、お初は彼が肝いりで盆踊りを演じることになった女性です。

お初は美しい容姿で、男たちからの注目を浴びていますが、彼女は静かで内向的な性格を持っており、一途に重兵衛を愛しています。重兵衛もお初を大切に思っているが、彼は自分が信仰する高野山の真実を知ることになります。

重兵衛は高野山に導かれ、そこで出家した僧侶・坐円児と出会います。坐円児は重兵衛に高野山の神秘と真実を教え、人間の善悪について考えさせます。重兵衛はその言葉に触れ、自らの信念や行いを問い直すことになります。

一方、お初は自らの運命に苦しみますが、重兵衛との愛を貫こうと決意します。しかし、彼女の決断は悲劇的な結末を招きます。


**感想**

『高野聖』は、宗教と人間の心理、そして愛の葛藤を織り交ぜた作品として、深いメッセージを与えてくれる作品です。重兵衛やお初など、登場人物たちの内面の葛藤や善悪の対立が、物語の緊張感を高めています。

特に、坐円児のキャラクターは印象深く、彼の冷静な言葉や深い教えにより、物語のテーマが更に深化していきます。坐円児が語る言葉は、読者にも多くの考えさせる要素を含んでおり、哲学的な視点からも作品を楽しむことができます。

一方で、お初の悲劇的な運命は、彼女の純粋な愛と苦悩を胸に迫るものです。彼女の決意と覚悟は、読者の心を打つ要素となっています。重兵衛とお初の愛は、宗教と世俗の対立が生む困難さを象徴しており、その結末は胸を打つものがあります。

『高野聖』は、宗教や人間の内面、愛と死について深く考えさせられる作品であり、泉鏡花の作品の中でも特に優れた作品として評価されています。その美しい文章と深いテーマは、現代においても多くの読者に愛され、常に新たな解釈や感想を呼び起こしています。

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