駅のホームと缶ビール
金曜日の夜、仕事帰りの健太は自宅最寄り駅のホームにあるベンチに腰を掛けた。
健太は毎朝一時間半をかけ電車通勤をしていた。
一週間の仕事を終えた金曜日はこうして駅のベンチに座一人ビールを飲む時間がたまらなく幸せだった。若いころは会社の同僚とよく飲みに行った。
しかし、中年期になり、出世競争の勝敗の結果が出た頃から同僚との関係は希薄になっていった。それぞれ家庭を持ち忙しくなった。
かといって一人で居酒屋に入るのも気が引けた。
ある日、駅のホームのベンチで缶ビールを飲む会社員を見た