赤色の石 ロック
石のロックは、まわりの石たちと違って、色が赤いのが自慢でした。
山の上のたくさんの石ころの中で、赤色なのはロックだけでした。
他の石たちは、黒や灰色をしていました。
「僕の太陽とおなじ真っ赤な色なんだ。すごいだろう」
「この山は、一番高い山なんだ。ぼくは一つしかない赤色の石なんだ」
こう言って、いつも自分の話ばかりしていたので、
他の石たちからは好かれていませんでした。
ある日、大きな鳥が山の上を飛んでいました。
「大きな鳥だな。僕もあの鳥のように飛んでみたい」
石たちが言いました。
すると、その大きな鳥が、石たちがいる所まで飛んできました。
そして、赤色のロックを足の爪でつかまえて空に飛びました。
「僕は君たちと違って、赤色だから選ばれたんだ」
ロックのからだは、どんどん空高く舞いました。
空から見た景色はとてもきれいでした。
ロックがいた山は里山で、ロックが思っていたほど大きな山ではありませんでした。
隣の山の方がもっと高い山でした。
どんどん空が近くなるにつれてロックは怖くなってきました。
「僕は一体どこに行くのだろうか。ここから落ちたら僕のからだは砕けてしまう」
別の鳥が向こうからやってきました。
そして大きな鳥と喧嘩をはじめました。
ロックは鳥の足から落ちてしまいました。
どんどん下に落ちていきました。
地面に落ちるとロックのからだは割れてしまいました。
「僕のからだが割れてしまった」
大きな声で泣いているロックに話しかける声がありました。
「泣かないで。僕は君の一部だけど、ここにいるから」
それは、割れたロックのからだの一部でした。
ロックはこの割れたからだとお話をするのが楽しみになりました。
「ぼくは仲間ができてうれしい」
ロックは優しい気持ちになりました。
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