のんびり鎌倉紀行 32番『東慶寺』
お久しぶりです!
「のん鎌」ファンの皆さま、大変お待たせいたしました。
感染症流行の波が収まったのを見計らい、空ちゃんとの鎌倉参りと散策、再開です。
空ちゃんが調べてくれたところによると、なんと7番の「光触寺」さんがこんなことに。
いつから再開になるのかわかりませんが、今回は結願までにはかなりの時間がかかることを覚悟しなければならないようです。
前回の旅とは少し趣の違った旅にしようと話し合っていた私たちですが、なかなか、季節的なベストシーズンを選ぶことができません。感染症流行の合間を縫ってということもありますが、近場のお寺はやはり同じ日に行きたくなったりと、コース決めが安定しません。
今回は、いつもは必ず最終日になってしまう北鎌倉駅最寄りの『東慶寺』と『浄智寺』を先に回ろう、ということになったのですが、残念ながら紅葉には少し早く、微妙な季節。
『東慶寺』は枝垂桜が有名で、『浄智寺』はやぐら(中世のお墓)と竹林がみどころ。
枝垂桜は仕方がありませんが、竹林はよさそうです。
竹林は通年青々としていますが、実は以前「竹の春」という記事でも書いたように、秋は親竹が特に青々とする季節でもあります。
例のごとく朝早く待ち合わせたのですが、横須賀線が遅れ気味。
横須賀線はよく遅れるのですが、今回は電車の遅れによって、スタートも少し遅くなってしまいました。
でもそんなこたぁ、どうでもいいんです。
久しぶりのお参りとあって、二人ともやってみたいことが沢山ありすぎ、あれこれ話していいるうちに、あっという間に北鎌倉駅。
天気予報は秋晴れ。いい感じの飛行機雲を発見。
最初に訪れたのは『東慶寺』です。
東慶寺
「鎌倉ほのぼの散歩」では最終日に行ったお寺。
その時も秋でしたが、またしても秋に来てしまいました。
枝垂桜がみどころなんだってば。笑
あれから丸3年ぶりの東慶寺には、撮影不可の看板が掲げられていました。
空「前はこんなの、なかったね」
み「うん。感染症対策、というのとはちょっと違う感じだね」
枝垂桜の時期ではないとはいえ、お庭をカメラに収められないのはとても残念です。
今回、東慶寺さんでは「写経」をしていました。
前回訪れたときも開催していたのかどうか記憶にないのですが、今回はこの「写経」に挑戦してみることに。
お参りを済ませ、御朱印をいただいてから(残念ながら紙の御朱印でした。しかも300円から値上がりして500円!)、受付に申し込みをします。
小筆が1本ついて、2,000円。
パウチされた写経のやり方の案内をいただきます。
机と椅子が用意された写経のお部屋に入ると、机の上には写経セットがおいてありました。ちゃんと薄く下書きのある紙で、なぞればよいタイプの写経です。厳かな雰囲気ですが、畳じゃないことにホッとします。
入ってすぐのところには小さな水の入った陶器の容器が並んでいて、そこからひとつ手に持って、どこでもよいので席を選び、着席。
私と空ちゃんだけではなく、後ろから、何人かの写経をされる方がいらしていました。
さ。心を落ち着けて、硯に水を・・・
と、ここまで順調だったのに、私はここで、硯に大量の水をドボっと注いでしまいます。
やば。
焦る。
水は少しでいいのです、少しで。
大量の水を入れればそれだけ墨を沢山摺らないと、いつまでも薄墨のまま。
私は必死に墨を摺りますが、一向に墨黒にならず。
みなさん「スルスル」といった感じの音で墨を摺っていらっしゃるというのに、焦る私の「ガッガッ」という品のない墨をする音がいつまでも響いていて、内心やばやばやばやば・・・と、とても写経をする人の心模様ではありません。
しかも小筆。小筆をもつのなんてたぶん、中学生の書写以来。それ以後はずっと筆ペンでお茶を濁してきましたし、なんならこれまでした写経は全部、筆ペンです。
家で写経したこともあり、般若心経は暗記しているので、慣れない小筆でも写経そのものは案外素早く終わってしまいました。
お先に部屋の外に出て、庭を眺めて物思いにふけりながら空ちゃんを待つことに。
東慶寺の庭には蜘蛛の巣がたくさん張っています。最初はたまたまお掃除がされなかったのかな、などと不謹慎なことを思ったのですが、あちこちで蜘蛛が見事な巣を織り上げていて、あまりに見事なのでついつい見入っているうち、野村育世さんの『ジェンダーの中世社会史』を思い出しました。
『ジェンダーの中世社会史』には「恋する女は蜘蛛を歌った」という章があります。現代では蜘蛛を嫌う人が多いのですが、南北朝くらいまでは蜘蛛は人の来訪を報せる吉兆であったと、それには書いてありました。特に平安期、男性の来訪を待つだけの身であった女性にとっては、蜘蛛が家の生け垣に巣を張ると愛しい人が来る、という言い伝えがあったのだそうです。
南北朝以後、妖怪のイメージが入ってきて、蜘蛛に対する人のイメージが変わってしまったのだとか。世界にも、嫌う社会や神の使いとする社会があり、フォビア(恐怖症)もあるくらいなので、一様ではないものの、蜘蛛はなんらかのファンタジックな妄想をかきたてる生き物なのだろうと結ばれていました。
おそらくお寺では、単に生きとし生けるものを大切にして蜘蛛の巣を自然のままにしているのだろうとは思いましたが、東慶寺は女性のイメージの強い寺です。なんとなく、そんなことを思い出してしみじみと感じ入りました。
今回は、観音様のおられる部屋に掲げられた東慶寺の成り立ちなどの年表もゆっくり見たので、尼寺であってアジール(聖域)でもあった東慶寺の変遷に、ときどき権力側の男性が口を出して寺の様子が変わっていく様子がわかり、面白かったです。
尼寺など、男性が入れないのでけしからん、という人がいて、それがいわゆる「逆差別」であるということになり、今は男性も女性もいる普通のお寺になったのだとか。
はっ。
今、写経中でしたね!
私はすぐこんな風に頭の中がどっかに行ってしまうので、待つのは全然平気なのです。
しばらくしてから出てきた空ちゃんは「みらっち、ごめんね、待たせて」とひどく恐縮しています。これってもしかしてものすごいプレッシャーを与えていたのでは⁈と焦りました。テストとかで、早く終わった人が近くにいるとメチャクチャ焦りますよね。全然わかんなくてほぼ白紙答案だけどもう出して出てきた、みたいな状態であってもね。
申し訳なかった、座って待っていればよかった、と思いました。
がしかし「墨摺って書いてって大変だよ~」と見せてもらった空ちゃんの写経はとても美しくて丁寧で、それを見て前言撤回。
私の写経は、早い分お粗末な字で、とても見せられた字ではありませんでした。空ちゃんの字とは雲泥の差。あぶないあぶない。見られなくて良かったです。早めに出て正解でした。笑
ともあれ、次に写経をするときは、もうちょっとゆっくり丁寧に頑張ろう、と心に誓いました。
「写経」には特典のあることが多いです。
いつも写経の代わりとなる奉納札を書いていくのですが、奉納札だけでも、持っていくと「よくお納めいただきました」と、紙の御朱印ではなく筆で直接書いてくれたりもするのです。
今回はお寺で実際に写経しましたので、やはり、紙の御朱印とは別に、特別御朱印をいただくことができました。しかしいただける特別御朱印も、あらかじめ紙に書いてあるものでした。このご時世、こればかりは仕方がありません。
有難くいただき、東慶寺を後にしました。
でも、御朱印が500円。
結構衝撃でした。
3年前は300円だったのに・・・
値上がり続きの世の中ですが、御朱印も値上がりです・・・
さて、本来は東慶寺の後に浄智寺に向かうつもりでしたが、写経もしたのでもうお昼です。
今回、私たちは建長寺も視野に入れていたのですが、建長寺は中で回るところが多いため、建長寺は諦め、建長寺近くのお店で「けんちん汁」を食べることにしました。
3年前は、けんちん汁を出す店は多くはなかったと思うのですが、今回調べたところけんちん汁を出すお店が激増していることに驚きました。
訪れたのは、建長寺さんのほぼ敷地内にある「点心庵」さん。
前からあったかどうか記憶にないのですが、どうやら2018年オープンのようです。前回建長寺に来たときはお昼ご飯は別のところで食べたので、こちらは今回が初めての訪問です。
内装も器もアートな感じでとても素敵。
私たちは二人とも「けんちん汁そば」を頼みました。
他にもはちみつカレーやけんちん汁とおにぎりのセットなども。
お客さんは引きも切らずに訪れ、中には和尚さんもいらっしゃいました。
けんちん汁はちょっとゴマ油が利いた感じの素朴な味。
今度はカレーも食べてみたいです。
お店の奥には座禅堂があり、そこにある丸窓もお店のみどころなのだとか。
さてもお腹は満足。
次は、鎌倉五山の第四位、浄智寺へGOです!
つづく。
***
2022年11月6日の鎌倉殿のつぶやきを、おまけに。
今回は予想通り唐突に陳和卿が現れて、唐船造りの回でした。もう実朝のガッカリした顔見たくないなぁと思いますが、実朝さんはこれからもガッカリの連続ですね…
何か土木系となるとガテン系八田知家にお任せとなりますが、またしても八田、現場監督。そして脱ぐ。推定70歳なのに脱ぐ。
かねてから史実年齢と人物像の設定がおかしいと感じていたのですが、今回、陳和卿に「実はあなたとそう年齢が変わらない」みたいな話をしていて、一同驚愕、みたいな場面がありました。
常日頃土木作業に従事していたが故の肉体美(という設定)なのか…
どちらにしても、女を見る目がなかったり、起請文を反故にするのに義村を吐かせたりと(指貸すとまで言ってた)、肉体派+ちょっとエキセントリックに描かれていますね。
西のお方もだいぶふくよかになられて、なぜだか義時に嫌悪感丸出しに。源氏の血統ならまだしも、田舎の豪族あがりが大きな顔をするのは度し難いと言っていました。
いよいよクライマックスの承久の乱へ刻々と近づいていくのですね。
そして、その前にもうひとつの悲劇が…
「雪の日」が近いです。