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#文学フリマで買った本(1)&文学フリマ記
#文学フリマで買った本 (1)
文学フリマで買った本の感想と文学フリマの思い出を語る回の1回目です。
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今回は冬野梅子『イタリア旅行・忘れないための八日間の記録』
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昨年の12/1文学フリマ東京39で、私は今回書こうとしている本の作者、漫画家の冬野梅子さんのブースで参加させていただいた。
私は友人というにはとてもおこがましい梅子さんの大ファンである。畏れ多くも同じブースで本を販売させてもらった。
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今回梅子さんが販売したZINEがこちら
『イタリア旅行・忘れないための八日間の記録』
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漫画でなく、紀行文である。
梅子さんは集英社のサイトで毎月エッセイも執筆しておりそちらも毎回楽しみにしていて、それ以外で梅子さんの文章がこちらの本でたっぷり読めるのも嬉しい。
梅子さんが昨年9月にイタリア旅行に行って、そのお話を聞こうと思えばできたけど、この本を読む楽しみのためにあえて詳しくは聞かずにいた。
海外旅行に行く、今の生活が精一杯で貧しい私はなかなか叶わないが、この本一冊でともに旅行へ行ったような気持ちを味わえた。本には文章とともに梅子さんの撮った素敵な写真も沢山載っていて、最初にパラパラと写真を見た時と文章を読んだ後では写真の見え方が違ってより味わい深いものになったのも面白かった。
旅先のナポリで相席になった人の会話のやり取りや、ケーキ屋さんの店員さんとのやり取りのシーンが特に胸にくるものがあり、梅子さんの心の吹き出しを自分も何度も反芻した。私も相手の出方を待って、なるべく人に合わせて、その場の作法に合わせて、気を遣って良かれと思ってやったことが裏目に出てしまうことがある。
私はアパレル販売員で、今はインバウンドで溢れかえる海外のお客さまの対応に日々追われているが、その時は日本人のお客さま相手よりもダイレクトな言葉のやり取りになっている。「買う?買わない?」ぐらいはっきり聞いている。英語圏以外の観光客の英語も大半は片言なので、もはや助け合いで、言葉の丁寧さよりいかに早く意思疎通ができるかだ。
営業中、お客さまへの挨拶の他に店内の活気づけのために「いらっしゃいませ」の声出しをするのだが、海外の方はそれにもいちいち反応して、挨拶を返してくれたりもする。自分の感覚にないコミュ力の高さに最初のうちはこちらも慣れず、むしろありがた迷惑なめんどくさい感じすらあったが、梅子さんの文章にも出てきた入店時の「ボンジョルノ〜」感覚に近いものかと思ったり。日本では当たり前のお客さまの無言入店・退店は彼らからするとそちらの方が不自然なのかもしれない。
店員としてはそういう感じで今はやっているものの、自分が異国の旅行者の立場だったら?と思ったら、まごつくだろう。日々相手している観光客の態度のデカいキモの座った出方に、なぜそんな強気でいられるのかわからず必要以上に気を遣ってしまう性分の自分は精神をすり減らしているが、梅子さんの文章を読んで特に声の大きな海外客に対しては「店員である前に人間」でこちらも行って良いのではと思えたのはでかいかもしれない。気を遣わないことにも気を遣ってしまうのだけど、今後しばらく店員として海外の人と接する時の心構えみたいなものを得られた。また、海外客と一括りにしないで、声の大きくないまごいついている人へはこちらも落ち着いて丁寧に接しようと思った。
梅子さんの文章を読んでピザが食べたくなり、安易に最寄りのサイゼに駆け込んだ。ZINEの写真に載っていた梅子さんの食べたナポリのピザがかなり大きかったけど、あれを完食した時の梅子さんの気持ちを思い出しながら。自分のことをアーティストと名乗りたくない、というのは私が好きなベーシストも同じことを言ってたのでそんなところも密かにぐっときていた。あと、異国で映画を観る体験もいいなぁと思った。
今回私が出した本『20年後のゴーストワールド』では作中で、とあるカップルがギターとリュックを「交換こ」して持ち合うのを目撃してしまい失恋するというシーンがあるが、この文フリで私は梅子さんと作品を「交換こ」できたのが、嬉しかった。悲しい「交換こ」の記憶がやっと上書きできた思いだった。(#文学フリマで買った本の括りでこの文章は書いているけれど、厳密には交換しました)うっかり、梅子さんの特典のポストカードもらうの忘れてしまったので(ベトナムの犬がかわいい)またの機会にまだあればもらおう。
文フリの当日はあっという間に終わってしまった。自分としてはおそらくまたとない機会だったので、本を一冊でも多く届けるために当日までにSNSの宣伝や自分と同じものが好きな方が集まるライブやイベントで名刺配りもできうる限り頑張ってやった(もっとできた気もするけれど、名もなき者の宣伝の難しさも身を持って思い知った)。時間を作って駆けつけてくださった方への感謝は一生忘れない。あの場で会って本を購入していただいたのが心底嬉しく、応援が本当に力になりました。
梅子さんのファンの方やご友人ともお話しできて楽しかったし、ありがたい言葉も沢山いただいて身の引き締まる思いだった。(梅子さんが私のnoteをリポストしてくださっていたおかげで想像よりも実際に文章を事前に読んでもらえていた……ありがたいかぎりであります)
梅子さんが文フリで買った本を真似して買いたいと思ったけど(好きな人の好きなものはやはり気になるし欲しい!)異常に時間が経つのが早く、事前にチェックしたブース以外まで買いに行く余裕がなかった。梅子さんと交代で買い物で時々抜けたけど、あのブースに居た5時間ほどの体感時間があっという間だった。普段の労働のぶっ通し5時間はけっこうな長さで全然時間が進まないのに。
梅子さんとは昨年から悩まされている私の耳の不調、耳鳴りやめまいの話から体調を整えるためにもっと水を飲まなければならないという話をした。他にもっと話したいことや聞きたいことがあったのに、文フリの緊張感やら疲れやらで飛んでしまった。異常に喉が渇いた。梅子さんも日頃あまり水分を摂らないと言っていたが、ペットボトルが空になっていた。そういえば梅子さんはこの日鮮やかな青色のかわいいコーデュロイのパンツを履いていたけど、ZINEの作中に出てきたイタリアで買ったものだったのかしら、と後になって思ったりした。
日頃、私は服の販売をしていて、販売業はそれなりに向いている仕事だと思ってはいるけど、仕事で売っているものは自分で製作したものでなく、既製品を売っているので、自分で創作したものを売るのははじめての経験だった。反応がとても怖かった。表紙は梅子さんが素敵なイラストを描いてくださって、それだけでもう価値のあるものだけど……
目の前の見本誌を手に取ってけっこうじっくり読んで買わない人も一定数いた。品定めされている間の緊張感と言ったら…その間少しでも購入につながることをじゃまにならない程度に言うべきなのだが、うまく言葉が出てこなかった。ひゃー面白くないですか、お気に召さないですか、自分生まれてきてすみません!という気持ちに襲われた。実はその緊張の間は、自分のお品書きポップの裏面に、梅子さんに描いていただいた白い犬の絵を貼り付けてちらりと眺めてこっそり心を落ち着けていた。そんなこともありつつも、自分の作ったものを直接売るのは特別な体験だった。苦い気持ちもありつつも、楽しいが勝った。本を手に取ってくださった方に本当に感謝しています。大袈裟だけど、一生忘れないくらいありがたいことです。
私たちのお隣のブースが城主ペネロペさんとOLさんであったのも素敵な出会いであった。お二人のブースが大盛況で、日記が次々と売れていて完売していた。梅子さんと「完売っていいね……」と呟いた。お二方は我々に優しくお声かけしてくださり沢山のお菓子を授けてくれた上に本も購入してくださるという……神様でした。私はすっかりお二人のファンです。
今回紹介した梅子さんのこちらのZINEお手に取っていただける機会またありそうです。未読の方ぜひ、手に入れてください。改めて文フリで梅子さんのブースで、こんな面白い本ともに、自分の本も販売させていただけて感謝しています。
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梅子さんが表紙イラスト&挿絵を描いてくださった拙著『20年後のゴーストワールド』も是非よろしくお願いします。梅子さんから受けた影響をダイレクトにアウトプットした、梅子さんの作品の読書感想文(得意の自分語りを炸裂させた)のようでもあり、ラブレターみたいな本でもあります。
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BOOTHの通販でも購入できます。
通販特典で文フリ記を書いた「連雀新報」(新聞的ペーパーもつきます)
私が多大な影響を受けた、昨年完結して単行本5巻出ている梅子さんの『スルーロマンス』、その作品のインタビューで、"女のロマン、女の西部劇、女のための『暴れん坊将軍』みたいなマンガなんです"というコメントにもまたぐっときた。本当に好きな作品です。
次回#文学フリマで買った本(2)もまた投稿しますね。
年末年始、この一月は体調が悪くて、停滞してしまいXしかやってないから状態に……
本当は5月の文フリに向けて『20年後のゴーストワールド』のエピローグの続きを新刊で書きたかったのですが、そのエピローグはこちらのnoteではあげていない本でしか読めない体でありまして、その続きを書くにはもっと本を届けないと、意味がない需要がないという状況で……(文フリの勢いで通販も売れると思って、強気に増刷したのですが…そうは問屋が卸さないもんですね)本を届けるために『20年後のゴーストワールド』に関したものをしばし書こうかなとも思っています。本当に届いてほしい本です。
前回の投稿より↓↓↓
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