ドラマで勉強(虎に翼第13週途中まで)
「虎に翼」
はるさんの最後は潔かったですね。
懺悔しまくりの夫とは真逆でした。
よい夫婦だったな。
寅子が「ヤダー!!!」と泣くシーン。
伊藤沙莉さん、ここにあり、という素晴らしい演技。
いい大人が親の死に際し、駄々っ子のように号泣出来ること。
親が亡くなるのは悲しいことだけど、素直に悲しめることは親子関係においては「親」と「子」という健全な関係があった証拠で恵まれているのだ。
昔、ビートたけしさんがお母さんのお葬式で、記者に「お寂しいですよね」的なことを聞かれ、
「母ちゃんに褒められたくて仕事を頑張ってきた」と途中からしゃがみ込んでワーワー泣いていた。
当時、あのたけしが!大の大人の男が!人目を憚らずに泣くんだ!
とまぁまぁ衝撃を受け、今でもよく覚えている。
はるさんは「花江ちゃんと寅子になら後を任せられる」と言っていた。
この週は戦争孤児・道男が登場。
「金八先生のマッチ」と騒がれていましたが、全然違うでしょ。
あれは「ちょっと不良になってみたい」だけの思春期病で、道男は「あしたのジョー」の矢吹丈でしょ。
道男と花江ちゃんに恋愛フラグ?と思ったら、道男は家族になりたかったというオチでした。
その後もシレッと夕飯を食べに来たりしています。
道男が来ると花江ちゃんは嬉しそう。
とうとう直人が「俺にはわかる。恋は人を笑顔にる」と言い始めてしまった。
確かに花江ちゃんと道男のやり取りは恋愛かな?と思わせる作りになっている。しかし、この二人をくっつけてしまうと「虎に翼」の本筋に視聴者は集中出来ない。
はるさんの遺言を受け、花江ちゃんは猪爪家の「母」として頑張っている。
頑張り過ぎている。
人が助けようとしても「大丈夫」を連発している時は要注意だ。
もはや大丈夫ではない時「大丈夫」と人を遠ざけることが多い。
そもそも寅子も直明も朝は自分で起きろ。
味噌汁をこぼしたら自分で拭け。
寅子は猪爪家の唯一の稼ぎ頭。
花江ちゃんは「寅子の妻」のような立ち位置に自らを置いている。
優未も花江ちゃん一家と寝ることが増えた。
気になるのが寅子と優未の会話。
寅子の「いい子でね。花江やみんなを困らせないように」の声掛けに、優未は「はい」と返事をしているところ。
子供は素直だから言いつけを守ってしまうのだが、我慢体質にならなければいいな。
寅子は家庭裁判所の母と言われる人になる。
私のショボい人生経験上、大きなことを成そうとする人、成した人。
それが子供のことや教育、福祉だったりすると尚更なのだけど、自分の足元・家族のケアが手薄であること。
人はそういうものなのかな、とも思ったりもする。
大きな視野を持てるから大きな仕事が出来る。
でも、大きすぎる視野は手元が見えない。
遠くの名も無き人の声を聞くことが出来るのに、隣の親しい人の声が聞こえない。
全方位に完璧に出来る人はいない。
今日は寅子が優未の寝顔を触りながら、花江ちゃんと「かわいいね」と言い合うシーンがあった。
寅子が優未に対して「愛おしさ」を表しているシーンは初めてかも。
でも優未は寝ているので母が自分のことを思っていることに気がついていない。
残念。
役割りとして「夫的人・父的人」がいて「妻的人・母的人」がいるのは悪くはないが、直明も入れて子供が4人を一人で引き受けるのはキツい。
味噌汁だって今の時代ならティッシュでササッと拭けば終わりだけど、当時はいちいち手で洗濯だし。
道男は「寅子(ともこ)」「花江ちゃん」と呼ぶ。
寅子に対して呼び捨てなのは親友のような感覚ではないだろうか?
つまり女性とは見ていない。
「虎ちゃん」ではないのは、道男なりの一線がまだ残っているから。
花江ちゃんに対しては女性という認識がある。
でも、これは恋ではなく「守ってあげたい人」ではないのかな?
道男の年齢設定が16、17歳くらいになっているのが絶妙。
全く子供でもなく、かと言って大人でもない。
男としての意識が芽生え、本能的に「守りたい」が生まれる時期。
花江ちゃんが亡き夫・直道のことを今でも思い続け、本当は側にいて欲しいと考えてしまうことを道男は知っている。
また孤児であり、そのリーダーだった道男は人の心の動きに敏感だ。
そう、今まで道男は守ってきた人なので、守らなければならない人に敏感なのかもしれない。
直人も直治もお父さんに言われた通り、母である花江ちゃんを守っているのは良くわかる。
でも「子供」視点だからお母さんの心の状態まで気が回らない。
道男は世間を知り、その分少し大人。
「心を守る」ことを知っている。
道男は花江ちゃんの愚痴を聞いたり、日頃の労働を労ったり、褒めたりしているのでは?
薪割りやお風呂の準備など肉体労働を引き受けているのかも。
猪爪家の全員が「花江ちゃんありがとう」と思っていても、かなり甘えている。
主婦や家事担当が多い人は、心からの「ありがとう。助かるよ。大変だよね。」という言葉を貰えば報われることも多いだろう。
今週は梅子さん登場。
横溝正史の小説のような骨肉の遺産相続案件。
寅子は裁判官として関わるので弁護は出来ない。
梅子をカフェー燈台(轟法律事務所)に連れて行き、よねさんと轟と再会することとなった。
よねさんに何度も「もう来るな」と言われても、ちょいちょいヘルプ!で訪問してくる寅子。
これを結婚&妊娠時にすれば、ここまで拗れることはなかったのに。
流石によねさんも諦めたか、心の鎧が崩れてきたか。
梅子さんと一緒の時のよねさんの顔には棘がなかった。
梅子さんは母性の象徴なのかもしれない。
カフェー燈台の壁には日本国憲法第14条が筆で大きく書かれている。
よねさんが書いたものだ。
最初はよねさんと轟、二人で眺め、時代が変わったことを確認した。
次は寅子と一緒に眺め、学生の時に願っていたものが手に入ったことを確認した。
そして今週は梅子さんも加わって眺めた。
人は平等であり、梅子さんは家制度の犠牲になる必要はないのだというように。
こうして「日本国憲法第14条」の前にかつての仲間が一人一人集まり、最後は全員で「日本国憲法第14条」を読む日が来るのでは?と楽しみにしている。
涼子様はどうしているだろう?
華族制度が廃止となり、財産も没収。
家制度の犠牲者の一人だ。
意地悪な想像をすると、涼子様はお母様と同じようにアルコールに逃げ、玉ちゃんが英語を武器に働き、涼子様を養っている。
パンパンにならざるを得なかった人も多いと聞く。
あるいは海外に渡り、国際結婚をして「ハロー、エブリバディー」と
颯爽と登場。
先日亡くなられた久我美子さんがまさにこれ。
華族のお嬢様。
家族制度の廃止、祖父の借金などで生活費を稼ぐ為に女優になった。
涼子様も女優になっていないかな?
玉ちゃんが英語を勉強している描写をわざわざ入れているので、きっと玉ちゃんも社会的に活躍しているに違いない。
そもそも涼子様はなぜ、法律を勉強し、弁護士を目指していたんだっけ?
「華族のお嬢様だから」でスルーしていた。
だからヒャンちゃんとも、笑顔で会える日がきっと来ると願っている。
何気に多岐川が寅子とヒャンちゃんを会わせる機会を作っているんですよね。
今日は特に勉強ではなく、感想だけでした。