ドラマで勉強「虎に翼(第99・100話)」

ポツダム宣言の日に原爆裁判の話を出し、その後は直明の結婚問題に話が移りました。この流れで寅子と航一との結婚話にも動きがありそうです。

直明が連れてきた彼女は玲美さん。
優未の時も思ったけど、この時代には珍しいというか、かなり現代的な名前です。
当時、ある程度身分のある家の娘は「○○子」が多く、花江ちゃんのように「○○江」もあったかな。
名前で概ねの出身的なものが分かった時代。

正直、直明の結婚も寅子の結婚もあまり興味がそそられない。
でも、新憲法の後の新民法制定時に揉めに揉めた第730条「家族」のこと。

そう考えると「家族」とは。
家族を作る基礎となる「結婚」とは、は「虎に翼」の一つのテーマかもしれません。

寅子と優三さんの社会的身分を得る為の政策結婚。
花江ちゃんと直道の超相思相愛恋愛結婚。
涼子様と有馬男爵の家名存続の為の政略結婚。
汐見さんとヒャンちゃんの国際結婚。
新潟の高瀬と小野の友情結婚。

寅子の両親は恋愛結婚。多分、身分的には釣り合わないお二人だったと思います。
当時はお見合い・政略結婚が主流だったので、珍しいケースです。
花江ちゃんも恋愛だけど、ちゃんとお見合いルートを作っていましたよね。

寅子と航一は一度は「未来を約束しないだらしない関係」で落ち着きました。
一方、直明は結婚して家族に恩返しをしていきたいと言う。

嫁姑問題を危惧した花江ちゃんは寅子の仕組んだ「家族裁判」で直明・玲美の本音を聞くことに。
今まで「家族会議」だったのか何故か「家族裁判」になり、裁判官役は航一が担当。

玲美はこれまた今風で「是が非でも結婚したい訳ではない」と一同を仰天させます。さらに、花江ちゃんが新潟に行っている間、家に上がって、台所でカレーを作った。

これは私が花江ちゃんだったらムッとするな。隠されていたのもムカッとするな。
主婦にとって台所は職場であり、自分の城のようなもの。そこに勝手に入られるのは嫌かも。
てことを平気でやり、平気で言う玲美は、あの寅子が「この子、強い」と思うほど。

当然、どの時代にも「現代風」的な人はいる。でもここ数回は全てが唐突というか、その裏の制作者の思想の匂いが強過ぎて前よりも冷静に観ている。

道男が「ともこ」と名前を発する度に航一さんが反応しているのが面白かった。
後に本人が「嫉妬」と表現していますが、かなり航一さんは寅子&恋愛に没頭している様子。

直明の結婚騒動に紛れて「一緒に住みませんか?」と提案をします。
寅子は「未来を約束しないだらしない関係」が気に入っているようで、「敢えて結婚する」意味が見出せない模様。

鑑定では女性側は結婚したいのに、男性側が「いいじゃん、今のままで。一緒にいて楽しいし、お互いに好きなんだからさ」ご相談が多い。
意識していないかもしれないけど、寅子は恋愛の美味しいところだけを味わいたいんでしょう。恋愛には責任はありませんから。

そんな時、山田轟法律事務所を訪れると轟が男性と手を繋いで昼寝をしていた。
一度は慌てて手を離したけど、轟は手を繋ぎ直し、相手である遠藤時雄とアイコンタクトをして「今、俺がお付き合いしているお方だ」と紹介する。
「え」という顔の寅子で来週に続く。

む〜、これ必要なのかなぁ。
轟が同性愛者であることを明確にしなくてもいいし、別に同性の恋人がいてもいい。堂々と宣言するのも良い。
でも、いきなりここで?

予告を見ていると、
轟が「お互いを支え合える保証は法的にない。俺らが死ねば俺らの関係は世の中から無かったことになる。」

寅子は「どうして私たちの苗字が変わる前提なの?」

というセリフが聞こえてきた。

「結婚したくてもできない人がいる」から「結婚できる私は結婚を考えるべき」と繋げるのか?
あるいは「結婚」つまり「家族」になるということは、二人が生きた証を作ることを伝えたいのかな?
轟ペアの存在を「結婚・家族とは?」を考えるキッカケに使うのが個人的には嫌なのだ。それこそ差別ではないのか?寅子にはそこに吠えて欲しい。

確かに日本は「家族」とそれ以外で出来ることに差がある。
入院時もお葬式の時も「家族」とそれ以外で近づける範囲が違うの。ようやくパートナーシップ制度が出来てその辺はフォローはできても、遺産相続権などはない。

最近、ちょっと内容が雑というか伝えたいことが沢山過ぎるのか。盛り盛りな感じ。

新潟から帰った寅子が、職場で汐見に「ヒャンちゃんは?」と聞いたけど、「香子ちゃん」では?
子供の手が離れたら司法試験に再チャレンジをすると勉強中とのことだったので、いつの間にか時代がヒャンちゃん呼びはアリになったのかな?

カフェー燈台は地下にあり、行き場のない人たちが集まる所の象徴になっている。
よねさん、道男含む戦争孤児、そしてマイノリティーの轟。
きっとよねさんが「ちょっと用事があって夜まで帰らない」とか気を利かせて二人の時間を作っているんですね。

透明化された人を描くドラマ。
轟に彼氏がいても全然いいんだけど、そこに差別は全く感じない。むしろ良かった。
でも二人の様子、寅子にカミングアウトすることへの早さがあまりに現代的。

当時、同性愛者は人とすら思って貰えず、命を絶った人もいたと聞きます。
あるいは家を残す為にかなり苦悩した人。これは現代でも同じ。
この辺のことは「きのう何食べた」で描かれていたし、私の友達も「親に申し訳ない」と本当に悩んでいた。

なので、轟のこれまでの様子も触れてくれていたら一層良かった。一気にここまで飛んでしまったら当時の丸山明宏を出してくれれば個人的に納得出来る。

それにしても、航一さんの家は暗く、薄らぼんやりしています。
大きなテーブルに母の百合、航一、息子の朋一、娘ののどか。
4人が離れて座っていて、それが心の距離を表しているよう。
そして暗くて薄らぼんやりしているのは、お互いにことが分かっていない描写なのかもしれない。
実際、航一さんは自分の結婚(寅子への想い)にばかりに夢中で、子供への配慮が一切ない。

猪爪家は狭い一部屋に沢山の人が集まり、窮屈だけど超明るい。

寅子のような大きな事を成し遂げた人でも、プライベートはあるし、そこにも物語があるのだということだろう。

来週はやっと魔女5人組+玉ちゃん+久保田先輩+中山先輩と女子部同窓会が開かれるようだ。思った以上に全員が生き生きした顔をしていて良かった。







この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?