ドラマで勉強「虎に翼(第22週・第102話まで)
星家がかなりヤバいことになっていますね。
寅子と優未が引っ越し、ご挨拶をした時に、航一の長男・朋一が「堅苦しい挨拶はしなくても。もう家族のようなものですから」と。
「家族のようなもの」
星家は前から薄暗く、食事シーンも「家族ゲーム」を思われる不気味な静けさがありました。墓場のような所に太陽のような寅子&優未がいきなり入ってきたのですから、それはバランスが崩れます。
寅子と航一も戸籍上は他人の「夫婦のようなもの」。
二人で決め、同窓生に祝われ、二人も周りも納得の上での「夫婦のようなもの」の夫婦。
しかし、星家は戸籍上は家族でも「家族のようなもの」の体で一緒に暮らしているだけ。義理の母である百合さんは、ずっと「百合さん」で。
朋一・のどかにとっては母でもなければ家族でもない。祖父の後妻で星家にはカウントされていない感じ。今は完全に家政婦化している。
だから優未に「おばあちゃん」と呼ばれるのも嬉しいし、寅子がお弁当を小躍りしながら絶賛したのも超嬉しかっただろう。
寅子、花岡さんが判事になった時も電話口で謎ダンスしていましたね。
航一自ら作った溝。
寅子&優未によってその溝がいかほどのものだったのか。
些細なことで現実に光が当たり、当たるほど航一の顔が曇っていく。
あれですね。
岡田将生さんを配したのは「岡田将生の顔面を持ってしても、抗えない溝と暗さ」というか、なまじ岡田将生の顔面が良過ぎるので「お前、良いのは顔だけかよ」という「ダメな男」を強調するカラクリになっていたのですね。
寅子と恋に落ち「自分も溝を埋めたい、埋められる」と思ってしまった航一。
しかし現実にある溝は底なし沼のような断崖でした。
「自分には溝を埋める力があると気が大きくなっていて、魔法が解けた気分」とうなだれる航一。
視聴者的には「ようやく現実に気がついてスタートラインに立っただけ。まだ溝を埋める努力は何もしていないだろう。もうそこで諦めるんかい」とツッコミを入れたくなるヘタレっぷりです。
役者さんって凄いですよね。
あんなにキラキラしていた航一さん。
あの顔なのに全く煌めきを出さず、ただのしょぼい雰囲気を出す演技、素晴らしい。
寅子の「チチンプイプイ」の魔法が効くといいですね。奥様は魔女を思い出しました。その後、航一がウィスキーを飲みながら、ちょっとずつ魔法が効いてきた表情がまた良かった。
朋一とのどか兄妹。
父・航一が母の死をキッカケに溝を作ってしまった。
「お母さんを亡くしたお父さんは可哀想」という同情期間はあっただろうけど。
「お父さん、お母さんは居なくなったけど、私たちがいるよ」と心の中で思っていただろう。
しかし父は母のことを思い続け「父」としての役割はお金を稼ぐだけになってしまった。子供心に「お父さんは私たちは好きじゃないんだね」と思ってしまう。
それでも「父の悲しみ」に寄り添う為にあのようなクールな距離感を作ってきたのだろう。
優未とはバージョン違いの「親に甘えられなかった子」
朋一はもうすぐ司法試験、のどかは名律大学に入学。
つまり大人に近づいている。「父はそういう人なんだ。うちの家族はそういうものなんだ」と寂しい、悲しい時期はとっくに過ぎて「諦め」で何とか心を保っていたと思う。
なのに寅子と優未に向ける笑顔。時にはしゃいだ顔。
そんなものを見せられたら悔しいに決まっている。
「私たちに見せない顔をポッと出た他人に見せる」なんて悔し過ぎるでしょう。
のどかが「お父さんがいてもいなくてもいい。家は寝に帰る場所」と言っていた。気持ちは分からなくもないが、家があるのはお父さんが稼いでくれているお陰、朝食を選べるのは百合さんのお陰。
もう投げやりですね。
「家族のようなもの」にもなっていない感じ。
星家はかなり重症で優未の時よりも溝を埋める作業は困難だろうと思われる。
そして家族なのに「家族のようなもの」になってしまった星家は「本当の家族」を目指していく。
翻って寅子も「夫婦のようなもの」として存在する寅子と航一。
どこかで「あなたたちも”のようなものですよね”みたいなことを言われるか、寅子が気がつくのでは?
「のようなもの」でははく「本当の夫婦」になりたい、ならなければならない、という流れになっていきそうな気がする。
そいして優未は「航一さんも好きだけど、優三お父さんも好き。だから私はお父さんの苗字を残したい。佐田優未でいる」とか言い出しそう。
「のようなもの」はペルソナ、仮面。
昔は「仮面夫婦」なんてワードもありしたが、今の星家は仮面家族。
寅子は優未を連れてきて本当に良かったね。
人間観察力、場の雰囲気も全部分かっている。
きっとこれからも優未が「家族のようなもの」を変えていくんだろうな。
どうやら麻雀が仮面を剥ぐツールになっていきそうですね。
そして優未は麻雀が強い。
まだ中学1年生なのに重積ではあるが、がんばれ優未。
本当は「光る君へ」について書こうと思っていたので、そちらはブログに回します。てことでタロットを考える時間がないので、今日はここまで。