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ドラマで勉強「虎に翼(第20週・第98話まで)

少し前に「昔は水源の話をして法律について語っていたことがあったけど、最近は法律について語ることが無いなぁ」と思っていたので水源の話が出てきたことが嬉しい。

東京に戻り、ひとしきりライアン・多岐川・桂場に挨拶を終え、寅子は桂場に「一つ宜しいですか」と水源の話しをします。

桂場
「君は法律はきれいな水、水源のようなもの」と言っていたな。

寅子
「憲法が変わってもなお、社会のあちこちに残る不平等を前にして思ったんです。きれいなお水、水源は法律ではなくて人権や人の尊厳なのではないかと」

それに応えることなく、桂場は「民事第24部」と寅子の新しい所属先を伝え、いつもの手付きで追い払う。

でもその顔はちょっと嬉しそうでした。
あれですね、桂場は「への字口」が基本形で、喜怒哀楽はそのバリエーション。面白い。

それから、よねさん!
弁護士資格取得、おめでとう。
よねさんのままで受かったんだね。

いよいよ「原爆裁判」が出てきました。
約8年、この裁判は続いていきます。

訴訟内容を読みながら、寅子達判事は

「国際法の問題」
「戦争とは」
「戦争のルールとは」
「原子爆弾とはなに何か」
「日米関係のこれまでとこれから」
「犠牲者の方とどう向き合い、これからの教訓とするのか」

「そもそも、あの戦争とは何だったのか」

という様々な問題に向き合うことになる。

1945年(昭和20年)8月14日は日本がポツダム宣言を受諾し日本は降伏し、翌8月15日、国民に公表された。


ドラマを見ながらずっと不思議に思っていたのです。
太平洋戦争前から戦争は始まっていて、中山先輩の夫も出征していった。

戦争のせいで弁護士試験が行われない年もあった。
その年は寅子は妊娠して倒れ、弁護士事務所に辞表を出した年。
「来年は合格します」という後輩に「今は戦時中だからしょうがないわよね」というセリフが無かった。どの場面でも。

戦火はジワジワと迫り、寅子達も家を取られ、疎開をすることになる。
直道や優三さんは出征して亡くなった。
その時も「何で戦争なんてあるんだ!」という問いや怒りを発する人は居なかった。

呼吸をするように自然に戦争が日常に紛れ込み、疑問を持つこともなかかったのかな?と思っていたけど、誰かが「何故、戦争が起き、何故、大切な人が居なくなるのだ」と怒って泣くシーンがあってもよいのになぁ、と思って見ていた。

「そもそも、あの戦争とは何だったのか」

ドラマではこの時期に集約し、一気に「戦争とは」を考えるように持ってきたんだな。

戦争中が大変だったことは勿論、その後10年経っても。
物理的なものは元に戻りつつあったとしても、心の傷は残ったままだ。

新潟の杉田太郎弁護士、航一さん、今同居問題で揉めている直明。寅子や花江ちゃんは何とか前を向いているけど、うっかりすると傷口が開いてしまう人も多い。

そして原爆。
空襲だって無差別殺人だし、そもそもを考えると戦争自体がダメなのだ。

だけど、原爆にはまた違う意味がある。原爆は環境も破壊するし、生き残った人間の身体を時間をかけて蝕んでいく。放射能による偏見や差別も生まれた。そして「原爆の威力の実験」の側面もあったから。

こうして書いている私も実のところ、知らないことばかり。
第五福竜丸の事件もそう。

雲野先生と岩居弁護士が山田轟法律事務所を訪れた。
「被爆者を原告として日本政府に賠償を求める訴えをしている」という。

岩居弁護士からは
原爆投下は通常の戦争行為を逸脱し、無差別に民間人を犠牲にした行為で明らかな国際法違反だ。それゆえにアメリカは被爆者の方々に対して損害を賠償する責任があるということを訴えたい。すでに平和条約を締結してしまっている今、日本は戦勝者である連合国側に賠償を求める権利を放棄している。ならば放棄した日本国に対して賠償を求めようというのが賠償の骨子だ。

雲野先生は
多くの民間人が犠牲となった国際法違反と言える行為の責任を戦勝国であるがゆえに問いただすことが出来ないというのは、あまりにも不公平だろう。

このドラマは女性差別から始まり「平等」「正義」を考えてきた。
今週から最大の不公平をテーマにしてきた。

山田轟法律事務所(旧カフェー燈台)の壁には、よねが書いた日本国憲法第14条が大きく筆で書かれている。

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

ついでに第14条とセットと言われている第13条も書いておこう。

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

その前で雲野、岩居、轟、よねの4人は同志として戦う約束をするのだ。

この訴訟は普通に考えるとあり得ないというか、行動に移せないものだ。引き受けてくれる弁護士が見つからないから。
殆どの弁護士は国を相手に訴訟を起こすことに最初から「無理」と言うだろう。原爆について問題定義をするには生々しい時期だし、ようやく落ち着いた日米関係を壊す危険もある。

それでも雲野先生は
「忘れ去られることがないように、同じ過ちを繰り返さぬように、誰かが声をあげねばならん」

長丁場になることを見越し、金にならない仕事を請け負っている山田轟法律事務所に助っ人を頼みに来たのだろう。

寅子は裁判官として、よねさんは原告側の弁護士として。
立場は違えど「平等とは・正義とは・人権とは・尊厳とは」そして「法律とは」について一緒に戦い、答えを出そうとする日がここに来るとは。

ドラマでの原爆裁判を通して戦争について「考える」ことをうながそうとしている。何故、戦争が起きたのか。何故、今も戦争が続いているのか。どうしたら戦争のない世の中になるのか。

一方寅子と航一の結婚話が進みそうな気配。
いつも通り寅子はあっちの方向を向いているけど。
でも、寅子以上に航一さんもアレな感じだし、タガが外れたせいか周りが見えていないですね。
正直、二人の恋の話は必要かな?とも思うけど、きっとどこかで繋がるのだろう。

少々重くなりそうな雰囲気の中。
梅子さんの桂場チャレンジが楽しみになってきた。
ご主人夫妻が高齢になり、梅子さんが竹もとを継ぐことに。

そして竹もとの味を一番知り尽くしている男・桂場に団子を試食してもらう。
あの梅子さんが笑顔が出せないほどの緊張感。
団子の見栄え、重量感をしげしげと眺め、一口食べる。
結果は言葉ではなく顔。
今回は「出直してまいります」になりました。

桂馬さん、裁判だけでなく団子の味もジャッジするのかよ!と突っ込みたくなりました。クリアするのが難しそうな桂場チャレンジ。
がんばれ、梅子さん。


タロットは16番・タワー

毎朝タロットを引いているのですが、この1週間、毎日のように出てくるカード。

タワーですから日本語では「塔」と訳されています。
トート・タロットの作者は「塔(戦争)」と敢えて(戦争)と入れている。
戦争の星・火星が対応している、ということもある。

タロットの意味としては戦争が起きる、事故が起きる、悪いことが起きる。
そういうことではありません。

ずっと昔の占いは国を護る為に使われてきた。
「いつ戦争が起きるか」ではなく「いつ始めたら勝てるのか」「どうやったら勝てるのか」みたいな使い方だった。

今では外的なこと、未来予測ではなく「人の心の様子(内側)」を知る為に使われています。だからタワーのカードも同じく人の心に訴えている。
このカードが訴えているのは「気づき」であり「目覚め」

敢えて戦争というワードを使うならば、戦争によって何を学んだか。何に気付かされたか。何に気が付かなければならないのか。その経験を通して人は何に目覚めてきたのか。この非常に残酷な出来事を平和に導くことは出来ないのか。

それを問うのかな、と思います。

カードは真っ赤で荒々しいですが、幸せを象徴する鳩が飛んでいます。

関係ないけど。
「新宿野戦病院」で雲野先生(塚地武雅さん)は看護師長・しのぶとして働いている。
そして今日はしのぶの日。「男か女か分からないけど、そのままで良いキャラ」ではなかった。看護師長が似合いすぎていて、こっちが本来のしのぶさんぽい。

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