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日本での外国人差別


昨日、あるクラスで

「日本人は冷たいから
 早く国に帰りたい」

と、言われました。


留学生を相手にしている
日本語教師の皆さんなら
慣れたことばかもしれません。


社会人対象の先生だと
大人はそういうことを
あまり言わないので
馴染みがないかもしれませんが。

私も新人の頃から

「日本人は冷たい」と

何度も言われて来ました。

昨日は1人の子がそう言い出したら
クラス中が同調して
大変なことになりました。


「日本人は電車で席をあげません」

これも、もう耳にタコが出来るほど
聞いたことばです。

ひとりの子がそう言うなり
別の子が言いました。

「あげないから、
 私もあげなくなりました」

日本で習った
負の遺産ですね。


「東京の人は忙しいから
 他の場所へ行ったら
 また違うかもしれません」

と、私が言うと
これまたたくさんの学生が
同調しました。

この専門学校は
北海道から沖縄まで
全国の日本語学校を卒業した学生が
来ているのです。

「先生、大阪は全然違う!
 もっと優しかった!」

「愛知!」

「奈良も!」

東京の人はあまり
知らない人に話さないので、
それも関係しているのかなと
思いました。

「関西と関東では
 人が全然違いますね。
 関西ではもっと話好きな人が
 多く感じます」

この学校は東京でも大都会にあるので、
留学生たちは
混んでいる電車に乗り、
皆が忙しくて
足速に行動する
心の余裕が無い時間帯の
日本人ばかり見ているからかもしれません。


だけど、
東京にいる人は
元から東京人だった人は
本当に少なくて、
全国から来ています。


留学生が席を
譲らなくなったのと同じように、
東京にいる全国から来た人も
染まってしまうのかもしれません。


「私は、電車の席に座ると
 (嫌がって)隣の人が立ちます」

スリランカの男子学生に
言われました。

その学生は黒に近い肌をしている
イケメンくんです。

スリランカ人というのは
さすがアーユルヴェーダの
国だけあって、
かなり体臭に気をつけている
印象があり、
歯も白く
口臭ケアにも気を遣っています。

「日本人は臭い」

と、言って来るのも
スリランカ人が多い気がします。


余談ですが
コンビニのおでんは臭くて嫌だと
留学生は口を揃えて言います。

匂いの快不快は
本当に国によって異なりますね。


とにかくその学生は
体臭が気になる感じでもないし、
どちらかと言えば上品な印象の
男の子なのですが、
何度か電車で席に座ると
そういうことがあったそうです。



日本では
外国人差別というのが
かなりあります。


私は、教え子が
中国人やベトナム人、
また、見た目が西洋人に近い
トルコ人やウズベキスタン人
などの場合、
就職はそれほど
心配していません。


先に就職が決まるのは
その子たちです。

彼らはあまり日本語が
上手でなくても、
資格もなくても、
就職していきます。


ミャンマー人、ネパール人などの中でも
色の白めの学生も
同様です。


N3さえ持っていない
全然勉強しない、つまり
日本語やビジネス能力が
身につかなかった、

「見た目が日本人に近い、または白い」
学生の方が
ケロリと内定を貰います。


中国人に至っては
あっという間です。



肌の色の濃い学生は
苦労します。

クラスで一番真面目で
日本語能力試験も
商業簿記も持っていても、

就職活動では何度も失敗します。


見てくれが良い学生は
かなりプラスになりますが、
日本ではそれでも
日本人的な見てくれ、じゃないと
駄目ですね。

例えばマッチョなイケメンや
ボンキュッボンの超絶美女でも
肌の色が濃いと苦労します。

胸がぺったんこ(私のように)で
小さめの女の子や
ひょろひょろの男の子は
それがプラスに働きます。


だから、
2年生を教えていると悔しくて。
なんであんなに毎日真面目に
頑張っている子が駄目なんだ、って。

専任の先生が言うんです。

「肌の色が濃い子は
 嫌がられるんです。
 特に(留学生がたくさん就職する)飲食ではね。

 求人票に肌の色のことなんて書けませんが
 実際は、本当にそうなんです。

 お客様が、色の黒い人は不潔に見える、と
 クレームを出して来るんだそうですよ」



差別は留学ビザにも存在します。

通常、留学ビザの更新には
学校の出席率が関係し、
それが80%程度だと厳しく
90%以上を狙わないといけません。


これは
学生に教えてもらった情報なので
真偽のほどは明らかではありません。

でも、中国人というのは
かなり出席率が悪い学生が多く、
それでもビザ更新が出来るので
あながち嘘でもないと思います。

どんな情報か、というと
中国では既に他の国より
教育制度が整っているため、
出席率が70%程度あれば
ビザ更新出来る、というのです。


もちろん
他の国の学生で
出席率が70%程度になれば
即座にさようなら、です。


だから、
今ごろの時期になると
クラスでは
中国人は欠席が目立ち、
他の国の学生達は
100%程度で真面目に来ています。


以前、
出席率40%程度の中国人学生が
ビザ更新出来たのには驚きました。


上の先生は
共産党幹部の息子だ、
と言っていましたが
これも本当かどうかは分かりません。

私は決して
中国人が嫌いな訳ではありません。


国のルールでそんなことを
決められてしまったら、
やる気なんて起こらなくなりますよね。
まだ若い子たちであれば
なおさらです。



留学生には
こう言います。

「他の人と比べないで下さい。
 影響されないで下さい」って。

他の国の学生が
あまり学校に来ない
中国人留学生に影響されて
サボり癖がついたら、

ビザが取れなくなってしまいます。

私には言ってきませんが、
他の国の留学生も
ビザ更新については
分かっているのかもしれません。

自分の国籍には
日本人はビザ取得のとき
厳しいんだ、って。



お願いがあります。


あなたがもし
外国人採用のご担当なら
肌の色で応募者を
差別しないで欲しいのです。


苦労して取った資格や
成績証明書、
人柄などをちゃんと見てあげて下さい。


日本人に見た目が近い
または色の白い学生も
もちろん、素晴らしい子が
たくさんいますが、


肌の色が濃い学生は
日本では苦労して
差別されながらそれでも
頑張って生活して来たんです。


この努力も認めてあげて下さい。


私はテレビや
YouTubeなどの動画で
日本人を褒め称えるものに
遭遇するたびに、

私の可愛い教え子が持つ日本の印象と
こうも乖離するのは
どうしてかな、って思うんです。

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みおいち@着物で日本語教師のワーママ
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