【読書】音楽は人を救う。
音楽が人を救うのは
本当だと思う。
私は3歳か4歳ごろから
ピアノを習い始めたけれど、
その前から姉の影響で
弾いていたらしい。
私が生まれた年に
祖父が買ってきてくれたピアノは
Kaiserのアップライト。
普通のアップライトより大きくて
皇帝然としたお気に入りのそれは
今は我が家にある。
高校生、大学生の頃は
毎日2時間は弾いていた。
ストレスを感じるたびに
ピアノに向かった。
気持ちと同じ
陰鬱とした曲から始めて、
次第に曲調を変え
アップテンポの曲で弾き終わる頃には
気分もすっかり良くなり
高揚していた。
大学の卒論で
音楽療法を書いて分かった。
思えば自分で自分に
音楽療法をかけていたのだろう。
特養の職員だった頃も
イギリスのナーシングホームで
介護をしていた頃も
お年寄りの前でピアノを弾いていた。
夕食の時間帯はBGMとして。
音楽クラブの伴奏や
英国では有償のコンサートもやった。
弾かなくなったのは
高齢者福祉業界の現場を離れて
本社に入ってから。
忙しくてピアノに触れる時間が
全然取れなかった。
多忙だったのも原因の一つだけど、
この頃
ストレスに悩まされていたのは
ピアノを弾いていなかったから
かもしれない。
今は、
ひたすら8歳チビの
ピアノをみている。
4歳から始めて
ブルグミュラーまで来た。
彼は私より
センスがいいけれど、
スポーツと比べるとそれほど
興味もないみたいだから
今後どうなるか分からない。
私も強要するつもりはない。
最近変更になったピアノの先生が
チビにひたすら
コンクールを勧めて来るから、
このレベルでコンクール?と
びっくりしたけれど、
今どきのピアノのコンクールは
誰でも参加できるらしい。
チビは今年
ギャングエイジ真っ只中だし
コンクールは嫌がっているから
出さないけれど、
出たら出たで
度胸がついたり
良い経験にはなるんだろうな。
私はときどき
自分が好きな曲を弾く。
でもすぐに飽きてしまう。
聴いてくれる人や
セッションしてくれる人がいないと
ダメみたい。
この本を読みました。
読んでいる間ずっと
チェロの演奏が頭の中に
流れているような本。
いいなあ。
この仲間が。先生が。
音楽は、孤独では続かない。
この思いで動けるような
自分でいたい。
彼が先生のためにした行為を、
この想いを、
何とかして先生に教えたい。
読後ずっとそんなことを
考えていた。
チェロは私の中学高校時代の親友が
ずっとやっていて、
彼女は音大を卒業後
英国にチェロ留学した。
私が渡英したのも
その頃だったから、
彼女の住むフラットを訪ねて
いろんな話をした。
この彼女とは学生の頃
よく共演した。
卒業演奏会では
伴奏に私を指名してくれて
一緒に練習した。
私にとってチェロと言えば
彼女の弾く音色と、
彼女に勧められて聴いた
ヨーヨー・マだ。
しばらく彼女はチェロの先生を
やっていたけれど、
昨年会ったときに聞いたら
もうチェロをやっていないらしい。
2人の息子さんの子育てと
日常の喧騒の中で、
別の仕事を選んだそうだ。
音楽で食べていくのは本当に
難しいね。
この本の先生も
歳に追われていたけれど。
だけど、
音楽をやるのは
決して無意味なことじゃ
ないと思う。
この主人公が
助けられたように。
毎日の変わり映えしない練習。
何でもそうだけど、
地味なことをこなしてこそ
光が見える。
私は大人になってから
習いごとと言えば10年以上も
着付しかやって来なかったけれど、
もう少し時間が出来るのであれば
セッションの機会のある教室で
もう一度ピアノを習ってみたい。
あんな先生に教わって
あんな仲間が出来たら
毎日生き生きと
楽しく過ごせると思う。