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ユメのおはなし【短編小説】扉⑧

キーワードでつないでいく連載短編小説。
小説と小説をつなぐのは何かのキーワードと人物です。
8話目のキーワードは、金魚、睡眠、次回作に向けて、綺麗です。
基本1記事読み切りで、次の主人公にバトンを渡していきます。
お楽しみください。


となりの扉⑧

綺麗って何かしら?

私にはこのスタイルしかないのに。

ひらひらして、キレイとか。

ふわふわしてて、繊細とか

わからないけど、私は私でしかない。


部屋の電気がパチっとつく。

朝?

でも、もうすぐごはんの時間。


とろとろとした短い睡眠時間は

明るさと共に消え去る。


水の中、ふわふわを踊りながら

舞ってくるご飯を食べる。

水草の中

現れながら

今という時間を楽しむ。



赤と白のこのスタイルに

ふわふわした繊細な流れに

人はキレイさを覚える。





「金魚って寝るの?」

ふと振り向くと、弟の圭が覗き込みながら聞いてきた。

「寝るみたいよ、飼育本にはそう書いてあった」

暗い中、水の中で

沈んで眠るそうだ。

2時間ほど、
小さく砕いてバラバラにした

浅い眠りを繰り返す。


寝不足だ。

どう考えても、寝不足だ。

人間だったら死んでしまう。


京香の不安をよそに

金魚はひらひらと舞い踊る。




あずかりの知らぬところで

繰り返される会話を縫うように泳いでいく。


ここでは空気さえも

水さえも

あずかりの知らぬところ。


それでも私は幸せで

ここは穏やかで

光と豊かさがある。


穏やかな気候と豊かな食事。

不満なんてない。

けど、誰かここで一緒に泳いでくれたら、

もしかしたら、楽しいなんて思うのかしら?


それもまた

夢のお話。

短い眠りの中でみる

夢のお話。


sub title  金魚 空の生活

🔚


↑前作、飼い主 京香の話


↓飼い主 京香のお友達の話


金魚は子供の頃に飼ってたと思います。

飼ってたといっても、記憶にないくらいだから、金魚すくいですくってきて、水槽に入れてたくらいだと思う。

魚というものを飼ったことがなくて、
そういえば、どうやって寝るんだろ?と思ったところから、
前後の話で睡眠をテーマに話が進んでいきます。

楽しんでもらえたら、うれしいです。

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