近場で一泊。北鎌倉で座禅の巻。
今回のADDress近場で一泊の旅の舞台は北鎌倉。
大好きな映画監督の小津安二郎と女優の原節子が愛した街です。
小津映画には度々、北鎌倉駅のホームが登場していますね。
行くたびになぜだか懐かしくなる静かな谷間の街です。
今回は、まず、お蕎麦屋さんから。
駅を出て右側、大船寄りに歩いてすぐの「すずや」さんです。
コンビニの2階にありまして、開店前に行ったところすでに予約のお客さんが二組並んでおりました。
なぜここのお店に来たかというと、前々回宿泊した「横須賀中央A邸」の家守さんと宿泊していた方お二人が揃っておすすめしてくれたから。
ここのお蕎麦は美味しいよね〜!!とのことだったので、勧めにのってきてみました。普段でも、旅モードの時には、人の勧めに積極的に乗ることにしてます。その人の体験から出てくる情報って、とても嬉しいじゃないですか。自分一人だったら到達できない地点に連れてってもらえるわけだから、自分のリミッターを外すきっかけにもなりますよね。なので、北鎌倉常連さんのおすすめ情報に従いホイホイ行ってみるのでした。
旅気分で、ちょっと奮発。
お蕎麦と天ぷらお寿司5貫のセットにしました。昼ですが、こういう食事にはビールは欠かせませんね。
お味は満足!全て美味しゅうございました。ご馳走様です。
こちらのお店、離れもできたそうで、さらに大船側に5〜6分歩くと真新しい大きな店舗がありました。入り口にはジェラートも。車で来た人はこっちが便利だと思います。
さて、腹ごしらえができたので、お散歩しましょう。
ちょっと脇にそれると、こういう道がいっぱいなので迷い甲斐があります。
誘われるまま、奥に奥に行ってみたら、どんどん人家が少なくなって、上り坂が続いています。
そのまま登って行ったら、源氏山公園というところに出ました。
縁結びの神社があったので、丁寧にお参りします(笑)。
さて、も一度北鎌倉に戻りたいぞ、私。
浄智寺に向かうハイキングコースがあったので、そこを下山。
最近膝が痛いので、登り降りが結構難儀でしたが、山の中を歩くのはやはり気持ち良いものです。
途中5人ほどとすれ違いました。
浄智寺の近くでは、プロパンガスのタンクを担いで登ってくる人に遭遇。パッと見私よりもずっと高齢の方ですが、数歩登るたびに止まって息を整えていました。一体何十キロあるのでしょうか?ガスを使えば使うだけ都度交換が必要になるわけで、山間地に住み文明的な生活を送るということは、住む人も供給する人も大変な労力が必要なんだなと実感しました。
そして再度北鎌倉駅前に到着。
ここで一度、本日のADDress宿「鎌倉B邸」の場所を確かめます。
今回は、珍しく駅からとてもお近い宿。所要時間は5分ほどでした。線路の見える高台(これはADDressっぽいね)にありまして、100段階段と呼ばれる坂を登ります。実際に何段あるのかは数えませんでしたが、いつも坂道登ってるので大したことはなかったです。
(ってことは、本日のお宿もガス交換のたびに100段階段を登り降りするわけですね。そう考えると、決して楽な道ではないですね。細い道でも道路があるとないとでは大違い。台車が使えるだけ、尾道のような街の方が腰に優しいんだなぁと思いました。)
荷物を置いて、ベッドメイキングして、再び散歩に出ます。
今度は鎌倉方面へ。
しばらく歩いてトンネルを抜けると、神奈川近代美術館の鎌倉別館がありました。
展示を見た後、そのまま鎌倉までお散歩。
夜に食べるものなどを物色して、電車で戻ります。
夜は、部屋で食事を済ませた後、母屋のラウンジへ。
至る所にさまざまな本が置いてある宿だったので、読書タイムとなりました。オイゲン・ヘリゲルの「弓と禅」があったのでパラパラ読んでみました。
私は、高校で弓道部に所属。
一応、二段を取得しています。
高校生の時は、ただやんちゃに弓を引いていただけだったのですが、今となるとその奥深さに気づけるようになります。
弓道は単なるスポーツじゃぁないんだよな。「道」なんだよなぁと、改めて思いました。自分との対話(禅)だったのですね(今更ですが)。
そうこうしているうちに、宿の定住者さんが帰宅してきまして、それぞれ食事を作ったり食べたりということになりました。
やはり、数人人が集まると、会話が生まれます。
私はお湯を沸かし、持参した泡盛のお湯割りを飲みながら、その話し声を聞いています。それだけでなんだかホッとするのです。
住人の中にお料理好きの方がいて、手作り調味料を駆使されていました。
塩麹、醤油麹、中華麹などを自作して、美味しくなるよう育てているそうです。
発酵食エキスパートの私としては大好物(笑)の話題なので、お話に混ぜてもらって、楽しい時間を過ごしました。
定住者の人がいる宿は、住んでいる人の魅力がプラスされてプラスアルファの価値がありますね。
あそこに行けばあの人に会えるというのは、ADDress旅の一番の楽しみだと思いました。
そんなこんなで夜も更けて、翌日となりました。
今日は、5時起きです。
なぜなら、早朝の円覚寺暁天坐禅会に参加するのであります。
ここに泊まっていなければ、到底参加できない座禅会です。意を決して参加するのです。
円覚寺の近くには人影がちらりほらり。
座禅会に参加する人とみて、後を追います。
用門の扉を開け、境内に入ります。拝観料はかかりません。
金堂の裏手から入場し、初心者である旨を告げると、丁寧な説明がありました。
座り方(といってもその人のできる範囲で構わない)や、お経を読むタイミング(お経の紙を貰えます)など、それから肩をバシンバシンと叩く時の作法など、教えてくれるので、経験がなくても全然大丈夫でした。
座禅中は、スズメの声から始まって鶯や鴉など木々の方向からいろんな鳥の声が聞こえてきて、お堂に入る陽の色も微妙に変化して、そういうものを感じるうちに終わってしまいました。
最後にお経を唱える(声を出す)のがとても気持ちよかったです。
今日はきっといい1日になるよ。
ほぼ1時間の座禅会ののち、北鎌倉の街をうろうろ。
出勤や通学の人達と反対方向に住宅街を歩きます。
山の上にある学校に行ったり、曲がりくねった川に沿って歩いたりあっちこっちを彷徨うと目についたのがこれ。
早朝につき、営業時間外だったのですが、とてもいい感じだったです。
次回来た時のたのしみのために取っておくことにします。
朝の散歩を終え、宿の掃除を済ませ、家守さんに挨拶して宿を後にします。
昨日と同様、トンネルを抜け徒歩で鎌倉へ。
目的のところまではすぐですが、時間がたくさんあるので、鶴岡八幡宮の境内をうろうろ。
その後、中小町通周辺をくまなく路地探検していました。
さて本日のメインイベントは、小町通からすぐの鎌倉市川喜田映画記念館でアランドロンの映画を見るというもの。
ヨーロッパ映画の本拠地で、アランドロン。
素敵じゃぁありませんか。
それも「太陽がいっぱい」ですぞ。
テレビのロードショーでしか見たことない名画ですぞ!!
それがスクリーンで見られるのです。
いやー、うれしすぎ。
で、鑑賞してまいりました。
堪能してまいりました。
痺れました。
ヒリヒリしました。
惚れ惚れしました。
めっちゃ新鮮!
スタイリッシュでカッコいい!
ちゃんと見た記憶がないと思ったら、1960年の作品でした。
私が生まれる一年前ですね。
小津安二郎が「彼岸花」を撮った年(晩年の2年前)の作品ですね。
うーーーん、感慨深いです。
小津の名残を探しながら北鎌倉を歩き、フランス映画の太陽がいっぱいで締めくくるという、ノスタルジックな小旅行となりました。