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十牛図「得牛」牛を捕まえる綱とはなにか


 禅の教科書「十牛図」(じゅうぎゅうず)」は、廓庵禅師の開発されたました。悟りに至るまでを10段階のプロセスを十枚の絵で表現したものです。
以下の10の項目から成り立っています。

  1. 尋牛(じんぎゅう)

  2. 見跡(けんせき)

  3. 見牛(けんぎゅう)

  4. 得牛(とくぎゅう)

  5. 牧牛(ぼくぎゅう)

  6. 騎牛帰家(きぎゅうきか)

  7. 忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん)

  8. 人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)

  9. 返本還源(へんぽんげんげん)

  10. 入鄽垂手(にってんすいしゅ)

    四番目の絵は「得牛(とくぎゅう)」です。
    ついに持っていた綱を使って牛(自分)を捕まえた牧人(自分)
    再び暴れて逃げようとする牛、渾身の力で自分に引き寄せる牧人。
    本当の自分である牛と、本当の自分を探す自分の間で懸命の格闘が続きます。
    得牛の方法は、100年時代を生きる若者に鉄板の成功法則です。

得牛の問いは牛を捕らえる綱とはなにかです。
では、一緒に設問に答えましょう。

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十牛図 4番目の絵「得牛」は、長い修行が報われて、牛(自分)を完全に見抜いた状態です。

しかし、まだ捕まえてはいません。現在、格闘中です。
では「得牛」の場面にワープしてみます!

牛を捕まえる綱とは何かというのが、十牛図 4番目の絵「得牛」の問いです。
この問いに答えるために、5つの言葉を使います、

「止、観」と「念、定、慧」です。

牛を捕まえる綱が「止、観」の2文字です。
牛を捕まえるプロセスが「念、定、慧」の3段階です。

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「止、観」を「ヨーガの心」と言います。
ヨーガには、「二つを結びつける」意味があり、分離した心と身体を結びつけることが該当します。インドでは精神性より、身体を使って修行することが多いので、日本の坐禅のような形態は取りません。
そこで古代から発達してきたのがヨーガです。

「止」は静的な動きです。・・・心が心になりきる。
「観」が動的な動きです。・・・心が対象になりきる。

対照的ですね。

「止、観」をつなぎ合わせると「止観(しかん)」と呼びます。

「止観」は仏教の瞑想法の一つ。
止は心を乱さず特定の対象に注ぐこと,観は止によって正しい知恵を起こし,一切の対象を明らかに観察すること。この両者を互いに成立させて仏道を完成する実践法とするとされています。

呼吸瞑想を例にとると、呼吸を一つずつ「入る」「出る」と気づいていく実践をし、心がどこかに飛んでいってしまった場合には、その事実に一旦「考えている」と気づいてから、またもとの呼吸の「入る」「出る」に戻る。この一連の動作を繰り返していくと、日常的な心の働きがほとんど静まってきます。

格闘

「牛を捕まえる綱」とは集中になりきること

ヨーガでは、まず心と身体をひとつにします。
そのはじまりが、呼吸です。

集中するために、自分が呼吸になりきります。
息が自分か、自分が息かと言うほどの状態に持っていきます。
日本の禅が呼吸に集中するのも同じですね。

この状態になりきることが、牛を捕まえる綱になります。

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牛は捕まらないように抵抗します。
抵抗されると、こちらは必死になっていきます、
お互いに必死になると、強靭な牛の力に圧倒されて、いよいよ困難になります。
これは執着の状態に似ています。

執着から離れると、綱とプロセスの重要さに気がつき、綱になりきり、プロセスになりきるのです。

次は牛を捕らえるプロセス「念、定、慧」についてお話します。


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