わたしの履歴書(10)会社は傾くこともある
会社情報
業 種:システム開発会社(都市銀行の社内システム開発・保守)
職 種:事務
規 模:約100名
在籍期間:1年半(派遣)
これまでの経緯
新卒でシステム開発会社に入社したものの、業務が理解できず2年で退職。その後は美術・音楽・建築といった芸術系の仕事に携わりましたが、非正規の期間限定だったり、正社員で採用されても心身の調子を崩したり。
その後、カード会社のコールセンターでオペレーターをするも、思い立って行政書士の勉強を始め、合格を目指し退職。試験に合格したものの、実務に携わってみると想像とは大きく異なり、行政書士にはならないことに。
ないない尽くしの日々
公私ともにかなりの混乱をきたしており、正直言って、あまり振り返りたくない時期のことをたどらねばなりません。・・・ああ、思い出すだけでツラいなぁ。しかし「わたしの履歴書」と銘打った以上、書かねばならぬ。これも供養と思い、書き連ねることにいたしましょう。
30代も半ばに近づいてきたものの、独立する貯蓄なし、仕事なし、結婚する予定なし。ないない尽くしで、実家でうつうつ暮らす日々。
自分の人生、もう、何がなんだか分からなくなってきました。
暗黒時代に一筋の光
そんな時、新卒入社した会社の元上司から、思わぬ誘いがありました。都市銀行の社内システムの開発をしている会社で事務をやってみないかと。新卒入社した会社では、システム開発そのものが分からずあえなく退職しましたが、今回はシステム開発ではなく、プロジェクトチームの事務を担当するというもの。それなら大丈夫と思い、二つ返事で引き受けました。
仕事は10名ほどのプロジェクトに関わる事務全般。プロジェクトリーダーの下、会議の準備や進捗管理、庶務など諸々の業務担当です。特に難しい仕事でもなく、厄介なメンバーもおらず、なかなか快適な職場でした。
失業しても仕事がみつかったり、どこからともなく紹介してもらえたり、私はつくづく恵まれていると思います。本当にありがたいことです。
そして「これがやりたい!」と資格試験に臨んだり仕事を探したりするよりも、流れに任せるほうがいいところにたどり着くようです。
こうして振り返って書いてみると、いろんなことが分かってきます。
振り返るのって大事、書くことってさらに大事。
そうだ、一人暮らし、しよう
機嫌よく仕事をする日々でしたが、通勤時間の長さがネックでした。しかもプライベートは崩壊寸前、実家暮らしも限界に達していたころ。
そうだ、家を出よう!
ついに実家暮らしを卒業することにしました。
30代半ばにして、初めての一人暮らしです。最寄駅から徒歩20分という、なかなかハードな立地のマンションですが、築浅で広く眺めもよし。なにより一人暮らしの解放感に酔いしれました。ああ、なんて自由なんだろう。気分は最高です。
当時の派遣法には契約期間の制限がなく、今で言う無期雇用契約です。しかもシステム開発というより、既存システムの手直しと保守のプロジェクトだったため、開発終了と共にプロジェクトも解散ということはなさそうです。派遣社員ながらそこそこ給与がよかったため、この暮らしがずっと続くことを願っていました。
ところが世の中、甘くない。一人暮らしに慣れた3か月目のこと、銀行の経営が危うくなり、公的資金が投入されることになったのです。
ないない尽くしの日々、再び
バブル崩壊時には、都市銀行が破綻したり大手証券会社が潰れるのを目の当たりにしましたが、まさか自分の勤める会社がそんなことになろうとは。
経営が傾くと社内の空気はこんなに変わるものなのだと、身をもって知りました。自社ビル地下の社員食堂は、照明が煌々とついているのに、暗いこと暗いこと。重い空気に覆われ、タイタニック号のように沈没しそうです。
正社員の皆さんは、いつ人員削減を提示されるかと戦々恐々。そんな時、派遣社員の命などあっけないものです。いわゆる派遣切りのはしりでしょうか。
一人暮らしを始めたところに、いきなりヤバい状況です。会社都合退職なので雇用保険はすぐにいただきましたが、仕事なし、貯蓄なし、結婚予定なし。ないない尽くしの日々が戻ってきてしまいました。
さあ、私、これからどうする?