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「みんデザ」ってなんだ?会議(第1回)

デザインの価値をもっと社会に広げたい!そんな想いから生まれた「みんなのデザイン進化論」プロジェクト。取り組みをより充実させていくため、定期的に振り返り(リフレクション)会を行い、その内容を発信していくことにしました。皆さんと一緒に試行錯誤していきたいと思います。


今回の会議メンバー(左から清水・赤嶺・安土・酒井)

プロジェクトを始めた経緯


安土:まず、このプロジェクトを始めた経緯について振り返ってみたいと思います。

酒井:清水さんの「デザイナーであっても経営のことを理解しなければいけない」「デザイナーも、もっと上流=経営戦略・事業戦略に関わっていかなければいけない」という想いから発していました。
その問題意識に対して「デザイン経営」について学び始めたんですよね。

清水:そうですね。単にビジュアルを作るだけではなくて、本質的なブランディングにシフトしようということでした。私自身、グラフィックデザイナーとして若い頃はあまり意識していませんでしたが、20年ぐらい前から徐々にブランディングというものが広まっていったと記憶しています。

酒井:「ブランディング」の意味も、時代に応じて変わってきていますよね。現在は、デザインが国家戦略になっているんですよ。日本は資源が乏しいので、無形資産、特に知的財産を国の競争力にしなければいけない。
その動きの中で、デザインを国の競争力にしたい、なのでデザイン経営が必要という流れになっていると思います。また、ユニクロなどの先進的な経営者がデザイナーなどのクリエイターをアドバイザーにしているという動きも、10〜15年前から始まっていますよね。

赤嶺:そうした認識のもとで、清水さんと私が2022年の9月から東京都中小企業振興公社の「デザイン経営スクール」に通い始めたんですよね。

清水:「デザイン経営スクール」では、デザイナーが10社、都内の中小企業が10社集まり、チームを組んで新規事業開発をしていく内容でした。
そこで良かったのは、プロダクト・建築などの我々とは違ったジャンルのデザイナーや、製造・旅行・飲食・ITなど新たな成長分野を模索している事業者の方など、さまざまな人との繋がりができたことでした。

安土:デザイン経営から、「みんデザ」に軌道修正していったきっかけはなんだったと思いますか?

酒井:改めて「デザイン」の意味が拡張してきているのは間違いないので、「デザインはデザイナーのもの」と閉じずに広げていく方向にした方が良いのではないか、というディスカッションをしながらコンセプトが出来上がっていったと思います。

安土:そうでしたね。そんな中で、我々自身がどのようにデザイナーとして「拡張」できるのかを考えよう!ということでT型人材のワークショップをやりましたね。

ワークショップの様子
スタッフのやりたい(拡張したい)こと


清水:
あれは、すごく良かったですね。デザインに何か違ったものを掛け合わせることで発想も広がるし、みんなのやりたかったことが見える化しました。

安土:さらにワークショップでの気づきを踏まえ、一般の人に対して「デザインに対する意識調査」をする、というステップに進みましたよね。

赤嶺:そうしていく中で、デザインが絶えず変化・進化するものだとしたら、私たちの会社が『こうです』と一方的に発信するのではなく、お客様や協業パートナーの皆さんと一緒に考えながら進めていくという方向性が適しているよねということになったと思います。
そして、note「みんなのデザイン進化論」を立ち上げることになりました。

安土:プロジェクトリーダーとしては、みんなが他の仕事で忙しい中、どうやって声をかけていくかに苦労しました。また、以前、別のオウンドメディアを立ち上げた時はKPIの設定もしていないままに立ち消えになってしまったので、その轍(てつ)は踏んではいけない、とも思っていました。

赤嶺:私自身は、プロジェクトマネージャーとして皆さんのお尻を叩いて記事をアップしていただくことに、ちょっと喜びを見出しています(笑)。
自分がきちんと進行管理してれば、継続的に記事がアップされる。ちょっとずつフォロワーが増えたり、お客様からも「見ましたよ!」と言っていただいたりして、記事を地道にアップしてきた効果が表れ始めていると感じています。

酒井:プロジェクトマネジメントってある意味、冷酷にならなくちゃ進まない部分もあるので。やっぱりお尻を叩く人ってすごく必要ですよね。

赤嶺:頑張って叩き続けます!

清水:めちゃくちゃ叩かれてる。「清水さんあと1週間ですよ」とか。

一同:

酒井:みんな「必要で緊急な仕事」に時間を取られるんですよ。
でも「緊急ではないけれど必要なもの」こそ、意志を持ってやる必要がありますよね。Googleの20%ルールみたいな。

酒井


清水:
私(社長)がやらなかったら、みんな「やらなくて大丈夫。忙しいからしょうがないよね」になるので、頑張ってます。


「みんデザ」を始めて良かったこと


安土:
ここで話題を変えて。「このプロジェクトを始めて良かったこと」は何だと思いますか?

酒井:さきほど赤嶺さんがおっしゃったように、まずは徐々に広がり始めていることじゃないですか。お客様からも「見ましたよ」って言っていただけているように。なので、コアメンバーではない方たちにも記事を書いてもらったらどうですかね?

赤嶺:そうですね。私は発足当初に記事を書いたのですが、自分がやった活動をきちんと文章にしてまとめることで、知識が定着したり、内省するきっかけになったり、自分の想いを伝える機会になったりしたので、すごく良かったと思っています。

清水:オーイーシーさんの事例のように、プロジェクトが終わった後にもお客様にインタビューをさせていただいているのが良いな、と感じています。記事自体がお客様との共創になっていますよね。

安土:相互のウェブサイトにリンクを貼り合うなどの共創もできますよね。それによって2倍拡散する可能性が生まれますし。

安土:逆に、現時点での「課題」はどうですか?

赤嶺:社内・社外含めて、記事を書く人を増やしていきたいと思っています。多様な方がそれぞれの視点でデザインについて書いてくださることで、記事やメディアとしての広がりや深みも出るし、この取り組みの本来の価値にも繋がるんじゃないでしょうか。

赤嶺


安土:
私は今、課題は二つあると思っています。一つは自分の記事をそれほど書けていないことです。ちゃんと時間を確保して、持っている問題意識を深掘りした記事を書きたいと思っています。もうひとつは、いま赤嶺さんが言ったように、どう広げていくかですね。

清水:私はリアルなところで言うと、採用や仕事の問い合わせに繋げたいですね。それによって、この取り組みもさらに盛り上がると思います。
実際、面接に来てくださった方の中に「読みました」って言ってくれる人もいるんですよ。せっかく一人ひとりの社員の考えや活動が記事にまとまっているので、それが目に見える結果に繋がると良いですよね。

酒井:現時点での課題はいくつかあると思っています。一つは、清水さんがおっしゃったことと繋がるんですが、どうしても記事を書くことに集中しがちになりますが・・・そもそも「みんなのデザイン進化論って何?」かといえば、ホームページを作ることではなくて運動体として広げていくってことなので、常に最初の趣旨に立ち返ることが必要だと思います。
もうひとつは、日々の仕事に悪い影響がでないように、負荷のない範囲でうまくやる。そのやり方を常に考えることですね。

安土:どうしてもそっち(オウンドメディア)に引っ張られちゃうところがあるので、私自身“プロジェクト”という言い方にしています。

赤嶺:社員が記事を読むことによって、このプロジェクトを自分ゴトとしてきちんとお客様に説明できるようになることもすごく大事だと思います。
そこから生まれるものもあるでしょうし。自分が関わっていないプロジェクトの経緯を、記事を通じて知る「インナー効果」は大きいはずですよね。

清水:高津川リバービアも、もしかしたら「社長のもの」と思っていたかもしれないですが、記事を読むことで「みんなのもの」になってくれたら良いな、と思います。

赤嶺:Slackの「みんデザ運用」チャンネルに社員全員に入ってもらうことで、プロジェクトの動きが目に入るようになって、だんだん「私たちみんなで作ってるものなんだ」っていう意識が広がってきているかなと思っています。


「みんデザ」のこれから


安土:
では、今後このプロジェクトをどのように発展させていきたいと思いますか?

清水:実はいま、東京でビアバルを展開する企画を練っているんです。そのプロセスを記事にすることを考えています。ただ、うまくいかなかったときにどうしようとかはありますが・・・(笑)。

酒井:今の話は、プロセスを明らかにするということですよね。世の中的にデザインって出来上がったものの良し悪しを評価するんですよ。
でも、プロセスまで知ってもらった方がデザイナーとの距離って近くなると思うんです。デザイナー視点で、どのように作っていたのかのプロセスが書ければいいですよね。

清水:(ビアバルの企画は)いま補助金の話をしてるんです。お金をどうやって集めて事業にしていくか。ロゴや店舗を作るデザインのもう一つ前の段階を、いろいろ勉強しながらやっています。

安土:そういう、いわゆるデザインとは思われてない工程もデザインと呼べる部分があるかもしれませんよね。

清水:いろんな人の力を借りるしかない。でも「この分野はこの人にお願いしよう」ということももしかしたらクリエイティブなのかもしれないし。

酒井:アートの分野では、オラファー・エリアソンというデンマークのアーティストがいるんですが、彼は気候変動の科学者などとプロジェクトチームを作って、そのプロジェクト全体をデザインしているんですよ。
「オラファー・エリアソンキッチン」というのが有名で、みんなで美味しいものを食べながらディスカッションできるんです。多様な分野や文化を背景とした人たちが集まって、一緒に食べながら対話してプロジェクトが生まれていくわけです。そのプロセスの中で違う分野の人と化学反応が起きるわけですよね。オーイーシーの皆さんもすごくびっくりしていたのが、安土さんの「オーダーはある程度ぼやっとしたもらった方がやりやすいです」という言葉でした。IT会社は「要件定義をきちっとしなくてはいけない」と思い込んでいた。文化の違いの面白さですね。

安土:このビアバルのプロジェクトも、社内全体に表明することで、もっと大きな広がりが生まれるような気がしますね。

清水:ビアバルは、飲食関連が大好きな渡辺と一緒に進めているんです。まだ20代後半だからわからないことも多いと思うんだけれど、事業を立ち上げることを勉強してほしいと思って。それもT型人材ワークショップで自分の興味関心が掘り出されたことがきっかけでしたね。だからやりたいことをちゃんと考えることってすごく大事だと思います。

清水


酒井:
みんデザの取材をしながら人脈が広がって、新しいプロジェクトが生まれたら素敵ですよね。

赤嶺:清水さんが好きなアベンジャーズみたいですね。

安土:これからみんデザを通して何を伝えていきたいですか?

赤嶺:デザインも、私たちデザイナーも、常に変化・進化しているということですかね。企業がひとつの業種に縛られずに違った領域に展開をすることが多くなってきている中で、私たちも一緒に考えたり伴走できなければいけない。なので、意匠をつくるという従来のデザインだけじゃなくって、いろいろなことを一緒にやっていける会社ですよ、ということを伝えていけるといいのかな、と感じています。

安土:いいですね。記事の発信を通じて、今までのL4Dに対する印象から脱却できるかもしれない、と思っていて。「面白い会社」「いろんなことをやっている会社」って思ってもらいたい。なので、内容を選り好みしないで発信していけるといいなと思います。

清水:デザイナーやデザインに関わる人たちに、デザインの本質や価値を伝えていきたいですね。デザインって本当にいろんなことができるし可能性があると思っています。

酒井:飯田さんにインタビューさせていただいた時にいいな、って思ったのが「自分の身の回りのものを見てもデザインされていないものってないですよね」という言葉です。「みんなのデザイン進化論」なので、デザイナーと非デザイナーって言葉を無くしたいですね。その境目を無くしたい。潜在的に「デザイナーに関わる人」は広がっている気がするんですよね。
オーイーシーさんにインタビューさせていただいた時も「ITとして要件を定義していくのもデザインなんです」っておっしゃっていたので、デザイン市場は広がっていると思いますし、全部がデザインなんだということをこのプロジェクトを通じて啓発していきたいですね。


改めて「みんなのデザイン進化論」とは?


安土:
改めて「みんなのデザイン進化論」って何だと思いますか?

赤嶺:スタッフ、お客様、協業パートナの皆さんーと一緒に、デザインの未来や進化を考えていく、広げていくみたいなところですかね。

酒井:さきほど「デザイナーと非デザイナーという言葉を無くす」と言いましたが、言い方を変えれば、デザイナーと社会を接続する、という感じでしょうか。デザインは知っているけれどデザイナーって縁遠いところにいるわけじゃないですか。

安土:今はまず、レベルフォーデザインの社員が「デザインってもっと広いもんだよ」と視野が一個上がることが必要かな、と感じています。

清水:まだ、卵の段階みたいな感じですよね。いろいろなものが新しく生まれそうになっている気がする。

安土:では、みんデザをやったことで変化したことって何だと思いますか?
自分としては、改めて、このプロジェクトを進める中で、さきほど酒井さんがおっしゃった「緊急性はないけれどやった方がいいこと」の大事さを学ぶことができたかな、と思っています。
やってみると新しい何かが動き出して面白くなっているので、やって良かったです。目の前の手をつけやすい仕事からやっちゃうんですよね。慣れてないことって後回しにしちゃうんで。そうではないことの意味をこのプロジェクトを動かしながら学んだと思います。

安土


赤嶺:
いま全社的に取り組んでいるプロジェクトって他にないので、このプロジェクトを通じて、みんなが役割分担しながら同じ方向に向かって進められてるっていうこと自体がすごく良い変化なんじゃないかなって思います。

清水:「デザインって、ものを作るとかビジュアルを作るだけじゃない」という思考が、みんなに芽生えつつあるなと思っています。
それで、みんながやりたいことを叶えるためにはどういうコネクションが必要なんだろう、という思考になるんですね。それがまた新しい動きを生むんじゃないかなと思います。その反面、「私、やりたいこと無いんですけど」みたいな人もいる。「ならば他の人に乗っかってやろうよ」って言いながら。無かったら無いで私は全然いいと思う。

酒井:現時点では、社内と社外で少しずつみんデザって言葉が知られ始めた段階ですよね。次は、何か関わってみたら楽しいかもしれないって思ってもらえる段階にいければ良いですよね。

安土:では最後に。このプロジェクトを通じて、デザインに対する向き合い方は変わってきましたか?

赤嶺:繰り返しになりますが、「(デザインって)形を作るところだけじゃないよ」っていうことが前提として染みついてきたかな、と思います。なので、お客様から「チラシを作ってほしい」とオーダーされても「そもそも何でチラシがいるのか」とか「その内容で良いのか」とかって対話することの重要性を学びました。日頃の仕事の進め方も変わってきていると思います。

安土:私も、お客様に質問する内容もガラッと変わった気がします。今までは、デザインに対する視野が狭かったんですが、自分でも話す内容が変わったな、という気はしましたね。

清水:今の話の前提として、我々の仕事の内容が大きく変わってきていると思います。その流れの中で、「みんデザ」というプロジェクトが生まれたのかもしれませんね。なので、このプロジェクトを通じてデザインの幅がぐっと広がると、本当にもっといろんなことができるんじゃないかなと思います。

酒井:レベルフォーデザインさんの日々のビジネスという点では、どうしてもクライアントが求めるサービスを提供するということが大事になりますが、このプロジェクトは、それとは切り離したコミュニティみたいなもんだと思うんですよね。
「みんデザ」という活動を通じて、デザイナーという肩書きの有る無しを越えて、人と人との関係をフラットにデザインする可能性が生まれるんじゃないかなと期待しています。




【みんデザ連続投稿キャンペーン】

キャンペーンは終了いたしました。
皆様、応募いただきありがとうございました。




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