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夜ドラ「ミワさんなりすます」 クセになる引きの強さは脚本徳尾浩司マジック
NHK夜ドラの「ミワさんなりすます」のハラハラがやめられない止まらない。
最大の魅力といえば、毎回の「引きの強さ」に尽きる。
「引きの強さ」すなわち、次回へ引っ張る力。
もっと言うと、「いや、何、このあとどうなっちゃうのーーっ!?」と、続きが気になっちゃってしょうがない終わり方。
原作はもちろんそうなのでしょうが、
これが脚本の徳尾浩司氏と非常に相性がいい。
あらすじ
とにかく映画が大好きなフリーター・久保田ミワ(29)は、俳優・八海崇(56)を心から敬愛している。バイト先のレンタルショップをクビになり、ミワに残されたものは膨大な映画の知識と最愛の推し八海崇への熱き想い。
ところが、ひょんなことから、ミワはその八海家の家政婦をすることに。
いや、正確には「家政婦になりすます」ことになる。
推しと同じ空気を吸う
ナマ推しが目の前にいる
推しに茶を出す
推しが自分の名を呼ぶ…
尊い…尊すぎる…
まさに、「今日が命日」の毎日だけれど、そこには常に「身バレ」の危機と推しを騙しているという後ろめたさが付きまとい…
オタクにとっては、我が身に置き換えずにはいられないお話です。
自分だったら完璧に家政婦を務め上げる?
それとも、推しへの申し訳なさから、即あやまって逃げる?
自分、もし逃げるなら、まず推しと同じ空気肺いっぱいに吸い込んで、一生吐かないじゃないかと思う(狂気)。
推しに対してあくまで節度を持って接しようとするミワさん。
けれど、八海様の方がミワさんを気に入ってしまう。
親しくなるほどに幸福感は高まるけれど、
同じボリュームで罪悪感も増していく。
視聴者は、穏やかな八海様と控えめなミワさんの交流に、
ほっこり癒されながら(羨ましすぎる)、
常にミワの身バレの危機にドキドキハラハラする。
薄氷の上に乗った幸福が、重くなればなるほど
転落までの時間が短くなるのを感じずにはいられない…。
緊張と弛緩のバランスというか落差の絶妙さ。
幸せになればなるほど、不幸への予期が強くなっていくというパラドックスの構造がすごい。
そして15分間の物語はたいてい、
「えーーーーーっ!どうなっちゃうの〜〜!?」で終わる。
(原作未読なのでよけいに楽しんでおります)
例えば、
・八海と二人っきりで書庫に閉じ込められるミワ
・八海のマネージャーへの家政婦派遣会社からの電話
・突然ミワの自宅現れる本物の家政婦美羽さくら
などなど…
そこで終わられたら次まで胸がざわざわするやーん、
という引きで終わります。
この”引き”のことを「クリフハンガー」と言うらしい。
崖に引っかかっている、
まさに「絶体絶命」のところで、物語を終わらせること。
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* * *
最初に戻ると、脚本の徳尾浩司氏は、この”引き”の作り方が非常に達者。
特に、オリジナル脚本では遺憾無くそれを発揮。
その真骨頂とも言えるのが出世作「おっさんずラブ」
毎話の”引き”の作り方が本当にお見事なので、一度ぜひそういう目線で見ていただきたい。
おっさんずラブはとにかく幸福と不幸の緩急の角度が鋭角。
最高到達点と接地点の落差の作り方が凄まじい。
それが、ストーリー全体にもあるし、毎話毎話の短いスパンの中にもちゃんとある。
そしてかならず、強烈なクリフハンガーで、つ・づ・く。
絶対次、見てまうやろ〜っ!
こう考えると、週刊漫画っぽいですね。
徳尾氏のオリジナル脚本
「私の家政夫ナギサさん」「unknown」などもそうですね。
そして、引きを効果的に作るための「秘密」の扱い方もうまい。
そんな理由で、「ミワさんなりすます」と徳尾浩司氏って相性が良い。
以前から、コメディ、シリアスおり混ぜて、緩急と引きを作れるところ、
徳尾さん絶対朝ドラ向き、と考えていました。
今回は夜ドラですが、いずれ朝ドラも書いてほしい。
* * *
さて、ミワさんなりすますの方は、もう一つ、物語に圧倒的に緊張感を持たせるキャラがおります。
ミワさんがなりすました相手のスーパー家政婦「美羽さくら」
正体不明思惑不詳の彼女の存在が、そこにいてもいなくても、常に物語に異常な緊張感をもたらしているので、そこも見どころかと思います。
恒松祐里さんって気づかなかった狂気の演技w
12月7日まで放送しているということなので、まだまだ間に合う。
次回への繋ぎ方に注目してみてみるのも良いのではないかと思います。
原作読みたいけれどガマン
リターンズの前にやみつきクリフハンガーを体験せよ
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シーズン1と別地平ですが引きの強さは健在