2023年12月読んでよかった本【冷たい密室と博士たち、思い立ったら隠居など】
『冷たい密室と博士たち』
森博嗣氏のS&Mシリーズ『すべてがFになる』の続編。
今回は、初めのページに地図があり、物語を読み進めながら一緒に犯人を探り当てることが可能となっていた。
私はラストシーンの前にもう一度読み返し、犯人を考えてみたものの、当てることはできなかった。残念ながら探偵には向いていないようだ。
だが、これ以上に私を惹きつけたのが上に引用した台詞である。
学問などほとんど役に立たない。
だが、だからこそ楽しい。それを知るために教育というものがある。
元助教授の森博嗣氏だからこそ書ける文章だと感じた。
『思い立ったら隠居』
『年収90万円でハッピーライフ』で有名な大原扁理さんの著書。
隠居をするような方の本であるから、難しいことなど書いていないし、今すぐに役立つメソッドなどもそれほどない。
だが、
「隠居っていう選択肢もありだな」
「隠居したらこんな生活をしたい」
「そもそもどうして私は隠居をしないのだろう?」と考えが膨らむ。
進学、就職、起業と同列に『隠居』という選択肢を加えて、心の荷物を見直せる一冊だった。
FIREを考えている方、仕事や諸々で疲れている方におすすめです。
『爆発物処理班の遭遇したスピン』
ミステリ小説家、佐藤究氏の最新作。
これまで『QJKJQ』『テスカトリポカ』『Ank: a mirroring ape』と読んできたが、今作が最もスリルを感じた。
私は「ジャンプスケア」と言われる、急な大きな音や画面の切り替えで驚かせる表現は嫌いであるが、
小説のように情景の不気味さによってスリルを感じさせてくれる作品は大好きだ。
(映画で言えば『ミッドサマー』とか)
今作は短編集となっており、質の高いスリルをコンスタントに感じられた。
爆弾物処理班、クリーチャーのデザインのためにキメラを創り出すアニメーター、そしてシリアルキラーのアートの収集家など、「どうしてこんな特殊な職業の人の心理を緻密に書けるのだろう」と感動し、
そしてその緻密さによってよりスリルが際立つ。
近所の図書館にある佐藤究氏の作品はすべて読み切ってしまった。
新作が入荷されるのを心待ちにしている。
読んでくれた方と、フォロワーに「ありがとう」を。
コメントをしていただけると嬉しいです。
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