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綺麗事でもいいじゃないか。「八犬伝」見てきた。

今日は映画「八犬伝」を見てきた。

役所広司さんが主役なので見ようと思ったんだけど、思ってた以上に面白かった。

ストーリーは、虚(八犬伝)と実(滝沢馬琴)が交互に描かれていて、八犬伝パートの方はアクションが多くて楽しく見られて、滝沢馬琴パートの方は執筆の苦悩が描かれていて、動と静のバランスがよくて最後まで飽きなかった。

途中、馬琴さんが、歌舞伎の四谷怪談を見に行き、奈落で作者の鶴屋南北と虚(フィクション)と実(ノンフィクション)の問答をするシーンがあった。

奈落ってすごい暗くて狭くて「なんか出そう」な雰囲気があるんやけど、そこで馬琴さんと鶴屋南北が真逆な考えをぶつけ合うのがとても印象的だった。

馬琴さんは虚を書くことにこだわり、南北さんは実を書くことにこだわる。馬琴さんの虚っていうのは綺麗事(理想)でしかないんだけど、それが現実的じゃないからといって必要ないかというとそうでもない。理想っていうのは希望でもあり、それがあるから生きていけるところもあるんじゃないかと思う。

そもそも現実っていうのは見る人によって変わるものなんだから、見たくないつらい現実があるんなら理想を見てたっていいじゃないかと思う。もしかしたら、その理想の方が現実になることもあるかもしれないんだし。

そんなことを考えて、鶴屋南北がちょっと嫌いになった。

最後の方の、かなり年をとった馬琴さんが葛飾北斎と話をするシーンで、馬琴さん役の役所広司さんの目線で「あぁ、とうとう失明しちゃったんだな」ってわかるのがすごいと思った。

「家を買うために大切にしてた本も売ってしまった」って言ってたけど、家を買うために売ったんじゃなくて、本はもう読めないから、売ってしまうために家を買ったのかもしれないって思うと、なんだかとても悲しかった。

それにしても、八犬伝(フィクションの方)ってすごい面白いんやな。恥ずかしながら八犬伝って本も映画も見たことなかったけど、今日見て「こんな面白い話やったんや!」って今まで知らなかったことをちょっと後悔した。

8つの球を集めるとかドラゴンボールみたいだし(正確には球を持つ人を集めるんだけど)、伏線回収とかもあって、人気出るのも納得だなぁって思った。

次は「十一人の賊軍」見たいけど、エグいシーンもあるみたいだから見られるか心配。



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