優良顧客の判別と購買傾向の深掘り(2/2)~ ”RFM分析” で複数軸の指標による優良顧客を見つける〜
こんにちは。データストラテジストの難波です。
今回も前回の記事に引き続き、「Multi Dimensions」の、Behavior Deepdive(消費者一人一人のECなどにおけるオンライン行動の可視化)を用いた顧客分析の一例をご紹介したいと思います。
以下全2回でご紹介しております。ぜひ前回の記事もご覧ください。
(今回の記事)第2回:”RFM分析”で複数軸の指標による優良顧客を見つける
前回の振り返り
まずは前回ご紹介した「デシル分析」の振り返りです。
デシルの指標にする顧客ごとの購入金額を降順に並び換え、10分割して上位から順に1、2、3・・・10というデシルランクを振って顧客を分類するという手法でした。
そして、顧客のデシルランクごとに、購買している商品カテゴリの種類や、購入サイトの違い、ECの利用ボリュームなどを分析することができ、それぞれの傾向を深掘りすることによって、どのような顧客が存在しているのか明らかにすることができました。
今回は前回行った購入金額のみでランク付けしていたデシル分析から少し発展させて、RFM分析という複数軸での分析で顧客を深掘りしていきたいと思います。
RFM分析
RFM分析とは?
RFM分析は、顧客セグメンテーションや顧客の行動を理解するための手法の一つであり、RFMとは、それぞれ以下の要素の頭文字を取ったものです。
Recency(最終購入日からの経過日数):顧客が最後に購入した日付や行動から、その顧客がいかに直近購入しているかを評価します。
Frequency(購入頻度):ある期間内での顧客の購買頻度(回数)を評価します。
Monetary(購入金額):顧客が購入した金額や合計購入額を評価します。
RFM分析では、これらの要素を総合的に評価し、顧客を複数のセグメントに分類します。
前回のデシル分析は購入金額の1つの指標の大小で顧客を分類していたのに対し、RFMは購入金額、購入頻度、購入間隔の3つの指標で複合的に顧客を分類する点が大きな違いです。
例えば、いくら大きい金額の商品を購入している顧客でも、一度しか購入しておらず、それ以降全く購入がなければ優良顧客として判別すべきとは限りません。複数回の購入があって合計したら同じ金額を使ってくれている顧客の方がロイヤリティの高い顧客である可能性が高いといえます。
また、RFM分析では商材ごとの特徴を捉えた分析を行うこともあります。例えば、一定の購買間隔で購入するような商材(コンタクトレンズなど)は、最適な間隔と頻度で購買しているかを重視するので、RecencyやFrequencyで評価することが多いです。一方、購入する頻度が比較的高めの商材(食品・飲料など一般消費財)に関しては、自社のチャネルでいかに多く購入してもらっているかを重視するため、、MonetaryとFrequencyで評価することが多いです。
集計方法
顧客ごとにRFMの指標(購入間隔/購入回数/購入金額)それぞれを集計し、閾値を設けてランクを設定します。
実データを用いたRFM分析
使用データの定義
ソース:Mineds for EC Data
期間:1年間のデータ(2023年1月~2023年12月)
RFM指標:R(購入間隔) / F(購入回数) / M(購入金額)をそれぞれ集計
対象チャネル:楽天市場、Yahoo!ショッピングなどをはじめとした計18サイト
集計指標:
顧客人数(人):購入した人数をカウント
購入間隔(日):集計期間最終日(2023/12/31)から直前のECでの購入日までの日数をカウント
購入回数(回):ECで購入した回数(レコード数)をカウント
購入金額(円):ECで購入した金額の合計
ランク組み合わせごとの顧客の分布
RFMをそれぞれ2つずつ選んだ組み合わせの分布です。大小の偏りはあれど、ランクが高い人はもう一方のランクも高いといった分布の傾向は見受けられます。
RFMセグメントごとの分析
次に、ランクの組み合わせごとのセグメントの購買傾向について分析していきたいと思います。
一定の頻度で購入するであろうカテゴリ、かつ価格帯も低単価〜高単価に分散していそうなカテゴリに絞って見てみようと思います。
対象カテゴリ:ヘアケア、スキンケア、化粧品、洗剤
※ランク付け自体は上記で集計した条件で付与
集計値(全体):対象カテゴリ以外も含む全ての購買
集計値(対象カテゴリのみ):対象カテゴリのみの購買
※顧客人数以外の集計値(購入間隔 / 購入回数 / 購入金額)は該当のカテゴリの平均値を表示しています。
それぞのランクで購買人数の上位10カテゴリを表示
ランク1の顧客とランク2の顧客の購買しているカテゴリの種類の出現には順番が違えど、ラインナップに違いは見受けられませんでした。
ランク1、2の平均値を比較すると、購買間隔はあまり差がありませんが、購買回数と購買金額は1.4〜1.7倍の差があります。
このような場合には、購買回数(Frequency)×購買金額(Monetary)の軸で、優良顧客像を検討していくことがベターだと考えられます。
最後に
マインディアでは、ユーザーを軸としてオンラインアクションデータを蓄積、分析可能なサービスを提供しています(Multi Dimensions)。これによってユーザ単位の購買全体からインサイトを得ることができます。サービスにご関心をもっていただけた方は、ぜひ一度こちらからお問い合わせください!