ロマンチック金銭感覚
「ロマンチック金銭感覚」という映画を観て来た。
京都の出町座で12月8日〜14日まで先行ロードショーしていた。実はすでに6月頃にこの映画の存在を知っていて気になってInstagramをフォローしてたいたので「完成して上映するんだ! 観たいな…」と思ったけれど、私は悩んでいた。
足の怪我をしてから足に負担がかからないように用心してるのと、働き方の見直しをしたいという理由で以前より働く時間を減らしている。それで十分な収入になれば何の問題もない。だが現状はこのままではどうにもならない状態で、どうやったら身体にも心にも負担なく気持ちよく生きていけるのだろうか? と悩んでいるところなのだ。文章を書くことや歌うことは楽しいし夢中になれる。いくらやっても疲れない。でも今のところそれが収入につながっている訳ではない。
「こんな現状で神戸から京都まで映画を観にお金を使っていいと思ってるの?」「そんな余裕あるの? 他にやることがあるんじゃないの?」「友達のライブを観に行くのをお金を理由に断っておいて京都まで映画って何なん?」頭の中でダメ出しをする。「わかってる…」と納得しようとするのだけど気になって仕方ない。そんな風に行かない選択をしようと思っていた。
だけど、たまたまこんな文章を読んでしまった。
ミヒャエル・エンデの「モモ」!!!
コレは観なくてはいけない。「モモ」を好きなおふたりが作ったお金に関する映画を、お金で悩んでいる今だからこそ私が観る価値があるんじゃないか? コレは贅沢や無駄遣いではない。私にとっての価値なのだ! そう思って当日電話予約をしてから京都出町座へ向かった。
私は予約をしてギリギリ間に合ったから席があったけど、当日来て入れない方も多くいた。聞けば連日満員御礼らしい。それだけお金に興味がある(お金を儲けるとか稼ぐという意味ではなく)人が多いのかも知れない。
映画を観た感想。少し間延びするようなところもあったはあったけど観に行って本当によかった。お金に何でこんなに振り回されてしまうのか? お金とは何か? 価値とは? 等価交換とは? 地域通貨とは? 資本主義の世界という枠組みを外してみたら、私たちは何を贈り合い何を共有したいのか? そんなことを主役の監督夫妻のふたりを通して一緒に考え知って行くような体験ができる。予想ではもっとファンタジー寄りなのかと思っていたら意外と現実的で、ファンタジーと現実を行き来するような感じがよかった。
映画の中に謎の男や、謎の鳥みたいな生物が出てくる。この存在が何なのかは明かされない。「モモ」好きな私は、この得体の知れない生物に既視感があった。「モモ」に出てくる灰色の男のようで、「モモ」のあとがきに出てくるエンデが旅先の電車の中で「モモ」の話を聞かせてくれた謎の人物のようで、「はてしない物語」の虚無のようで何なんかはわからないけど、自分が気づいてないだけで無意識に忍び寄る存在なのだろうか。お金に対する認識って知らず知らずのうちに自分の中に入ってくる。それを表しているのかな。
電車に乗ると、こんな広告が目に入る。
「いい大学に行け!」(予備校)
「綺麗に見られる為に課金しろ!」(エステ)
「英語できなあかんやろ!」(英会話スクール)
「いろんな国に行って景色見とけ!」(旅行)
「お金借りとけ!」(金融ローン)
最近は薬品の広告も見かける。それらは広告のようでいて、「こうでないとあかんで!」という刷り込みや不安を植え付けてるようにも見える。ようは「買え!」なのだ。広告だもんね。それが悪い訳じゃない。だけど毎日乗る通学や通勤の電車で目にしていたら、無意識にその価値観が入ってくる気はする。
そんな風に知らず知らずのうちに価値観がいろんなところから入ってきて、「お金」とは何なのか? を考えることも忘れて不安になったり悩んだり苦しまされているんじゃないかな。
お金は便利だし大事だし好きだけど、お金に支配されてはいけない。お金が1番上にきてしまうことがおかしいのだ。「お金があればいい」「お金があれば大丈夫」そんなまやかしで詐欺の手助けをしてしまう人もいる。手っ取り早くお金が手に入ることが目的になっている。お金を使って何をしたいのか? は蔑ろになってお金があればいいという頓珍漢なことになっている。たぶんもうお金中心の資本主義社会は臨界点に達して崩壊は始まってるんだと思う。崩壊した社会にしがみつくのではなく、軽やかに本質を見つめてしあわせに変化していけたら。そんな願いがこの映画には込められている気がした。
大手の制作会社ではなく個人の監督ふたりが心を込めて作った映画なので、公開予定に関しては順次公開予定が発表されると思う。近々は富山のほとり座で12月16日〜12月29日まで先行公開されるみたいです。
お金とは何か? この世界でしあわせに生きていくには? などに興味がある方はぜひご覧下さい。
以下は私が「ロマンチック金銭感覚」に興味を持った背景になるような自分の文章です。興味ある方に読んでもらえると喜びます。
6月に初めて「ロマンチック金銭感覚」を知った時に書いたnote。
左足靭帯損傷して休職中に「モモ」みたいに生きたいと思って書いたnote。
「モモを読む会」という会に参加した時のnote。