
ニュートラルな感情に気づくことでもたらされる幸せ
私たちは普段、ニュートラルな感情にはなかなか気づきが向かないものです。ニュートラルな感情というのは、快くも不快でもない感情でもない、フラットな感情です。マインドフルネスの練習を続けると、ニュートラルな感情の中に幸せを見つけることができるようになります。それが自分のまわりの平和にもつながります。
ベトナムの禅僧、ティクナットハン師はニュートラルな感情について以下のように語っています。
歯が痛むとき、私たちは不快な感覚を感じます。しかし、歯が痛くないとき、私たちは歯が痛くないことを楽しんではいません。歯が痛くない時は、ニュートラルな感情であると思います。歯が痛くなることで、歯が痛くないということがとても心地よいことであることを実感します。
私たちが生きているということ自体が本当に奇跡です。それは何も特別なことではないかもしれませんが、今この瞬間に生きているということを深く認識すると、それがどれほど素晴らしく、どれほど楽しいものであるかがわかります。
瞑想の実践を続けていくと、ニュートラルとよばれる感情を、健康的で長続きするような快い感情に変えることができるようになります。 瞑想は、何が苦痛で何が奇跡なのかを理解するのに役立ちます。自分の外に幸せを探す必要はありません。幸福の存在に気づくだけで、すぐにそれを手に入れることができます。
私たちは、頬にそよぐ風など、快い感情を好きな時に味わうことができます。瞑想における幸福への気づきによって(心が)養われると、私たちは寛容になり、自分自身や他人に対して寛容になり、思いやりを持つようになり、私たちが感じている幸福を周りにいる人も感じるようになります。自分自身の中に平和があれば、他の人と平和を分かち合うことができ、人生における多くの困難に忍耐と粘り強さをもって立ち向かうのに十分な強さと平静さを得ることができます。
ともするとマインドフルネスは、ストレス軽減、生産性や集中力の向上など個人の目的のためのツールと揶揄されがちですが、「気づき」のエネルギーは自分だけでなく、私たちの周りを平和にする力があることを知ると、マインドフルネスの練習を続ける別の意味を見出し、日々の実践の新たなモチベーションにもなるのではないでしょうか。