トラウマ・センシティブ・ヨガ講座開催レポ&参加者の感想
トラウマへの支援にヨガ?
苦手意識を持つ方が多いアディクション臨床について扱うのがアディクション臨床オンライン研修会。今回は、トラウマへの支援にヨガなど体に意識を向けて動かす・・トラウマ・センシティブ・ヨガの可能性について話をした。
トラウマ・センシティブ・ヨガ(Trauma Center Trauma-Sensitive Yoga:TCTSY)は、アメリカ・ブルックラインのTrauma Centerで開発された。TCTSYは、Center for Trauma and Embodiment at Justice Resource Instituteのプログラムである。
正式なTSTSYのプログラムは、300時間のトレーニングを受けたファシリテーターのみが教えることができる。TCTSYは、複雑性トラウマあるいは、治療抵抗性のPTSDにも有効であったことが実証されている。
デービッド・エマーソンらにより作成され、トラウマの世界的権威ヴァン・デア・コルクらによって実践研究がなされている。
https://www.traumasensitiveyoga.com/about
私は、Center for Trauma and Embodiment at Justice Resource Institute開催の20時間のトラウマセンシティブヨガのトレーニングを終了したので、TSTCYの基本的な考え方や要素を支援に取り入れている。
トラウマ・センシティブ・ヨガの考え方を用いたアディクション・トラウマを持つかたへの支援について講義・実習形式で1時間半のセッションを行った。40名程の参加があった。
以下に概要を簡単に報告し、皆さんの感想をお届けする。
参考文献
トラウマをヨーガで克服する デイヴィッド・エマーソン エリザベス・ホッパー 紀伊国屋書店
トラウマ・センシティブ・ヨガとは?
トラウマ・センシティブ・ヨガ(以下TSY)は、デイヴィッド・エマーソンや、ヴァン・デア・コルクらによって作られたトラウマサバイバーに適合するようなヨガであり、トラウマ治療において有効でエヴィデンスが示されている「補助療法」である。
TSYがターゲットとしているクライアントは、シングル・トラウマのみでなく、慢性複雑性トラウマおよび治療抵抗性の高いトラウマも対象としているのが特徴である。
PTSDのみならず、複雑性PTSDへの補助療法として使用できるというところが、TSYの特徴であろう。
講座の内容
講座は、前半を理論編、後半を実践編の構成であった。
トラウマ・センターのトラウマ・センシティブ・ヨガ(TCTSY)は、上記の3つの理論に基づいている。それが、トラウマ理論、アタッチメント理論、そして神経科学である。
この多岐に渡る理論の話を、短時間でわかりやすく伝えるのがなかなか難しかった。詳しい内容に興味のある方は、講座を是非受講していほしい。
アタッチメント理論についての補足資料として以下のYOUTUBE動画を参照するのが宿題だった。(翻訳あり)
実践編では、TSYの要素を用いて、私が日々、トラウマのある方々を対象とした講座で実践しているヨガのポーズの基本的なものをいくつかご紹介した。
こちらは、デーヴィッド・エマーソンによる肩回し。
肩回し、首まわし、太陽の息など基本的なものを、トラウマ・センシティブ・ヨガに必須な「言葉がけ」を行いながら実践した。
TSYで必要な4つのキーワードはこちらの記事を参照してほしい。
皆様の感想
16名の参加者から回答を得た。最初に、ワークショップの満足度である。93.8 %の方が参加してよかったに回答。
もっとも印象に残ったことについては、下記の通りである。
じっとして瞑想するより、身体を動かしながらの方が自分には合っていると思いました。実際、ボディスキャンにはトラウマの患者さんは抵抗を示されることが多いように思います。
「寒いと気づいたら毛布をかけていい」と先生がおっしゃった際に、毛布を肩に掛けたらなんか体が良い感じになったこと。
内受容感覚ということば。瞑想の前にヨガを行ってみるなどの順番
侵襲的にならないようにヨーガや呼吸法、ボディスキャンや瞑想を導入することはセッションにおいてとても大切なことと思います。その具体的な方法について伺うことができ、大変参考になりました。
後半のワークにより自分自身が「いまここ」に戻ってきたと思われる“感覚“を感じられたこと
呼吸に囚われなくてよいこと
トラウマ・センシティブ・ヨガについて知識なく受講いたしましたが、WSを通して全体のイメージをつかむことが出来ました。通常のヨガ以上に、参加者の方に配慮した声掛けのあり方等大変勉強になりました。
TSYの4つのテーマの内容が、具体的でよく理解できました。
太陽の息のエクササイズ
後半の実践で、体に集中できる時と他のことをつい考えて散漫になる時と様々で面白かった。
首回しひとつでも「選択」させることができること
自由な感覚を得ることが出来ました。
体が楽になる感じがありました
体が温かくなった。力が抜けた感じがした。
セラピストの意識一つでセラピーが変わる
等々、たくさんの感想を頂いた。しかと受け止めて、次回の講座にいかしていきたい。画面上でも皆さんの熱意が伝わってくるほど、関心が高い様子が伺えた。
また同様のワークショップを開催予定であるし、TSYの要素を当センターのマインドフルネス・プログラムでは取り入れている。
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