【参加者100人超】高校生向けオンライン大会を運営して学んだ10個のこと【反省会の記録】【みんコン】
はじめまして、まるです。大学2年生です。
私は、2020年に行われた高校生向けオンライン放送コンテスト「みんなで放送コンテスト2020」の実行委員の一人として、大会の企画・運営をさせて頂きました。なにもわからない中で1から大会を作り上げるという、貴重な経験をさせて頂きました。
大会を最初から最後までやりきった中で、良かった点だけでなく、こうすればよかったという点がいくつもありました。大会終了後、チーム内で行った反省会でも、多くの課題点が浮き彫りになりました。
オンラインで行う放送部員※向けの大会、と言うものは今後行われることはなかなかないと思います。その一方で、オンラインのみで何かを企画したり、有志のメンバーで何かを成し遂げるという、大会の本質の部分については、今後も様々な面で役に立つ内容であると考えています。
この記事では、そうした「組織運営」にまつわる部分について、反省会の話し合いの結果を元に、私達の反省点と、改善案についてお伝えします。いつの日か、この記事が少しでも、誰かの企画運営のお力に慣れれば幸いです。
非常に多くのことを学ばせていただきましたが、今回はその中でも組織運営について、特に重要だと思われることに絞って掲載します。断片的だったり深かったり、放送部の大会特有のものだったりする内容については割愛しています。
なにかご質問・ご相談などがありましたら、以下のサイト内のフォームからご連絡ください。(僕にメールが飛ぶようになっています。)
そもそも「放送部」とは
大会の概要を紹介する前に、そもそも「放送部」という部活について、ご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、軽く紹介させていただきます。
放送部は、学校の部活動の文化部の一つです。
学校や地域のことを原稿に起こしニュースキャスターのように伝える「アナウンス」
小説などの一部分を切り抜き、朗読する「朗読」
テレビやラジオのラジオ番組やドキュメント番組を作る「番組」
など、放送の本質である「伝える」ことを中心として幅広い活動をしています。
そして、高校の放送部員にとって最も大きな大会の一つがNHK杯全国高校放送コンテスト、通称Nコンです。放送部員にとっての甲子園とも言われ、例年全国大会は東京都渋谷区のNHKホールで行われます。この舞台に立つことを夢見て、全国の放送部員は活動しています。
「みんコン」とは
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により多くの部活動の大会は中止を余儀なくされました。放送部員もNコンの中止が決まるなど、突如発表の場を奪われました。
そうした状況を踏まえ、なにかできることはないかと、放送部の現役生、OB、OG、コーチなどが中心となり、作り上げた独自の放送コンテストがみんなで放送コンテスト2020、通称みんコンです。
アナウンス部門、朗読部門、テレビドラマ部門、ラジオドラマ部門、脚本部門が行われ、全体を通じて90名以上の高校生に参加していただきました。
また、決勝での審査員について、現役アナウンサー、映像ディレクター、過去に全国Nコンで審査をされていた方、さらに以前全国大会で優秀な成績を収められた方などにご協力いただき、レベルの高い審査をしていただくことができました。
以下の動画は、本大会参加者の高校生に密着したテレビ番組です。(朝日放送テレビ「キャスト」にて放送されました。)
詳細は、大会公式ホームページを御覧ください。
それでは、具体的な内容に入っていきます。
<その1>「開かれたプロジェクト」の限界
【みんコンの流れと生じた問題】
1. 4月末。Nコンの中止が決定。
2. 以前から存在していた放送部好きが集まるオープンチャットで、「私たちで個人的に大会を作らないか」と提案が上がる。
オープンチャット:LINEアプリ内に組み込まれた、誰でも参加できるグループ。友だち登録をしていない人とも共通の話題について話すことができる。
3. 数人の有志が集まり、「みんコン企画ルーム」というオープンチャットが成立する。
あくまでも誰もが自由に、アドレスを押せば誰もが気軽に入れるオープンチャットで運営。アドレスは、公式ホームページやSNSなどで公開し、広くメンバーを集いました。
多くの人に運営に参加してもらうため。「みんなで作り上げる大会」として、開かれた場を目指しました。
4. 大会を運営するにあたって、個人情報など、気をつけて取り扱わなくては行けない情報が増えた。
その数は参加者、運営メンバー、審査員、協力者など合わせて3桁を超える人数となりました。そして、それを全ての人に公開できる形にするのは問題があると考えました。よって、個人情報の取り扱い者を一部に制限する必要が出てきました。
5. 上部団体「実行委員会」を設置。
実行委員会:初期からのメンバーや普段から会議に参加していた人などを中心として、ある程度仲間内で信頼ができ、大きな仕事をお願いできる人たちのみが参加。個人情報を絡む話のみを扱うためだけの場として作られた。加入前にオンライン誓約書を書いた人だけが参加できた。
当初、実行委員会はあくまで個人情報の扱いのためだけの場でした。しかし…
6. 実行委員グループのみで完結させてしまう状況の発生
理由としては次のようなものが挙げられます。
そして、その他にも
以前まで企画ルームと実行委員会という2つのグループを使い分けていたものの、次第と実行委員会のグループ内ですべての話を済ませてしまうこととなりました。
本来の中心であった企画ルームの利用は次第に少なくなり、Zoomでの会議の告知など限られたもののみにとどまっていました。オープンな話題でも企画ルームに投げず委員会で解決させることもありました。
その結果、この大会はいつしか「実行委員の中でのプロジェクト」という形になってしまいました。そして、企画ルームはあくまで実行委員に入る前のワンクッションの場としてしか機能しなくなっていきました。
7. 企画ルームはいつの間にか忘れ去られる。
一方で、委員会メンバーは人手不足に喘ぐという悪循環が生まれました。
【組織として二段階方式にした(となった)意味はあったのか】
それ自体に問題があったわけではない、と考えます。
人を集めることは重要だったし、オープンであることも売りにしていました。かと言って個人情報を誰もが入れるグループに投下はできません。
上下を分けて扱わなければ運営として立ち行かないことはあります。むしろ分けなければならなかったという状況であったことは間違いないと考えています。
どちらかというと企画ルームの扱い方が雑になっていったことに問題があったのではないかと思います。
【改善案(反省会での意見より)】
○ 元々の取り扱いからアップデートして、運営のほぼ全権を委員に移行し、企画ルームはあくまでも委員会に入る前のクッションとしての位置付けに変えておいたほうがよかったか。
○ 企画ルームでの話し合いが難しくなってきた段階で企画ルームと実行委員会の位置づけを明確にすべきだった。
○ 場合によっては、企画ルームは大会運営の組織「外」であると明確にし、人集めや意見集めのためだけの場所と割り切ることも検討すべきだった。
○ より積極的に企画ルームのメンバーにも声をかけながら積極的に意見を仰ぐことができればよかった。
○ 議事録は個人情報関連とそうでないもので分け、そうでないオープンにできる部分は企画ルームにも投下するとよかった。
○ 初期からいるメンバーと後から入ってきたメンバーとで保有している情報の差が出ていた。その結果、メンバー間で熱意の差があり、問題の大きさの把握が難しいものがあった。
→ 説明会を開いて、情報の差を埋めるべきであった。
特に後半はオープンにできる話題できない話題がごっちゃになった会議が多く、そこを整理していればもう少し企画ルームの人にも状況を理解してもらえたかもしれない。ただし、進行議事録係の人はそうすると労力が半端ないことにはなったと思われる。
【まとめ】
プロジェクトが大きくなるにつれて、外部との連絡は多かれ少なかれ出てきます。すると次第に「開かれた場」だけでは立ち行かなくなっていきます。
そうした状況が生じた段階で、「開かれた場」「閉ざされた場」の位置づけを組織全体として整理し、アップデートしていくことが大切であると思います。
<その2>信頼関係の意識的な形成の必要性
【みんコンでの課題点】
● オープンチャットでは十分な情報伝達がしきれなかった
→十分な信頼関係をつくることができなかった
→情報伝達に支障があった、熱意の差が生まれた
● ご時世柄、また地理的関係上、直接会っての話し合いが出来なかった。Zoomでも顔は出さず、チャットのみで参加された方もいた
→自然な信頼関係の形成を期待するのは難しかった。
● 会議の効率化が求められた
→効率化の際に、雑談を少なくした。
→新しく参加した人が場に打ち解けるのが難しかった。
【改善すべき点】
メリハリを持った雑談は必要なものとして考えるべきです。
● 会議の効率化の際も、会議の冒頭のアイスブレイキングなどは「必要な時間」として考える。
● 雑談しかしない雑談枠を設けるなどして、懇談の場を設ける
【結論】
匿名のチャットルーム(オープンチャット)で集まった
→見ず知らずの人間が顔も合わせず集まっている。
→信頼関係は築きづらい
→信頼関係の構築を意識的に行う必要がある
「当たり前のことが当たり前のようにできない」ことへの理解がなければいけない。
<その3>組織構成の明示性と過渡期のアップデートの重要性
【みんコンでは】
○企画の立ち上げを呼びかけた人がそのまま代表となった
代表は決めていたが形だけだった。
○「みんなで一緒に作り上げる」ことだけを重視した組織づくり
活動発起当初、できるだけフラットな組織を目指した
→途中で急にやること別の代表である班長を作ったものの、短時間で突発的に作った
→仕事分担がわからなくなった。大会代表と班長、実務者という階層の中で責任の所在がわからなくなった。
→班内での活動が進まなかった
→組織全体の統率が取りづらくなった
○一部の仕事が特定の個人に集約されすぎて、他の人が把握していないことがあった
Zoomでの話し合いの際、その人が不在の場合、何も進まなかった。
(取り仕切る人がなかなか参加できず、結果話がなかなか進まないという事もあった)
○途中で委員の人数が増えたが、組織編成のアップデートができず、規模拡大についていけなかった
→人材はいるのに人材を活かしきれなかった
→統括役の欠如・決定権が迷子に
【改善できそうな点】
〇 組織がある程度大きくなった時点で改めて代表選挙をした方が良かったのではないか
・代表にとって:「自分からなった代表」であるほうが、より責任感を持って行動できる。
・ 他のメンバーにとって:「自分たちでで決めた代表」であるほうが、信頼関係を作りやすい
〇 規模の拡大に応じて組織の形はどんどんアップデートしていかなければいけない
〇 その企画がどのくらいの規模になるかの予測はしておくべき
〇 誰かが来られない場合でも、他の人が対応できる組織づくりをしておく
(ボランティア団体である以上、急に失踪ということもない話ではないですし)
【どんなリーダーが良いのか?】
リアリストであった方がいいとは思う。完全平等主義は難しい。
人の意見を聞く力と自分の意見を話すバランスがとれる人がいいのでは。
あくまで有志の組織であるといえど、参加者に対するある程度の厳しさは必要ではないか。(例:週に2回はZoomでの会議に参加してもらう)
<その4>他団体との統合後は、組織の十分な再構築を
【みんコンでは】
大会始動時、同じような大会の開催を考え、アナウンス・朗読部門の要項の草案を作っていた有志グループと事実上の合併を行いました。その有志グループは以前から友好関係のあった人達で構成されていました。
合併後も要項の作成は友好関係のあった人同士で引き続き行われ、そのうち1名から結果が上がってくるという状況でした。
以後この組織は「アナ朗班」と位置づけられましたが、1名を除いた班員と、他の委員との交流がほとんどなかったり、話し合いがクローズドな場所で行われ途中経過がわからなかったり、他の班と比べて大きな壁がありました。
【生じた問題点】
アナ朗班と全体組織が事実上の別組織として動いていたため、中で起きている状況を大会代表を始めとした他の人が把握できなかった
アナ朗班の班員と他の委員との間で信頼関係を構築することができなかった
アナ朗班の作業に対して他の人が意見を言いづらい環境であった。
アナ朗班と大会全体の間のやりとりが1人に集約されており、その人が欠席した際に話し合いが全く進まなくなった。
【改善すべきだった点】
より緊密なコミュニケーションをとるべきだった
もし緊密なコミュニケーションが取れなかった場合、最終的には組織の再編成も検討するべきだった。
組織の合併の際、あらかじめ関わり方についてしっかりと議論するべきだった。
合意の上で内部組織を作る場合、内部組織での進捗について大会組織と共有する必要がある。人間関係における信頼関係を構築する必要はあるが、一方で進捗状況の管理などはそこに甘んじず、常に情報共有を怠らないようにすべきである。
<その5>膨大な作業量をさばく上での壁
【大前提】
どうしてもキャパシティーはオーバーしてしまうもの。
途中で誰かがいなくなってしまうなど、有志団体ならではの問題が生じることがあります。オンライン開催となるとなおさらです。よって、こういった企画がかなり大変であり、ある意味無謀なものであるという理解は必要です。まずは第一にこの大前提を意識することが大切です。
その上で、膨大な作業量のさばく上での壁をいくつかの面から考えていきます。
【①人員不足】
〇 みんコンでは
企画を回すメンバーがそもそも少なく、一人一人に割り振られる仕事量が膨大になっていることもあった。
〇 想定される解決策
<そもそも人数が少ない問題>
● 人材確保のために企画ルームの活用
● 人間が少ない中でどう動けばいいか」という考えももちろん重要
● 知り合いの呼びかけ強化
※人がいたからできたとは限らないものもあった。
<いる人を十分に活用する方法>
● 人材を集める際、面接などで能力を知り、その人が活用できる場所に適切に配置するべきであった。
そもそも、大会や企画ルームの説明をすべきだったのではないか
【②期日が守れないことがある】
〇 みんコンでは
それぞれに課されたタスクを期日までに終わらせることが出来ず、
他の人に迷惑がかかった。
また、キャパシティーを超える企画を立案したが最終的に頓挫してしまった。
このことがほかの部署に不信感を抱かせることとなった。
〇 想定される改善策
● 出来ないことを企画しない
● 期日内に出来そうになければ事前に連絡を入れる
やる気や責任感の面で、個人間での隔たりが大きかったことも大きな理由であった。その差を埋めていく努力はしつつ、それでもその差を完全に埋めきることはできないと割り切ることも大切である。(有志団体の限界)
【③一部の人への仕事の偏り】
〇 会議の際、担当者が必要な時にいるとは限らない
企画の達成に関わる
→ コンパクトにまとめる。
〇 適材適所に仕事を割り振れず、割り振れなかった仕事を一部の人が大量に負担することになった
チームビルドの段階で、スキルごとにある程度の人員配置は必要だった。
<その6>話し合いの進め方
【① 言いたいことを言いすぎて話がなかなか収束しなかった】
〇 想定される解決策
話し合いは「話を広げる時間」と「話を収束させる時間」に明確に分けて進めるべきです。
話を広げる時間は言いたいことを自由に話せるようにすることで、話し合いに参加しやすくします(「ブレインストーミング」で検索)。一方で話を収束させる時間は、話し合いの状況を特に意識しながら進めます。
直接会っての会議でないなら尚更、「ここからは話を広げる時間です」と、司会者などが意識的に共有する必要があるのではないでしょうか。
【② 出席確認を取るか取らないか問題】
〇 みんコンでは
会議に参加するかの出席を確認しませんでした。そのため、いざ会議を開いても、日によっては全く人が集まらないこともありました。
〇 なぜ取らなかった?
取ると逆に壁ができるかもしれない(出席出来るようになったけど、欠席と連絡したから行かなくていいやとなってしまうのでは?)と考え、少しでも多くの方に参加してもらえるようにあえて取りませんでした。
〇 考えられる解決策
やるべきやらないべきはケースバイケースです。それぞれのメリット・デメリットのバランスは常に意識して、ときに俯瞰的になりながら考えていくべきだと思われます。
【③ 会議が多い】
〇 みんコンでは
会議が多くて、何を話し合うのか分からない会議もありました。
(どうしようもない面でもありましたが…)
〇 考えられる解決策
コンパクトにまとめるために、会議の段取りをよくする工夫が必要です。
ただし、雑談はメリハリを持って行い、全排除はしないほうがよいでしょう(その2 信頼関係の意識絵的な形成の必要性 参照)。
【④ 会議を一定の人に会議を任せすぎ】
○ みんコンでは
会議を一定の人に会議を任せすぎており、途中からきた人が入りにくいのではないかという意見がありました。(一方で、途中からでも入りやすかったと思えた人もいました。)
また、会議に欠席すると次の会議ではよく分からなくなっていることがありました。
○ 考えられる解決策
議事録を「毎回」作る。(※みんコンでも会議の議事録を作成していたが、全ては網羅できていませんでした。)
なお、議事録書くべきことかどうかの判断が難しかったり、タスクとの連結がしきれていないなどの問題も生じたため、そこについても解決策を見出す必要があります。
【⑤ 話し出しやすい雰囲気作り】
いろいろなことを言い出しやすい環境づくりができるとよかったです。
<その7>オンライン上の話し合いでのツールの活用
【みんコンでは】
LINEのオープンチャット、zoomのほかにTrelloやDropboxなどを用いました。
【課題点】
〇 使うソフトウェアの使い方がわからない
TrelloやDropboxは日常的に使わない人も多く、初めて触れたため使い方がわからない人も多くいました。
〇 開き忘れ
日常的に使わないものであったためあまり見なかったり使用義務まではなかったため、情報をまとめても参照されないことが多々ありました。
【想定される解決策】
逐次見ることを徹底させる
使い方講座を開く
日常的に使うであろう物や、わかりやすく整備されているものを使う
例えばTrelloはSlackと互換性がある。Slackは通知機能もついており分かりやすい情報はできるだけ一か所で管理する
ZoomやLINEオープンチャットを係ごとに立てていた。その結果、それらが乱立してしまった。これらはDiscordやSlackなど、複数チャンネルを同時に扱える場所に集約すればもっと扱いやすかったのではないかと考えられる。
ただし、ツールを1つ「しか」使わないという風に固着しすぎてしまい、あるものを使わないのも非効率になります。無理のない範囲内で、バランスを見ながら導入していく必要があります。例えば、本導入前に一部の人だけで試しに使ってみながら、決めていくといいと思います。
<その8>外部と関わるということの力と覚悟
【みんコンの場合】
一般的な場合、広報の目的は参加者の募集にとどまることが多いと思います。一方で、みんコンでは以下のような目的がありました。
まず第一に、数か月という短いスパンの中で、現役の高校生たちにいち早く知らせる
それ以上に手伝ってくれる人を集める
そのため、他の大会と比べて、広報は優先度が高いものでした。
言い換えれば、何よりも力を入れなくてはならないことでした。
【生じた問題・ぶつかった課題点】
〇 広報を先走ってしまった
参加者を集めなければならないと焦った結果、大会の方針が定まらないままに多くの学校などに告知をする計画などを立てていました。
実際問題、生徒側も参加するとなればそれなりの準備期間を要するので、少しでも早く伝える必要があったのも事実です。ただし、無差別に学校に連絡しちゃうのも問題となります。
〇 プレスを作ったりホームページ更新したりがとても大変だった。
今回はプログラミングができる人、イラストが描ける人、ホームページ管理ができる人が実行委員内にたまたま揃っていました。そのため、それなりのホームページが作れてはいました。ただ、普通はまず作る段階からとてつもなく大変なものです。
また、仮にできたとしても、その後の更新までしっかりやるにはかなりの根気を要します。みんコンでは、広報は全員が他の仕事と兼ねながら行っており、他の仕事が忙しいあまり十分に手が回らない状況となっていました。
【広報はどこまでやるべきか】
自分たちの行うイベントがこの先100パーセント何が合っても実行可能と言えない限りは、大々的に広報を行うのは難しいです。
何より、高校生向けの大会という性質を持つ みんコンでは、広報として情報伝達をする必要があったのは一般人ではなく、学校であったり、生徒であったりという、公的機関や未成年が中心でした。
そのため、いざ広報しておきながら、"やっぱりできませんでした"では、他の企画と比べても話になりません。
よって、直接個人ないし団体(今回であれば学校など)に積極的なコンタクトを取るのは危険性をもっています。
そのため、運営側のメンバーさえ足りているのであれば、大々的な広報はあくまでも自発的なSNSにまででとどめておくほうが"安全"ではありました。
一方で、それでもやはり広報は重要です。
行うイベントにもよりますが、どうにせよイベントの存在を知ってもらわねばイベントは開催できません。(できたとしても少人数。)
その状況はよくないですし、できる限り多くの人に知ってもらいたい、参加してもらいたいという思いを持って企画をを作っているはずです。広報をおざなりにしては、企画の成功は難しいと思います。。
例えば自分の住んでいる地域の地方新聞にコンタクトをかけて記事にしてもらったりするだけで、意外と人は見てくれます。
そして、その噂を聞きつけた人が手伝ってくれることもありました。
本来なら絶対に手が届かないだろう著名人に声をかけてもらえる可能性もあります。
「イベントを大きくするために広報を」というだけではなく、広報の拡充はイベントの成功への一歩だとも言えるでしょう。
本当にやり切るだけの覚悟と確実性があるなら、迷わず積極的な広報活動をすべきです。
ただし一方で、そこには大いなる責任が伴い、情報を世に出した以上は企画崩れを起こすことなく、最後までやり切ることを大前提としなければならない。
それさえ守れば、広報活動はイベント運営を大きく助けてくれるでしょう。
まとめ
有志団体という、メンバーの安定も保証されない中であり、そうした中でいろいろな方に声をかけるというのはリスクのあることである。とりあえずやればいいというものではない。
一方で、そうした中でも、メンバーが減ったとしてもなんとしてもやりきるという覚悟と確実性があるのであれば、迷わずに積極的な広報活動をすべきである。色々な人にプロジェクトのことを知っていただくことで、驚くようなところから支援していただけたりする。
<その9>"運営費ゼロ"は至難の業
みんコンには、どこの組織にも所属しない独立した組織でありたい、というポリシーがありました。そのため、お金周りには人一倍に気を使っていました。
大会準備期間中、ありがたいことに、何名かの方から資金提供のお申し出がありました。ただ、「お金は動かない方がより独立性が高い」という考え、そして「お金がかからない」という予想から、そのお申し出は受けないことにしました。
しかし、いざ運営をしてみると、賞状代をはじめ、その郵送費、関係各所への連絡の電話代やFAX代まで、意外とお金が必要な場面がいろいろと発生します。一つ一つの額は小さいものですが、積み重ねるとまあまあな額になります。
初めから「運営費は少なからず発生する」という前提の下で動くのが無難です。
「資金提供=非独立組織となる」と過度に恐れすぎる必要はありません。ただし、そうした可能性は少なからずあるため、あらかじめ寄付いただける方としっかりとお話をしておく必要はあるでしょう。
<その10>"鳥の目"を大切に
今回の大会は、その性質上、感染拡大状況や学校の再開状況など、いろいろな状況が目まぐるしく動く中、その影響を大きく受ける大会でした。
そうした状況に限らず、新規組織の運営というのは、状況が目まぐるしく移り変わっていくものです。
その目の中の状況に全力で向き合うのはもちろんですが、こうした中でも、こうした中だからこそ、「俯瞰的視線」「鳥の目」を大切にする必要があります。
目の前のことだけでなく、常に全体を見渡した上で考えることで、余裕のある組織運営ができるようになります。
立ち上げ初期の段階でロードマップを作成し、状況が変わるたびに徐々にアップデートしていくと、今自分たちはどの地点にいるのかを全体で把握することができます。
また、外部の方とのやり取りの中で、いろいろなご意見をいただくことが多くあります。こうした内容は全体で共有し、整理しながら随時生かしていくと大きな力となります。その際も、単発的な話なのか、長期的スパンで考えるべき話なのかを意識しながら整理していくといいと思います。
最後に
前例のない大会を、未経験者が一から作り上げるという今回の取り組み、それは最初の段階で想像していた以上に大変なことでした。
時にメンバー内で意見が割れたり、時に一瞬にしてすべてが白紙になったりと、思い通りに進まない日も数多くありました。
しかし、大会を全て終えた今だからこそ、「やってよかった」と心から言えます。
普通に生活しているだけではなかなか経験できないことを沢山経験し、大きく成長することができました。
そして何より、画面の先の参加者が喜んでくれていたことを知った、その時の喜びはこうして頑張った人にしか味わえないものです。
どうかこの記事を読んで、「運営ってなんか大変そう」とブレーキをかけないでください。一歩踏み出した先には、そこでしか見えない景色が待っています。
この記事が、何年後か先、誰かの力になることを願っています。