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木のぬくもりと自然の音に包まれて過ごした宿の時間

2度目の無職を迎えた記念に、自分を励ます旅に出た記録。

今回私が泊まる宿は夫婦で営む手づくりのお宿「bed & breakfast ichi」

ラウンジに置かれている本は、部屋に持ち込みOKとのことだったので、私は3冊部屋に持ち込んだ。

  1. 糸井重里『思えば、孤独は美しい。』

  2. 丹野未雪『あたらしい無職』

  3. 土門蘭『100年後あなたもわたしもいない日に』

本を選ぶ時間は楽しい

泊まったお部屋は「komorebi」

木の温もりの感じられる落ち着く部屋だった。

角に置かれた書斎に置かれているであろう小さなランプ付きデスクは、私の憧れそのもの。

赤い椅子が可愛い。

将来の部屋の参考にしたい

丹野未雪『あたらしい無職』

さっそく選んだ3冊を吟味し、滞在中に読む本は丹野未雪『あたらしい無職』に決定した。

今日無職になったばかりの私にとって、『あたらしい無職』に書かれている内容には親近感が湧き、どうかハッピーエンドであれ、と心なしか自分に待ち構えている未来を投影して読んでいたように感じる。

無職になってからの日々が淡々と書かれている日記だった。

たった数行しか書かれてない日もあり、みんなこんなもんか、と安堵した。

「こんなもん」というのは、馬鹿にしているわけではない。

私以外の無職の人の日々をのぞいたことはなく、みんなも淡々と過ごしていると知ることができて嬉しかった。

もし懸命に努力して自分の感覚を取り戻していくようなキラキラと輝かしい日々が綴られていたら、自堕落な生活を過ごしていた過去の自分に対して自己嫌悪に陥っていたと思う。


自然の気配を感じた部屋「komorebi」

眠くなるまで、本を読み続け、私は電気を消して目を瞑った。

古民家の壁はそこまで分厚くない。

今日明日は台風が直撃する予報。夜になって、雨風が強くなっていた。

嵐を思わせる風や強い雨の音。

水が流れる音がする。

私は寝る場所が変わると、ちょっとの光や物音に反応し、眠れなくなることがしばしば。

今回も眠れそうにないと悟ったが、今まで眠りながら自然の音を聞く機会があっただろうか。

今まで家の前の橋を通るトラックの音ばかり聴いて過ごしていたので、自然の音は新鮮で心地よく穏やかな気持ちのまま、眠りにつくことができた。

ほっと胸が温まる朝ごはん

朝は、8時前に起床。

小窓から朝日が差し、気持ちのいい部屋だと再確認。

宿が用意してくれる朝食をいただくため、1階に降りる。

私は和食を選んだので、お味噌汁、ごはん、漬物や卵焼き、魚、梨など、お手本のような朝ごはんを食べることができた。

寝起きはそこまで良くないので、宿主の方々とお話でもしたいところだったが、勇気もなく話しかけることはできなかった。

「ごちそうさまでした」を告げると、「今日はどこかに行かれるんですか?楽しんでくださいね」とだけ、声をかけてくださった。

程よい距離感を保ってくれる優しいご夫婦だった。

つづく


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