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【無料】基礎から分かる水産用語<227> はらこ飯とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


はらこ飯とは

 秋サケ(シロサケ)の煮汁でコメを炊き、サケの切り身とイクラを盛り合わせた炊き込みご飯。はらこ(腹子)はイクラを指す。宮城県南部に位置する亘理町発祥の郷土料理で、秋サケ漁が活況を迎える9~11月に飲食店や家庭の食卓でよくみられる。

 同町の公式サイトでは江戸時代に、仙台藩初代藩主の伊達政宗が同町を訪れた際、地元の人々が歓待の意を込めて、はらこ飯を献上したというエピソードを紹介。そのおいしさに政宗は感嘆したとされ、以降、同町の郷土料理として定着したという。

 今では宮城を代表する郷土料理の一つに位置付けられる。マルハニチロ調べの「魚食に関する調査2020」では全回答者1000人に「他県の人に自慢できると思う郷土の魚料理」を自由回答で聞いたところ、宮城県からは「はらこ飯」が選ばれた。県内の量販店では秋になると、はらこ飯を提案するポップとともにサケの切り身や調味液などをPRする売り場が広がる。

 はらこ飯に欠かせない秋サケだが、近年は漁獲不振で三陸産を確保するのが難しい。宮城は北上川や鳴瀬川などの河川があり、毎年秋になるとサケが産卵のため遡上(そじょう)する。ピーク時08年度は約316万尾が漁獲されたが、22年度は約3万2000尾(速報値)にとどまった。

みなと新聞本紙2024年10月22日付の記事を掲載