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養魚秘録『海を拓く安戸池』(35)~冷凍冷蔵~
野網 和三郎 著
〈注意事項〉
・文章、写真の説明文(キャプション)などは明らかな誤字脱字を除き、原文の通りとしております。ただし、著者略歴については、西暦を加筆、死去された年に関する記述を追加しました。
・敬称は原文に即して省略させていただきました。
・現在では差別的表現として、みなと新聞で使用していない表現についても、原文の表記をそのまま記載しております。あらかじめご了承ください。
・本書原本の貸与や販売は在庫がないため行っておりません。ご了承ください。
(35)~冷凍冷蔵~
餌料の変遷については、今まで述べた通りであるが、イカナゴ、イワシ、サンマの増産に伴い、これを貯蔵するための冷凍、冷蔵事業は大口業者は勿論、この設備投資には何をおいてもと力瘤を入れ、その餌料確保には多額の資本が投入されて行った。
安戸池養魚もその例にもれず、昭和六年に国庫補助を得て、建設した冷蔵庫は、試験的なものとしての設備であっただけに、貯蔵量も少なく、必然的に他の冷蔵庫を利用せねばならず、大阪、神戸市場冷蔵庫を利用していたのである。昭和二十七年組合事業に経営が移管されるに至り、政府資金の借入れによって逸早く冷凍、冷蔵庫を建設餌料の確保を計った。しかし一尾当りの餌料としては、最低一貫匁(四キログラム)くらいは確保する必要に迫られるため十万、十五万尾養魚には、自設の冷蔵庫では確保し難いために、生産地(明石)附近の冷蔵庫に入庫しなければならず、安戸池の場合は、神戸の川西冷蔵をこれに当てていた。