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劇場屋根裏の鳩

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映画・演劇・歌舞伎など、見てきたものの感想など
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#坂東玉三郎

そこらへんの鳩がうっかり歌舞伎見物にはまった話

もっちりデミタスさんのアドベントカレンダー(2023)寄稿です。 はじめに歌舞伎、見たことありますか。見かけたことがある方は、まあ日本人なら誰しもでしょう。白塗りの顔と赤い隈取り、あとなんか髪の毛ぶんぶん振るやつ。他には、男性が女性を演じる、というところくらいがおもな印象ですかね。不肖鳩はだいたいそんな感じのイメージでした。 もとより、いろんな事物について、ほんものを見たいと思っている鳩ではございまして、こと演劇や舞台芸術につきましては興味のあるものですから、歌舞伎もだいぶ

【歌舞伎鳩】夏祭浪花鑑、於染久松色読販ほか(四月大歌舞伎 / 歌舞伎座)

毎年四月は、仁左衛門さんと玉三郎さんの公演なんでしょうか。 昨年のこの月にうっかりビビり散らしながら歌舞伎座に行ったのが全てのはじまり。なんともう一年も経ちました。光陰矢の如し、恐ろしいですね。何より恐ろしいのはそこからほぼ毎月歌舞伎座にいることでもある。 歌舞伎、恐ろしい。恐ろしく素晴らしいので、まあ皆さんもぜひ幕見にでも行ってみてください。 👒は鳩的好きな演目 👒夏祭浪花鑑 ざっくりとしたあらすじ: 出牢した団七九郎兵衛(片岡愛之助)は、妻・お梶(中村米吉)や息子・市

【歌舞伎鳩】爪王・猩々・天守物語(十二月大歌舞伎②)

歌舞伎座新開場十周年 十二月大歌舞伎 2023年12月3日(日)~26日(火) 第一部:旅噂岡崎猫・今昔饗宴千本桜 第二部:爪王・俵星玄蕃 第三部:猩々・天守物語 爪王 ざっくりとしたあらすじ: 自慢の白鷹・吹雪を飼う鷹匠。ある時、庄屋から山の麓を荒らす老獪な狐の退治を依頼され、鷹匠は吹雪を連れて雪山へ。狐と吹雪の戦いは、狐の勝利に終わる……。狐と白鷹の戦いを描く舞踊劇。 きちんとしたあらすじはこちら。 狐:中村勘九郎 鷹:中村七之助 庄屋:中村橋之助 鷹匠:坂東彦三郎

【歌舞伎鳩:番外編】日本橋・天守物語(十一月シネマ歌舞伎)

「坂東玉三郎×泉鏡花抄」と銘打ったシネマ歌舞伎4本のうち、残りの2本。 公開をとても楽しみにしていた作品群で、本命は「天守物語」でした。 前回の感想は以下↓ グランドシネマ 日本橋 稲葉家お孝:坂東 玉三郎 瀧の家清葉:高橋 惠子 葛木晋三:松田 悟志 笠原信八郎:藤堂 新二 雛妓 お千世:斎藤 菜月 植木屋 甚平:江原 真二郎 五十嵐伝吾:永島 敏行 あんなに可愛い女を振りやがって!!! の気持ちと、まあでも分かるよ……の気持ちがあります。でも言わずに別れると決め

【歌舞伎鳩:番外編】海神別荘・高野聖(十月シネマ歌舞伎)

「坂東玉三郎×泉鏡花抄」と銘打ったシネマ歌舞伎4本のうち、今回は2本。 公開をとても楽しみにしていました。 だって泉鏡花の世界観が現実のものになるのが見たかった。 そして泉鏡花の文章は、読んでいて本当に美しいため、どうしても人間が話すのを聞いてみたかったのです。 残り二本の感想は以下↓ 海神別荘 美女:坂東 玉三郎 博士:市川 門之助 女房:市川 笑三郎 沖の僧都:市川 猿弥 公子:市川 團十郎 人間が1日で受け取れる美の総量をやすやすと超えてくる。 舞台上の美しさ

【歌舞伎鳩】東海道四谷怪談・神田祭(片岡仁左衛門 坂東玉三郎 錦秋特別公演)

片岡仁左衛門 坂東玉三郎 錦秋特別公演 2023年10月7日(土)~24日(火) 東海道四谷怪談・神田祭 御園座 いざ御園座! いい響きですね、御園座。 さすがにこちらは劇場の場所も知らず、とりあえず名古屋、ヨシ!の気分でお切符をとりました。 だって見たいじゃないですか?「四谷怪談」。 四谷怪談もぼんやりと、顔がくずれるお岩さんの話、としか知らなかったわけですが、面白いお話だと知ったのは以下のアニメのおかげです。 まあまさかこれを見ていた時は、このあと歌舞伎に興味を持っ

【歌舞伎鳩】怪談 牡丹燈籠(坂東玉三郎特別公演)

坂東玉三郎特別公演 片岡愛之助出演 2023年8月3日(木)~27日(日) 南座 いざ南座! 初めて南座へ。 京都・祇園四条駅を出たところすぐに劇場があるのは知っていたのですが、歌舞伎の劇場とすらも知らず、いつも賑わっているな〜程度に思っていました。 そこへ入ることになるとは? 成り行きとは不思議なものですね。あの時うっかり歌舞伎座のお切符をとらなかったら、ここにも足を踏み入れることはなかった。 歌舞伎座と比べるとこぢんまりとした印象で、フロアの高さ?が高いような気がする

【歌舞伎鳩:番外編】特別編 幽玄(八月シネマ歌舞伎)

特別編 幽玄 能の代表編目「羽衣」「道成寺」「石橋」を題材に、坂東玉三郎と太鼓芸能集団 鼓童がコラボレーション。 能・歌舞伎といった芸能と、和太鼓の響きが作り出す、新たな次元の芸術作品。 「羽衣」 漁師が見つけた天の羽衣を持ち帰ろうとすると、落とし主の天女が返して欲しいとやってくる。漁師は、返す代わりに舞を見せて欲しいと頼む。 「道成寺」 一人の白拍子が寺にやってきて、舞を奉納する。舞ううちに白拍子の様子がみるみる変わっていき……。 「石橋」 浄土へと続く石橋に獅子の