はじめての口紅
誰にでも、初体験というのは必ずある。
そんなとき、大体は緊張してしまうモノ。
教習所での運転……
切符を買って電車に乗る……
どれをとっても、やっぱり最初はドキドキする。
今じゃ何とも思っていないけれど、その時のことはよく覚えてる。
例えばそう、メイクとか。
ホントの最初は、ママの化粧品をコッソリ使う。
そして妙に感動して、自分のも欲しくなる。
その時、意外と化粧が落ちなくて焦ったりして……。
はじめてのリップは、確か高校生の頃。
それまで色付きリップでマセていた少女は、ほんのちょっとだけ背伸びしてみたりする。
ムジとか、近くの100均とかドラックストアとかをめぐって、
最終的に選んだのは、みんなの味方キャンメイク。
ホントはシャネルとかのハイブランドにもあこがれるけれど、最初だし。
肌に合わないと色々最悪だし、なんといっても高校生にはちょっと高嶺の花子さん。
でも、当時の少女にはそんなのどうでもよかった。
これで大人の仲間入りって本気で思ってるんだもの。
お化粧は楽しくてタイヘンなコト。
なんといってもお値段が高すぎる。
デパコスなんか上をみるとキリがない。
化粧品って1つ買うだけじゃダメで、いろいろ買わないといけない。
化粧水・下地・ファンデーション・アイシャドウ・チーク・アイブロウ・マスカラ・リップ、エトセトラ……
だから、1つひとつはそこまで高くなくても、全部そろえるとなるとそれなりにする。
大人でさえ高いと思うんだもの、高校生なんてなおさらね。
もちろん、化粧をするには肌を整えておかないといけない。
普段からお肌の手入れを欠かしちゃいけないし、
そのためには日焼け止めとかも必要になってくる。
世の女性は男性陣が思っているよりも遥かに膨大なお金と時間と手間がかっている。
どうしてわざわざそんな分かり切ったことをいうかって?
それは……
この世界に生きている男はバカばかりだから。
想像してほしい。
デートとか、お出かけとかの日は、世の女の子は早起きしてバッチリメイクを決めて準備している。
本命の相手との時は特に……
なのに会ってもなにも言ってくれないと、それは萎えるに決まってる。
あぁ。興味持ってくれてないのかなって。
こんなに頑張ってるのになって。
でも、そういうとめんどくさいって思うんでしょ?
バーカ。そういうトコだよ。
でもそんなのはまだ序の口
手抜きとか、化粧しない方がいいとか言ってくるノンデリカシーはもちろん、平気でドタキャンなんて論外。
ホントにバカ。
ひとこと褒めればいいだけなのに。
もしも未来からネコ型ロボットが来てくれたら、真っ先にそういう奴らを絶滅させる。
そう思っている女性は少なくないはず……。
あんなにあこがれたお化粧も、今や職場ではほぼ強制。
学校だと化粧禁止とかいってくるところもあるくせに、社会に出ると強制になる。
なんて変なお話なんだろう。
楽しかった化粧も、直前まで寝ていたいグータラニンゲンにとっては、結構ストレスな日もあったりする。
それでも頑張ってするけど、プライベートほど楽しくない。
あんまり派手にすると、色々言ってくる奴らも多い。
中にはセクハラまがいのことを平気で言うおっさんもいる。
あんたらのために化粧してないんだもの、ごちゃごちゃ言ってくるなっての。
今でもキャンメイクのリップを見かけると、つい物思いにふけってしまう。
あんな初々しい気持ちを胸いっぱいに抱いていた少女は、いつのまにか年を取ってしまった。
自分を彩るためのガンバリも、やがてヤツレタ顔を隠すための道具になってしまう。
そんなコト、微塵も思っていない頃に戻れたら……ってね。
※画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
素敵な画像をありがとうございます!
あとがきにかえて
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