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百合

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#日常

蝉の音

 彼女は縁側に腰かけて、友人宅の広い庭を眺めている。夕方の陽射しが庭を淡い橙色に染めている。彼女の右隣には食べかけのカキ氷がある。涼しげなガラスの器。銀色のスプーン。にごりのない赤のシロップ。たぶん舌は赤く染まっているだろう、と彼女は自分の唇に指を置いた。
 左隣にはその友人がいる。頭を彼女のほうに向けて寝転んでいる。夏だからとばっさり短くした髪が、手を伸ばせば届くところにある。友人は制服ブラウス

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通り雨

 雨が降ってきたとき、わたしとユカは市民プールの建物の中にいた。ちょうど着替え終わって帰るところだったので、いいタイミングだったのかなと思う。売店でわたしはスイカバーを、ユカはペットボトルのポカリを買った。市民プールの建物を出て、庇のところで雨の様子を眺めた。大粒の雨が地面に当たって弾けて、その飛沫がビーチサンダルを履いた足を濡らした。
 小雨になってきたので歩き出し、晴れ間が見えてもう降りそうに

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中庭の舞台

 今日は調子がいいみたいで、中庭にいこう、と彼女のほうから提案をしてきた。顔色は相変わらず悪いけれど、それでもいつもより頬に赤みが差している気がした。シーツを除けて、ベッドから足を下ろしサンダルを履き、ベッド脇の棚に置いていたカーディガンを羽織る。わたしは彼女の支度が済むのを待ってから口を開いた。
「ちょっとお腹空いたかな。売店あったっけ?」
 病院のすぐ向かいにスーパーがあり、買い物があるときは

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