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安堂ホセ「迷彩色の男」で芥川賞だ
村上龍や石原慎太郎がデビューした時、こんな感じだったんじゃないか?
迷彩色の男はかっこいい。
ゲイが集まる風俗施設で傷害事件が起こり、そこから出た男がすぐ警官に職務質問される場面がある。
お巡りさんは当たり前の捜査をしているはずなのに、読んでいる最中は向こうが悪に感じる。偽善、嘲笑。そんな言葉がうかぶ。
正しい仕事をしているのに悪意を感じて、聞かれた男に感情を入れ込めたのは、読書体験によって善悪の概念が揺るがされていたからだ。
前作を読んだときは、なんか凄いのはわかっても理解が追いつかなかったけど、今回はさらに刃を研いだ。
青いライトに裸の男が照らされて、熱をもって肌の下の血管がういてくる。つぎつぎに色を変える描写。踏切越しに群衆と向かい合う不思議な時間の描写。美しい男の裸体を破壊された仏像にたとえるセンス。文章に贅肉がなくて、ただただかっこいい。
主人公が勤務する会社も、舞台になる男たちの集まる場所も、こういう場所が実際にあるのかわからないけど、余計な説明がない。この会社のシステムはどうなっているのとか余計な部分に引っかかっている読者は置いていく。
安堂ホセは読者を置いていくのが怖くないのか。みんな周りに嫌われまいと必死なのに読者に下手に出ないで、読んでいる間は俺のルールに従ってもらう!と場を支配された感じがする。
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