おしゃれだった父親が、老いて夢グループの髭剃りを買おうとしている
タイトルに【悲報】ってつけたくなるときって、こういうときなんですね。
少年から青年になった僕に、初めてヒゲを剃ることを教えてくれた父親が、老いて夢グループのシェーバー(1万円)を買おうとしている。
悲しいわ!
そんなに大きい出費でもないし、機能的にそれほど劣っているところもないと思うよ。でも、なんでこう止めたいのか、言語化しながら探ってみる。
髭剃りと電動歯ブラシは、毎日さわって体をケアするハイテク製品で、自分をあげてくれるものじゃないですか。
「ヒゲを剃る刃のかたちがこうこうこうなってモーターが何千回転であごにフィットする3Dなんとかムービン技術」
が必要かどうかはともかく。
フィリップスのソニッケアーと丸い刃の髭剃りを買って、女性が化粧品の高級感で自分にスイッチを入れてくれるという言葉の意味がわかった。
だから、そういう道具って、どこで作られたとかいくらで買ったとか、周辺の情報にもこだわりたいじゃないですか。
夢グループの髭剃りって、真っ黒のボディに
「夢グループ」
ってでっかく描いてるんです。
そんな「夢」のあるものが、洗面台で充電されてたり、顔を洗うたびにチラッと視界に入ってくる・・・ってコト!?
身内が邪教の教えを聞き入れてしまって、毎朝邪心像がチラッと見える感じがする。
父は、かつては腕時計に詳しくて、車もかっこええのに乗りたがるような人だった。
そんなしっかりして、かっこつけてた人も、老いると夢グループのCMをちゃんと聞くようになってしまう。
ちょうどブラックフライデーのチラシが届いて、ほら、こっちもっと安いのがのってるからこれがいいよって見せたけど、それは「3枚刃」なの。
刃の数が多けりゃいいってもんじゃないのに、テレビに言われた
「5枚刃!」のフレーズに軽く洗脳されて、じゃああっちのほうが「いいもん」だって思ってるのが悲しい。
興味がなくなると、自信をもったフレーズを信じてしまう。
こういう自分も、全くわからないジャンルの製品を買うとき、カタログで繰り返されるフレーズに軽く洗脳されて、こんなに書いてるってことは少なくとも悪いもんじゃないんだろうと思ってしまう。
あんなに堂々と「夢」を掲げたアイテム、ドリームキャスト以来だぞ。
とりあえず、即必要なわけでもないので、ケーズ電気のチラシと夢グループの言葉、どちらを選ぶのか父の判断に任せている。
あのCMに拒否反応を示さなくなったら、その延長には年寄りを集めてあやしい健康器具を売る集団がいるような気がして怖い。