【ドラマ感想】あなたに似た人
なんとも悲しい物語だった。
途中で観るのをやめようかと思うぐらいに、苦しい物語なのに、
どうしてもラストがどうなるのか気になって配信されるごとに
観てしまった。
「賢い医師生活」で少し影はあるけれど、真っ直ぐなギョウルを演じていたシン•ヒョンビンが、少しどころではない影を全身にまとい、暗い雰囲気で復讐心に心を燃やす女性を演じている。
テーマは「復讐」。
コ•ヒョンジン演じるヒジュは大病院の長男の妻であり、画家としても成功している。順風満帆そうに見える彼女の前に現れた、昔の自分を彷彿とさせる女性、へウォン。へウォンはヒジュに復讐するために彼女に、そして彼女の家族に近づき、執拗に付け回す。
「賢い医師生活」がいい人ばかりの理想な世界なら、ここでは人間の悲しい業ばかりが描かれる。
復讐が自分の人生を救ってはくれない、と皆に説得されてもいつまでも固執することしかできない女性。
そして、自分の過去から抜け出したい、と思いながらも自分の欲望を抑えられずに一度道を踏み外してしまった女性。
裏切り、復讐、猜疑心、捨てられることへの恐怖、執着…人間の心の暗い部分ばかりが映し出される。
この二人に一体救いはあるのだろうか。
何度も「もう許してあげて」と思うのだが、行き着く先にどうにも明るい未来が想像できない。
観終わった後の気分はすこぶるよくない。
けれど、人生というものをなんだかしばし考えさせられてしまうような、
深い深い小説を読み終わった後のような
そんな気分にさせられる。
ところで、主役を演じるコ・ヒョンジョンさん。
初めてドラマを観たが、おん歳、50歳。
美しい…
美魔女か。美魔女というやつか。
本当は幼い頃から貧しく苦労しながら弟の面倒を見つつ、
自分で苦しい環境をなんとか切り抜けてきた強い女性。
しかし、大病院の後継と結婚してからは、どこか自分を殺して生きている。
そんな女性を、口元にいつも笑みを浮かべながら演じていた。
引き込まれる魅力的な女性だった。