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生きること


「生きること」

本を読んでも、言葉には追いつけない。本を読んでも私の上にあなたを上書きすることはできない。人に影響されやすくて、口癖や口調や、語尾の息遣いがコロコロ変わる。何を信じて、何を切り捨てるのか、全ては私の意思ではなかった。それが嫌でした。私と呼べるものが何一つなくて、海だって、空だって、それぞれの色をしているのに、私はカメレオンみたいに、変わっていく景色に溶け込んでしまう。生き延びることは楽なことだ。毎晩襲ってくるひどい眠気に従い続ければ、それはもう永遠を手にしたってことだよ、おめでとう。でも私は必ず死にたいって思ったから、それだけは紛れもない私の意思だったから、今すぐこの肉体を脱ぎ捨てて、光に当てられても影ができないことを、風が私の輪郭を知らせるものでなくなることを嬉しく思う。時々私はカーテンになり、月になり、波音になり、それでも何者にもならずに、世界は私だけのものだと、世界中に響かせ続けていく。


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