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宝箱の詩


「宝箱の詩」

月が綺麗ですね、と誰かが言うたびに、
宝箱へとその思いはしまわれて、月へと返された。この掌で、あの表面に触れることができたなら、
僕の心にも、誰かの骨を芯まで冷やしてしまうような冷たさがあるのだと思い知って、
君を傷つけずに、夜を支配するただ一つの、
君の冷たさを知らせる光になれるのに。

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